記録#131 『国語入試問題必勝法』清水義範さん珠玉の小説集。
絶対まちがえて買った受験生いるな、というタイトルのこの本。著者の清水義範さんも、あとがきで書いてますね...
実際は、短編小説集。
タイトルになっている『国語入試問題必勝法』は、国語が苦手な受験生に家庭教師の先生が「現代文の問題なんて、本文の意味を理解しようとしちゃだめなんだよ。点数を取るゲームなんだから」という趣旨で、点を取るためのテクニックを伝えるお話。Kindleでハイライトされている位置としても、そのテクニックばかりでしたね。。紹介されている手法、実際に使えるんでしょうかね、あとがきでは「適当です」みたいなことを書かれていましたが。
私が心に残ったのは、認知症患者の視点で感情の揺れ動きを描いた『靄の中の終章』。
昨年体験したものの中でも強烈な印象があった認知症VR、それを思い起こさせるようなお話。
自分が食事をしたかどうかもわからなくなるしすぐ忘れてしまう、目の前にいる人が誰かわからなくなるしその認識もコロコロ変わる(さっきまでAさんだと感じていたけどいまはBさんだと思っている)、話が支離滅裂になる、、、
人はみな、こうなるんだなぁと。
その他にも、食事を通じて過去に戻れる"時代食堂"を描いた『時代食堂の特別料理』や、退職後のボケ防止にリレー小説を書き始めた4人の老人男性のお話を描いた『人間の風景』、色んなお話があります。
くれぐれも、受験生はまちがえて買わないように。