まとめ#10 2016年7~9月】読んでよかった本5冊
こんにちは。
この3ヶ月は本屋さんを巡ったりSNSでお勧めされている本を手に取ったりして、いい本との出会いがたくさんありました。
その中でも、いまの私がおすすめする本5冊を紹介します。
●コンテナ物語
2013年の、ビル・ゲイツが選んだ「今年読んでよかった本7冊」に選ばれた本です。遅ればせながら手を伸ばしてみました。
1950年代にコンテナを発明し、海運業を「船を運行する産業」から「貨物を運ぶ産業」へと再定義したマルコム・マクリーン。それまで人手で個別に積んでいた貨物を、コンテナという箱を使って一気に積載することで金銭・時間両方のコストを驚異的なレベルで圧縮することに成功しました。
この本が面白いのは、この「荷物を箱に詰めてまとめて運ぶ」ということを実現するのがいかに大変か、それを教えてくれるところ。港の労働者は反対するし、箱の規格を決めるのにいくつもの機関が出てきて話がまとまらないし、トラックや鉄道屋さんもいろいろゆーてくるし。
優れたアイディアを世の中に広げていくことの困難、蓋しそれが実現した時のインパクトの大きさを教えてくれます。このような発明がもっと大きな社会変化を起こしうる、という実例を挙げてくれる本(世界を作った6つの革命の物語)もおすすめです。
恥ずかしながらこれも今更ですが、 1970年代に書かれた名著。
有名な"ジャストインタイム"や"カンバン"といった単純な手法の話ではなくて、トヨタという会社が、生産において何に焦点をおいて、そのためにどのようなコンセプトを作り、いかなる手法で実現したのか、ということが書かれています。私は、「トヨタの生産は、中央統制に従う共産主義ではなく、顧客に基を置く市場主義に基づいて運営される」ということなんだと理解しました。
●あなたの体は9割が細菌
この3ヶ月読んだ本の中で一番衝撃と影響を受けた本です。
タイトルそのまま、私たちが自分だと考えている存在のうち、実際に人間の細胞が占めている割合よりも、細菌や微生物の数の方が多いんだと(数として)。そしてどの細菌や微生物が体に住み着いているかで、身長や体重といった身体特性、糖尿病や自閉症などの疾患、さらには性格までが影響を受け得る、と。(痩せたいなら何より食物繊維ですってよ)
こういう本は「抗生物質ダメ!」「出産は自然分娩で!」などと言い出す本が多いんですが、著者はそんなことなく、バランスのとれた展開をしてくれます。
これからは、自分の菌に優しい生活をしたいと思いました。
●ザ・会社改造
V字回復の経営などで有名なミスミの三枝さんの最新著作。大好き。
ご自身が、どんな思いでミスミの経営を引き受け、その後社内でどんなチャレンジをしてきたかをテーマに、会社が変わっていく様を描いています。
印象的なのは、失敗について相当具体的に踏み込んでいるところ。海外展開や社内のカスタマーセンター整備など、一つ間違えば大火事になりえた問題について、克明に書いてくださっています。
「創って作って売る」という商売の基本サイクルをベースに、今の会社に何が起きているのかを"観察"する。そこから自分/自社に対する"強烈な反省"を行い、"戦略"を定める。そこから出てくる"アクションプラン"に従ってスピード感を持って実行していくこと。
また本棚に素敵な本が増えました。
●戦争広告代理店
ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫)
- 作者: 高木徹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06/15
- メディア: 文庫
- 購入: 28人 クリック: 241回
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世論を味方につける。企業買収などでも重要視されるテーマですが、もちろん戦争・紛争でも。「民族浄化」という言葉が、紛争を有利に運ぼうとするPR会社が考え出した言葉だということを初めて知りました。
SNSの登場などで世論形成のためにアプローチしなくてはならない前線が広がっていて、今現在この本の中で描かれている方法がどこまで有効かはわかりません。ただ、たった一つの言葉を生み出すことが、重要な人間からの一言を引き出すことが、大きなパワーになるのは今でもそうなんだろうなと。
ただ、何が正しいのかますますわからなくなる今、こういうことでいいんだろうか(ダメだとして何か打つ手はあるんだろうか)と思いにふける、そんな時間を与えてくれる本でした。
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こんな感じです。また3ヶ月後に。
