ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#40 『人類が生まれるための12の偶然』奇跡の地球。

わたしたちが何気なく過ごしている毎日。それはどんな奇跡・偶然の上に立脚しているのか。

宇宙、太陽系、月、地球、水、生物誕生、気候変化、、、

それぞれを構成する要素が絶妙なバランスで成立しているからこそ、いまの生活があるんやなぁということを再認識させてくれる内容でした。

いくつか、面白いなぁと思った内容をメモ程度に共有

宇宙:ビッグバンの軌跡を"力"物理法則の誕生

物理を学ぶときに「基本の4つの力」というのがでてきます。①強い力②弱い力③重力④電磁気力、のこと。*1

この4つの力がいい感じにバランスしているからこそ、いい感じの宇宙が出来上がった、と。重力がいまよりも少しでも強かったら惑星はできなかった可能性が高く、逆に弱かったら超新星爆発が起きず、それはそれで惑星系が生まれなかったとされています。上記4つの力や、中性子や陽子といった素粒子の質量などは「自然定数」と呼ばれますが、それぞれの自然定数の値が「どの程度」かは計測できるけど、なぜその値なのかは解明ができていない。

謎。ミステリー。不思議。

最近なくなったホーキング博士はその著書の中で、ビッグバン1秒後の宇宙の膨張速度が、実際の速度よりも数兆分の一だけ小さかったら宇宙は現在の大きさになる前に収縮してしまい、逆に数兆分の一でも大きかったら膨張しすぎて、ダークマターばかりで物質がない空虚な宇宙になっていたはずだ、としています。

謎。ミステリー。不思議。

これだけでも十分な奇跡、偶然ですね。

月:グルングルンに回り続けていた地球を落ち着かせる存在

いま現在、地球の自転は24時間単位で行われますが、月ができる前、地球が誕生した当時のそれは6時間でした。

しかしジャイアント・インパクト的ななにかで月が形成されると、その引力によって界面を引き上げ、海底と海の水の間に摩擦を生み出し、地球の自転にブレーキをかけたと。

6時間で一日が回っていたら、私たちのように8時間以上寝て、その後ご飯を食べて、なんてのんびりした生物は生まれなかったでしょうね。。。

水:比重と分子構造の妙

私たち人間も含め、生物にとって欠かせない存在の水。その特殊性について。

他の物質は、個体の状態が最も密度が高くなります。しかし、水の場合は温度4度、つまり液体の状態の時に密度が最大化します。その結果、氷は水に浮くことになります。地球に何度も訪れた氷河期の時、もし氷のほうが水より密度が大きければ、氷はどんどん海底に沈み、界面では新しい氷が生成されることで、海全体が凍っていた可能性があります。 しかし、水という物質の特殊性によってそうはなっていない。

さらには、H2Oという構造である一方、水平構造ではなく、水素同士が104.5度の角度で結合した構造を持つために、様々な物質の「水和」(水に溶けること)を促し、物体としての安定度を高めることに貢献しています。

お水、懐が広い。。

おわりに

当たり前のこの世界について、たくさんの偶然と驚きが隠れていることを改めて感じました。

また、宇宙・地球というものの広さ・大きさも感じました。

 重要なのは、これまでの地球の歴史を振り返り、非常に多くの生物が絶滅してきたという過去の事実を忘れないことです。地球の生命の歴史は、古い種の絶滅と新種の誕生の歴史と言ってもよいほどです。

 環境問題を考える際に、よく「地球に優しく」などといいますが、これほど実体とかけ離れた表現はありません。地球は、人類に優しくされたいと思うほど弱い存在ではありません。

 それは、地球が生物をたびたび大絶滅に追い込み、その中から新たな生物を進化させてきたこれまでの歴史を振り返れば、すぐにわかります。

地球にとって、私たち人類の代わりはいくらでもいるのです。

 もしも、全面的な核戦争によって人類が死に絶えるという、最悪の事態が起きたとしましょう。しかしそれでも、生き残った生物はやがて進化を始め、地球には新たな生態系が生まれるはずです。そして長い年月のあとには、新たな高等生物が出現し、地球を支配するようになるかもしれません。彼らは、人類とは違い、高度で平和な文明を築き上げ、太陽が膨張する前に地球を脱出する可能性もあります。

私たち人類は、決して取り替えのきかない特別な存在ではないのです。(p.222)

その通り。独善的な判断から離れて、もっと素直に自分・自分たちのことを考えたら良いと思うのです。

 

人類が生まれるための12の偶然 (岩波ジュニア新書 626)

人類が生まれるための12の偶然 (岩波ジュニア新書 626)

 

 

 

 

*1:書籍内では①②をそれぞれ「強い相互作用」「弱い相互作用」としていますが、ここではかわいいイラスト付きのILC Project webでの表現を引用