記録#132 『日本の紋章』一点に集約された粋と美
お世話になっているコワーキングスペースの共有本棚にあった本。 デザイナーが集う場所らしい選書。
最近友人の結婚式向けに着物を仕立てたんですが、恥ずかしながらその時初めて自分の家紋を意識しました。丸に橘、意味を調べると一層愛着がわきます。
そもそも紋章とは?
平安時代初期、紋章の始まりは文様として、天地草木などの自然や自然現象を取り入れることとして始まった。それは四季折々に咲き競う花々、そして水辺に遊ぶ千鳥や雁の群れ。霞み棚引く春の遠山の景色が、秋には夕日に映える錦繍の彩りへと移りゆく自然がある。
(pp.4)
文様が紋章となり、それが引き継がれる中で貴族社会での家格を表すものになっていったと。江戸時代に入ると、苗字帯刀は許されなかった庶民でも紋章の自由は認められ、紋章のブームが起きました。それを通じて、"紋"という概念が日本の社会に深く浸透してきたとのこと。
現在紋章は基本的なものだけで200種類以上、同じモチーフで異なるデザインのものを合わせると5,000種類以上あると言われている。
(pp.5)
そんなに。
本書の構成として、植物の紋としてだけでもものすごい数。
- 梅
- 桜
- 桐
- 牡丹
- 杜若(かきつばた)
- 鉄線
- 朝顔
- 蓮
- 沢瀉(おもだか)
- 藤
- 菊
- 桔梗
- 竜胆(りんどう)
- 橘
- 片喰(かたばみ)
- 柏
- 蔦
- 葵
- 茗荷
- 竹・笹
- 楓
- 松
- 瓢(ひさご)
- 南天
- 稲
- 萩
- 薄(すすき)
- 棕櫚(しゅろ)
- 撫子
紹介されているもの、全部書いてみました。すごい数。
流石に葵や菊の紋はすてきで、迫力を感じます。
三つ割笹竜胆なんかもシュッとしてていい感じ。
後半は山や月などの自然現象、雁や兎などの動物、さらには石のようなオブジェクトをテーマにした紋章まで紹介されていて、一日見ていられる...となりました。
また没入できる素敵な一冊を発見してしまいました。