まとめ#9 2016年4~6月】読んでよかった本5冊
こんにちは。
この3ヶ月は、本屋さん(Amazon含む)を徘徊しながら目に付いた本をぱーっと買って読む日々でした。
その中でも今の私にとって面白かった本を5冊紹介します。
●あなたの会社が理不尽な理由
著者が日経ビジネスオンラインで書いていた記事をまとめたもの。
タイトルや、帯にある「なぜ会社は何億円もの失敗よりもタクシー代にうるさいのか」 という問いについてだけでなく、社内の人材教育や組織の意思決定スピードに関する問題など、幅広いトピックを扱っています。どの章も、それを専門に扱った書籍や論文をリファーしてくれるので、もう一段深めたいなぁっていう時にもありがたいです。
中に出てくる、ダニエル・カーネマンの「結局、建設的な批判とはどれだけ深みのある言葉遣いができるかにかかっている。」という言葉がとても素敵だと思いました。
●数学者たちの楽園:「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち
謎の黄色いキャラクターが活躍する米アニメの代表作、シンプソンズ。その裏側を支えているのは数学ギークなんですよ、っていうお話です。「フェルマーの最終定理」等を書いたサイモン・シンの新作。
各エピソードに隠された数学に対する敬意、それ誰にも気づかれないやろっていうところにまでこだわる姿勢(例えば、あるシーンで黒板にちょこっと書かれた3987^12+4365^12=4472^12って式とか)、素晴らしいなぁと思いながら読みました。
私が一番好きなのは、タクシー数・1729のエピソード。
パトニーで病に伏す彼(ラマヌジャン)を見舞ったときのことである。
私が乗ったタクシーの番号が1729だった。特に面白味のない数のように思われたので、よからぬお告げでなければいいのだが、とわたしは彼に言った。すると彼はこう言ったのだ。「いやいや、それはともて興味深い数ですよ。二通りの異なる方法で、二つの三乗の和として表される最小の数なのですから」
●わたしが正義について語るなら
逆転しない正義は献身と愛です。
ご自身が半生を振り返りながら書かれる、愛や正義についての文章。
四谷三丁目のアンパンマンショップの前を通るたびにこの本を思い出します。
聞いたことがない人がほとんどかもしれません、ナウル共和国。
ぜひ読んでくださいこの本。父にも紹介したところ、one of his life-time bestsに入ったようです。
●パクリ経済
- 作者: カル・ラウスティアラ,クリストファー・スプリグマン,山田奨治(解説),山形浩生,森本正史
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2015/11/26
- メディア: 単行本
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著作権が認められないけど、どんどん新しいアイディアや製品が生まれてくる領域があります。
料理、一部のファッション、コメディ、スポーツやボードゲームなどの戦術、フォント、、、、などなど。
著作権保護を主張する背景にある「コピーは創造性を殺す」「イノベーションのための権利保護を!」そんな主張は本当に成り立つのか。
少し厚めですがすいすい読める、なめらかな本でした。
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こんな感じでした。また3ヶ月後に。
まとめ#8 2016年1~3月】読んでよかった本5冊
こんにちは。
2016年最初の3ヶ月は、発刊時期が最近の本を中心に手を出してみました。
そのうちの5冊です。
本を読むことで、普段触れないテーマにも興味の飛び地を置いていく。そんなことを考えています。
もっともっと力をつけて、いろんなものごとにアプローチできる人になりたいと思います。
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●地理の話大全
誰もがその先を聞きたくなる地理の話大全 (できる大人の大全シリーズ)
- 作者: おもしろ地理学会
- 出版社/メーカー: 青春出版社
- 発売日: 2016/01/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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まず著者。「おもしろ地理学会」。この時点で購入決定。
"知らなくても生きていく上で全く困らないけど、なんとなくの小咄のネタになる知識"があふれています。
地球上で最も登りやすい「大陸最高峰」は?
