記録#45 『宇宙を目指して海を渡る』夢とはつまり渇望だ。
JPL・小野さんの新著を読んでから、再読したいなと思っていた表題本に手を伸ばしました。
この本は、小野さんがMITの大学院に入学してから、そこで学び、迷い、挫折し、自分を取り戻し、JPLに入るまでを描ききった自伝。想いと夢に溢れ、でも煽るわけではなく、熱量高くもしっとりと書かれた文体が好きで、何度も読み直しています。
コアのメッセージは、表題の通り。
夢とはつまり、渇望だ。仕事を見つけたり、誰かの説得のためにでっち上げるものではない。
一度きりの人生をいかに生きるか。これこそ、おおよそ万人にとって最も根源的な問いではなかろうか。もちろん夢を追うことだけが生き方ではない。刹那的な生き方もあれば、国や社会や世界に身を捧げる生き方もある。愛する家族のために尽くすのだって素晴らしい生き方だ。生き方に優劣はない。
だからこそ、自分がどう生きるかを、人に流されるのでも流行に乗るのでもなく、自分の頭で考える必要があるのだ。(Kindle位置:35)
とてもいい言葉だなと思いました。
技術の最前線、NASAの研究機関にいる小野さんは、イノベーションについてこんなことも。
イノベーションがどうこうと人は言う。もちろんイノベーションは必要だ。だが、どんな未来を実現するためのイノベーションなのか。それなしにイノベーションを語ることに何の意味があろうか。
「グローバル人材」だって同じだ。同じ論は繰り返すまいが、何を達成するために「グローバル人材」になろうとするのか。
最近のこの手の論はどうも唯物論的だと僕は感じる。人間の能力をまるで機械の部品のように扱い、それを装備すれば成功できると説く。何か違うだろう、と僕は思う。人間とはもっと精神的な生き物だ。もちろん、能力を伸ばそうとすることはとても大事だ。だが、それ以上に大事なのは、努力する目標を持っていること、自分が何をしたいのかを知っていることなのだと。
(Kindle位置:2,098)
最近読んでいた、未来や希望に関する文章ともつながるな、と。
読むたびに新しい発見のある、素晴らしい本です。
宇宙を目指して海を渡る MITで得た学び、NASA転職を決めた理由
- 作者: 小野雅裕
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2014/04/25
- メディア: 単行本
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