まとめ#18 2018年7~9月:読んでよかった本5冊
気づいたら9月が過ぎ去っていました...!!四半期で振り返るこの企画、個別の読書記録を書いていたら忘れかけてました。。
去年のこの時期の5冊は↓
個別記録の記事は#134まできました。この3ヶ月だと60冊くらい。その中でもおすすめの5冊をご紹介します。
- 1. 目の見えない人は世界をどう見ているのか
- 2. 『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー June 2018 職場の孤独 起業に広がる"病"にどう対処するか』
- 3. きのう何食べた?
- 4. ながい坂
- 5. こわいもの知らずの病理学講義
1. 目の見えない人は世界をどう見ているのか
自分の視点が広がる一冊。 象徴として紹介されている句が、
耳で見て 目できき鼻で ものくうて 口で嗅がねば 神は判らず
で、まさに目の見えない人は耳でものごとを見て、足裏で世界を感じていたりするわけで。
福祉の視点ではなく、美学の視点で視覚に制約がかかった方々と語り合っていく。素晴らしい洞察に溢れた本でした。
2. 『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー June 2018 職場の孤独 起業に広がる"病"にどう対処するか』
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2018年06月号 [雑誌]
- 作者: ダイヤモンド社
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2018/05/10
- メディア: Kindle版
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雑誌全体はどうでもいいんですが、その中にあった藤田一照さんの「人は生まれながらにつながり、孤独でもある We are born to be lonely and connected」という記事が圧倒的。
孤独を癒やすことがテーマであるこの特集号で、孤独は病ではなく人間本来備わったものだと言い切るその姿勢。
仏教の世界ではそもそも、孤独を病としてとらえることをしません。なぜなら、人は生まれながらにして孤独な存在だからです。(中略)
ただし、ここで忘れていけないことは、人は絶対的に孤独であると同時に、誰もがつながっているということです。仏教ではそれを「縁起」と呼びます。他との関係性の中で初めて、それとして存在できるということです。万物はこのつながりのネットワークの中にあり、その他には何一つ存在することは出来ません。(中略)
独一無比にユニークな存在である独在性と、全体と一つにつながっている共在性とが矛盾なく、同時に成り立っている。その綾模様の中に、人間の苦しみや悲しみがあり、幸せや喜びもある。(中略)
どうあがいても存在のあり方には逆らえませんから、それに随順した生き方をしていくことが自然であり、賢明です。二重構造のうちの独在性だけ、あるいは共在性だけに囚われるのは、文字通り一面的で、それではバランスを欠いた生き方になってしまうでしょう。
圧倒的。矛盾の中に生きるその姿勢は、この3ヶ月で一番深く肚におちたコンセプトでした。
3. きのう何食べた?
ほっこりマンガ。同性愛男性のカップルの日常を描く。
手にとったのは、その中で紹介されているレシピがとにかく美味しそう、とおすすめされたから。いろんな事が起きる日常。各話、必ず最後は食事を作り、食べるところで終わる。
食事を作り、食べる、というその日常。何があろうと、誰であろうと訪れる日常。
おすすめ度MAX振り切れの漫画。現在14巻まで出ています。まずは1巻から。止まらなくなります。
4. ながい坂
時代小説の大家、山本周五郎が書いた最後の長編小説。
身分の低い武家出身の男が、自らを鍛え、成果を出し、成り上がっていくお話。ギラギラした主人公ではなく、淡々と眼の前の課題に真摯に向き合っていく姿勢に心打たれます。
この小説を連載で始める前、山本先生が書いた予告文がまた惹きつけます。
自分のちからで自分の道をひらいてゆく男を書きます。こういうと簡単なようですが、封建時代の、身分や階級や家柄の区分の動かしにくい場にあっては、個人の意志を貫きとおすことは、殆ど不可能だったのです。けれども彼は自分の道をひらいてゆきます。女、剣、権力、不正、かずかずの障害を、辛抱づよく、一つ一つ克服しながら、---ながい人生の坂を登ってゆくのです。登り詰めたところになにがあるか、自分のひらいた道が彼にとって満足なものであったかどうか、それを皆さんとご一緒に慥かめてみましょう。
みな、目の前にはながい坂。自分の生を見つめ直す機会になりました。
5. こわいもの知らずの病理学講義
阪大教授・仲野先生が伝える病理学の基本。細胞ってなに?という部分と、血管・循環器の仕組み、ガンの仕組みが中心となるテーマ。
病・疾患を扱うシリアスで難しいテーマでとっつきにくいのかなと思いつつ、仲野先生のコミカルな文体がそれを感じさせない。
内科医はなんでも知っているかがなにもしない。
外科医はなにも知らないがなんでもする。
そして、病理医はなんでも知っていてなんでもするが、ほとんどの場合手遅れである。
いいますね、先生。。おもしろい。。
終わりに
読書ってすればするほど、あたりを引く確率が当たる気がします。
2018年最後の3ヶ月、楽しく本も読んで、ご紹介しておこうと思います!