ベトナム人の40%が同じ名字なのはなぜ?
「岩手」という県名の由来は?
今まで行ったことのない土地も、少しだけ身近になったような気がします。
●アメリカは食べる --アメリカ食文化の謎をめぐる旅
「エコノミストの昼ごはん」 を読んだ後にその続きで手を伸ばした、700ページ超えの大著。
アメリカの食文化の謎、とタイトルにはありますが、内容はアメリカ史に対する洗練された考察でした。
アメリカは、移民たちの各自の食の文化を、アメリカの「食文明」に仕立て上げるしかなかった。それが「アメリカ食」の宿命であった。(本書あとがき、pp.724)
なぜアメリカの食はある面で画一的なのか、アメリカの中華は東アジアで食べる中華と異なるのはなぜか、などなど、深く深く潜っていく素敵な本。
●GDP --<小さくて大きな数字>の歴史
経済学部卒ながら、知らないことが多い概念でした、GDP。
アメリカの経済分析局はGDPについて「20世紀で最も偉大な発明の一つ」としています。その他の偉大な発明、インターネットや化学素材などと同じで、戦争のために生み出された概念がこのGDPなんだと、初めて知りました。
「資本主義の終わり!」「幸福度だ!」と言い出す方々に反射的に冷たい視線を送ってしまう私ですが、そんな方々にも是非この本をご一読いただくことをお勧めしたいです。
GDPは最近流行りの「幸福度」のような指標よりは確実に役に立つ。ただし、GDPだけで景気が図れるかというと、そうではないと私は考えている。GDPは20世紀の大量生産経済を前提とした指標であり、21世紀の経済における急速なイノベーションやデジタル化された無形サービスには対応しきれていない。(本書はじめに、pp.12)
●自分では気づかない、ココロの盲点
自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス)
- 作者: 池谷裕二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/01/21
- メディア: 新書
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ありがとう、ブルーバックスシリーズ、大好きです。
本書の内容、例えば、、、、、、、、、
「あなたのユーモアの理解度は世間でどのくらいに位置していると思うか」という質問を投げると、ユーモアの理解力のない人ほど「自分はユーモアがわかる人だ」と実力以上に実力評価をします。これを、ダニング=クルーガー効果といいます。
上の例を見て、皆さんどんな反応をされますか?
①いるいる、そういう人!
②もしかしたら私がそうかも
これ、多くの人が①を選択します。ヒトは「自分は公平で正しいのに、他人は視野が狭くて偏見に満ちている」と考えがちです。Bias Blind Spotと呼ばれる現象です。
こんな事例が80コ。
自分をメタに認識するために、持っておきたい視点。
●中国第二の大陸 アフリカ --100万人の移民が築く新たな帝国
中国がアフリカに膨大な投資をしている、というお話を聞き始めてから何年も経ちますが、中国出身者ひとりひとりが各国でどんな生活をしているのかを読んだのはこれが初めてでした。
「儲けたかったら中国人がいる国に行くべきだ。なぜなら、それがその国には大金持ちになるチャンスがあるということだから」
面白いです。すごく生々しい。
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4月以降も楽しみです。
のぞみ
まとめ#7 2015年】今年の読んでよかった19冊+年末年始に読みたい積ん読7冊
年の瀬ですね。
今年もたくさんの本を読むことが出来、2009年から始めた読書記録もやっと1,000冊になりました。
何冊か、この12ヶ月で読んだもののうちからご紹介します。
●あなたの人生の科学
あなたの人生の科学(上)誕生・成長・出会い (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: デイヴィッド・ブルックス,夏目大
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/11/05
- メディア: 文庫
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2012年に出た単行本「人生の科学」の文庫本化。「人は無意識で動く」がメッセージ。
生まれてから、成長して、恋愛して、仕事をして、そして死ぬまで、人生の要所にまつわる科学のエッセンスが散りばめられていて、面白かったです。
●ジョコビッチの生まれ変わる食事
今年の後半にだいぶ痩せまして、参考にしたのがジョコビッチのこの食事法。
「食事は情報である」、つまり一気に取るのではなくゆっくりと咀嚼しながら、という比喩はよく腹落ちしました。
ゆっくり食べましょう。
