ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#41 『社会は情報化の夢を見る』テクノロジーが世界を変えるなんて言うのは幻想だ。

 以前読んだ、『さよなら未来』の中で紹介されていた本。

nozomitanaka.hatenablog.com

この本自体は新装版ですが、もともとの原版が出たのは1996年。情報化社会っていう言葉がいろんなところで使われだした時代だったみたい。

情報技術が社会を変える!そんなことをみんなが言う時代に、

「んなばかな。技術が社会を規定するんじゃなくて、社会が技術を受け入れるんだよ」というメッセージがこもった本でした。

情報技術や情報科学自身はとても重要だし、役に立つ。ただ、それで社会も語れると思うのはまちがいである。それらは科学技術の世界に属しているのであって、それ以上のものではない。社会という要素が入ってきた場合、科学技術の専門家の予測がいかにあてにならないかは先にみた通りである。技術が社会にどう接続されるのかは、社会の側から決まってくる。そして、社会がどう変化するか考えるためには、まず社会自体を知らなければならない。その意味で情報技術・情報科学と「情報化社会」の問題は、むしろ別の世界の話なのである。 

現在の技術動向から未来を予測する、という取り組みがあるものの、それはただの願望に過ぎない、と著者は言います。

「情報化社会」とは何か──結局のところ、それは、技術予測の名を借りた未来社会への願望にほかならない

一言でいえば、情報化社会論は社会のしくみの問題を技術の問題にすりかえているのだ。そこでは、「情報化」は社会のしくみを考えないための呪文になっている。その呪縛をふりほどいて、はじめて私たちは情報技術と社会のかかわりを本当に考えることができるのではないか。

その後、これからの個人とは、組織とは、企業とは、その中でのテクノロジーとは、というお話が続きます。

本の中で出てくる情報化社会という単語を、テクノロジー・スタートアップ・AIあたりに変えると、まんま現代にも適用できる気がします。

もっとまっすぐに社会を見ろ。そんなことを感じました。