●エラい人にはウソがある
「孔子なんて、屁理屈とつよがりと負け惜しみにあふれているおっちゃんですよ」っていうことらしい。確かに。
過去の人を勝手に神格化しちゃうってありがちですよね。
●僕には数字が風景に見える
サヴァン症候群の著者。タイトルの通り、数字が風景に見える。素数は必ず美しく、だからこそ一目見てわかるとのこと。
あと、語学の天才。アイスランド語を一週間で覚えるとは。。すごい。。
自分の子供がどんな症状を持っていても、大切に育ててあげたいなぁと思いました。
●しんがり 山一證券最後の12人
利だけで動く企業人にはなりたくない、と強く思わされる本。
自らの組織の膿を出し切るため、自身にメスを入れていく12人のメンバー。ただ「正しいことをする」という目的のためだけに。
この文章を読んで、すごく楽になった思い出があります。
会社の評価など、人生のある時期に、ある組織の、ある人達によってくだされたものにすぎない。嘉本は頑なに信じていた。棺を閉じるまでの評価でもなければ、まして人格評価でもないはずだ。
●異文化理解力
異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養
- 作者: エリン・メイヤー,田岡恵,樋口武志
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2015/08/22
- メディア: 単行本
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評価のときの語り方や受け取り方、議論の仕方まで、出自となる国によっていかに違うかが明確にわかります。
帯に「日本人の8割にはいらない」と書いておりますが、どんな要素で違いを認識しているのか、それを知るだけでも価値があります。
●決してマネしないでください
今期読んだ中でも最高のマンガの1つ。兄が所属する研究室でも「(科学的に)よく出来てる」と話題らしい。
来年2月に出る3巻で完結してしまうのが残念。
●ゼロからトースターを作ってみた結果
ロンドンのRoyal College of Artの人が、卒業制作として行ったプロジェクトの記録。
銅線をつくるために、銅鉱山まで行って掘る、その徹底した姿勢たるや。
●ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>
ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器> (イースト新書Q)
- 作者: 多田将
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2015/07/10
- メディア: 新書
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最後の方に有る、この文章が心に残っています。
こんなことを言うと嫌な顔をする人がいるかもしれませんが、僕は、核兵器が「非人道的な兵器」だとは思っておりません。
なぜなら、それはまるで「人道的な兵器」というものが存在するかのような言い方だからです。人を殺すのに、「人道的な殺し方」など、あろうはずがありません。そしてまた、兵器がなくなれば平和が訪れるわけでもありません。もし仮に今存在するすべての兵器を取り上げたとしても、人類は、そのあたりに転がっている棒切れを拾って、殺し合いを続けるでしょう。それは全く本末転倒なのであって、本来は、平和が訪れた時に、人々が本当に平和を求めたときに、自然と、人々は兵器を手放すのです。
●失われていく、我々の内なる細菌
抗生物質の有用さを語りつつ、それによって失われていく細菌たちの本。
自分の体だと思っているものの中に、100兆もの細菌がいるかと思うとびっくりです。
●僕らの哀しき超兵器
ぼくらの哀しき超兵器――軍事と科学の夢のあと (岩波現代全書)
- 作者: 植木不等式
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/08/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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名作。著者名の「植木不等式」だけでも大好きになれる。
氷で作った船、爆弾を背負わせた猫、、、追い込まれると、いろんなことを考えつくものです。
人間の想像力には限界がないんだということを思い知らされます。
●天才たちの日課
天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々
- 作者: メイソン・カリー,金原瑞人,石田文子
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2014/12/15
- メディア: 単行本
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作家やアーティスト、研究者、天才と言われる人たちのライフスタイルが纏められてます。
朝型、夜型いろいろありますが、みんな熱中型。熱量の高さがなにより、ですね。
●ルシファーエフェクト
- 作者: フィリップ・ジンバルドー,Philip Zimbardo,鬼澤忍,中山宥
- 出版社/メーカー: 海と月社
- 発売日: 2015/08/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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スタンフォードで行われた「監獄実験」。善良な人間をランダムに囚人と看守に振り分ける。その役割が彼らを変化させていく。最終的には、予定されていた期間の半分も行かないところで実験は中止となりましたが、逆にその結果が世の中に衝撃を与えました。
環境や立場がいかに人間を変貌させるのか。人は脆いものですね。
●世界最高のバイオテク企業
科学に基づくとはまさにこういうこと、と思わせてくれる組織、アムジェン。
バイオテックはながーく盛り上がっているので、ぜひ2016年も取り組んでいきたいテーマです。
●ま・く・ら
落語そのものに入る前の「まくら」、その名人と言われていた柳家小三治さんのお話をまとめた本。
落語家さんのお話は素敵です。適度に肩の力が抜けていて。
●二つの祖国
東京裁判が今年話題になりました。
米国で日系2世として育った新聞記者が、日米両方でアウトサイダーとして扱われる中で、自己のアイデンティティと向き合う。
山崎豊子作品は何度読んでも新しい発見がある、ぜひ本棚においておきたい本です。
●宇宙を目指して海を渡る
宇宙を目指して海を渡る MITで得た学び、NASA転職を決めた理由
- 作者: 小野雅裕
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2014/04/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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タイトルまま。モチベーション上げるときにぜひ。
●いい会社をつくりましょう
長野県の名企業、伊那食品工業の社長が記した経営の本。
企業・チームに芯を通すディシプリン。それがどれだけ社員・メンバーに浸透しているのか。
企業向けで安定収益を確保しつつ、消費者向けにも商品開発を怠らないこの企業の姿勢はいつも参考にしたいと思っています。
●生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか
東工大で行われた、研究者が「なぜ自身がその研究をしようと思ったのか」というテーマで語った講義が本になりました。
子どもの時から明確に意識してその職についた人から、流れ流れて行き着いた人まで、いろんな人生が垣間見えて素敵です。
※以下、年末用の積ん読
◆理不尽な進化
◆植物は<知性>をもっている
植物は<知性>をもっている―20の感覚で思考する生命システム
- 作者: ステファノ・マンクーゾ,アレッサンドラ・ヴィオラ,マイケル・ポーラン,久保耕司
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2015/11/20
- メディア: 単行本
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◆NASAより宇宙に近い町工場
- 作者: 植松努
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2009/11/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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◆バイオデザイン
- 作者: ステファノス・ゼニオス,ジョシュ・マコーワー,ポール・ヨック,日本医療機器産業連合会,日本医工ものづくりコモンズ
- 出版社/メーカー: 薬事日報社
- 発売日: 2015/10/07
- メディア: 大型本
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◆春風夏雨
◆「見えざる手」と「見えざる心」
「見えざる手」と「見えざる心」 ワーク・アンド・ファミリーのゆくえ (上智大学新書)
- 作者: 平尾桂子
- 出版社/メーカー: ぎょうせい
- 発売日: 2015/09/11
- メディア: 新書
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◆意識と脳
2016年も楽しく本を開いていこうと思います。
良いお年を。
まとめ#6 2015年7-9月】読んでよかった本5冊
だいぶバタバタした3ヶ月でしたが、ちょこちょこ時間をつくって少しずつ読書しています。
手に取る、実際に買う、読んでみて「おぉ」と感じる本の種類がそれぞれどう変わってきたのか、改めて振り返ってみると面白いと感じてます。
この3ヶ月は、当たりが多かった気がしています。2015年最後の3ヶ月もしっかり時間を確保して、ゆっくりお勉強&リラックスできればいいなぁと願いを込めつつ、今期面白かった本を5冊ご紹介します。
●ルシファーエフェクト byフィリップ・ジンバルドー
「悪の陳腐さ(the banality of evil)」
ナチス犯罪に対する裁判レポート中で、執筆者ハンナ・アーレントが記した言葉です。
ユダヤ人を含めた数百万人の人間を強制収容所に送り込み、ホロコーストの中心的な役割を果たしたアドルフ・アイヒマン、彼は非道な行為を行う"特別な"悪をまとった人間だったのか。実際の裁判を観た彼女は、アイヒマンは決して特殊な個人ではなく、どこにでもいる"有能な官僚"であると結論づけます。そんな彼にさえ悪は憑依しうるのだと、悪というものはそれほど特別なものではなく誰にでも/どこにでも起こりうるのだと表現したのが、冒頭の言葉。
"悪の陳腐さ"というアーレントの言葉が共感を呼び続けているのは、世界のあちこちで大量虐殺が起こり、拷問やテロリズムが依然として地球上にあふれているからだ。私達はこうした心理から距離を置き、悪人の愚行や暴君の無分別な暴力を個人の気質の問題とみなしたがるが、アーレントの分析は、人間がいかに変わりやすいかを示し、個人の気質に帰結する姿勢を否定している。社会的な勢力は、人間のこの変わりやすさにつけ込むことで、普通の人々をぞっとするような行為にかりたてていくのだ。(pp.467)
本書の中で、ジンバルドーは、自身が行ったスタンフォード監獄実験を通じてそれを立証します。看守/囚人というランダムに割り当てられた役割を通じて、20歳前後の若者(及び参加した著者やまわりの大人たち)の行動/精神状態がいかに変化していくのか。本書の冒頭は、その詳細なレポートから始まります。日曜日、彼らが突然集められ、金曜日、予定よりも1週間早く実験を中止するまで。個人としては善良で何も問題がないように見える人間が、刑務所という仮想空間に置かれるだけで、豹変する。
組織や風土が個人に与える影響がどれだけ大きいのか、示唆深い文章です。
800ページにも渡る大部で読み応えたっぷりです、ぜひ手に取ってみてください。
- 作者: フィリップ・ジンバルドー,Philip Zimbardo,鬼澤忍,中山宥
- 出版社/メーカー: 海と月社
- 発売日: 2015/08/03
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●すばらしい新世界 byオルダス・ハクスリー
2015年4月、中国の研究チームがヒトの受精卵に世界初の遺伝子操作を行ったことが論文を通じて発表されました。髪や眼の色、得意なスポーツ、知性などを親が望むようにコントロールした上で生まれてくる「デザイナーベビー」が生まれてくる日が近づいてきているのかもしれません。
本書で描かれるのは、それよりももっと進んだ社会。西暦2540年、人は受精卵の段階からビンの中で培養され、生まれる前から階級が完全に固定され仕事から居住区まで総てが固定化されている。睡眠時教育で価値観が醸成され、このような状況に疑問を持つことはない。加えて、副作用のない麻薬が開発され、ほんの少しの辛さもそれで紛らわすことができる。まさに「すばらしい新世界」です。
ハクスリーはこの"ユートピア"を支持しません。それは、培養にミスがあったために、上記のような価値観に対して疑いをもつ主人公の存在と、以下の記述に凝縮されます。
確かに現在は厭わしく、現実はおぞましいーーけれども、嫌悪を催すほど切実なものであるからこそ、この現在の現実はすばらしく、意義深く、この上もなく大切なのだ。(Kindle版 No.3,101-3,103)
悩むこともなく、快楽に身を委ねる生活は幸福なのか。私達にとっての理想社会とはどのようなものなのか。
この本が書かれたのは1932年。80年以上も前です。"人間中心"が大きなテーマとなり科学技術がどんどん前進していく現代にも生きる、深い洞察があるように思います。
●僕らの哀しき超兵器 --軍事と科学の夢のあと by 植木不等式
面白さ全開。
世の科学者とは、なんて想像力豊なんだろう。
氷で出来た空母、発火物を背負い木造建築物に忍びこむコウモリ、おがくずに混ぜた細菌兵器、、、
どれも時代の要請や技術力の不足から頓挫していった「哀しき」アイディアたちだけど、今なら!と思うものもちらほら。
個人的に一番の衝撃だったのは、1970年代のチリで、工場・生産設備をすべてつなげて管理する構想があったこと。Industry4.0の先駆けが、社会主義的な計画経済運営の妖精から生まれてくるのはある意味自然なことなのかもしれないですが。
科学は夢を語る。語られた夢に、人々は夢を託す。夢の駄賃に税金を払う。科学はそれを食べて育つ。食べて私たちにまた夢を見せてくれる。夢の下地がたとえ兵器であろうと、何だろうと。
科学は獏だ。夢を糧にする。そして私たちもまた。
人間は獏である。(pp.43)
植木等をおもいっきり意識した著者名も、個人的にはツボでした。
ぼくらの哀しき超兵器――軍事と科学の夢のあと (岩波現代全書)
- 作者: 植木不等式
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/08/20
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●二つの祖国 by山崎豊子
7月あたり山崎豊子祭りをしていました。その中でも一番刺さったのがこれです。
太平洋戦争に突入しようとする時代の米・カリフォルニアに生きる日系二世が主人公です。アメリカでは日本人として、日本ではアメリカ人として、どこにいってもアウトサイダーとして扱われるなかで生じるアイデンティティの揺らぎを、とても丁寧に描写しています。
後半、東京裁判の描写がなされていますが、この本を通じて初めて知ったこともたくさんありました。インドのパール判事が全体の判決に与しなかったことは有名ですが、判決に際して1,235ページもの意見書を提出し、かつその根拠が「事後法であるため」とうところにあったことは本書を通じて学びました。また、清瀬弁護人のこの発言も。
「我々がここに求めんとする心理は、一方の当事者が全く正しく、他方は絶対不正であるということではありませぬ.......われわれは困難ではありますが、近代戦争を生起せしめた一層深き原因を公正に探求せねばなりませぬ、近代戦争の悲劇の原因は、人種的偏見によるのであるか、資源の不平等によるものであるか、関係政府の単なる誤解に生ずるのか、裕福なる人民、又は不幸なる民族の強欲乃至貪婪にあるのか、これこそ人道のために究明されなければなりませぬーー」(kindle合本版 No.17,257-17,263)
山崎豊子作品は、何度も何度も読み返したくなるものばかりですね。すごい。
●へぐりさんちは猫の家 by廣瀬慶二
ほっこり。
とにかく癒やされました。動物と一緒に生活したいです。
積ん読が溜まってきています。これからも、わくわくしながら読み進めたいと思います。
まとめ#5 2015年4~6月】読んでよかった本5冊
定期的に読みたくなります。
赤めだか
文章として素晴らしいなぁと思いながら一気に読みました。
もう一度読む山川世界現代史
中南米の革命のところがとても興味深かったです。
天才たちの日課
天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々
- 作者: メイソン・カリー,金原瑞人,石田文子
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2014/12/15
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クリエイティブではないけど、みんなこだわりある生活だったようです。
デザインの輪郭
半年前なら読まなかったジャンルの本です。
まとめ#4 2015年1~3月】読んでよかった本5冊
今年は四半期ごとに更新できればと思います、頑張ります。
転職のタイミングだったこともあり、お仕事っぽいものが多めです。
どなたかの読書生活を少しでも豊かにできることを祈りつつ。
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・いい会社をつくりましょう
とてもとてもとても良い本でした。今期一番です。
寒天製品の国内シェア80%、海外シェア15%以上(2009年時点)を誇る伊那食品工業、その社長さんが書いています。20代から50年以上経営に携わり、この会社を「日本でいちばん大切にしたい会社」(坂本光司 著)の一つに選ばるような優良企業に育て上げられました。
本のタイトルはこの会社の社是。
「いい会社」とは、単に経営上の数字が良いというだけではなく、会社を取り巻く総ての人々が、日常会話の中で「いい会社だね」といってくださるような会社のことです。
「いい会社」は自分たちを含め、総ての人々をハッピーにします。そこに、「いい会社」をつくる真の意味があるのです。
急成長を目指さない。自然がそうであるように、木が毎年年輪を重ね少しづつ成長していくように、地域に広く深く根を張り、「公器」としての役割を長期にわたって果たしていく。
目先のブーム・トレンドは追わない、中長期でどう社会が進歩していくかを追っていくんだ。というところも、なるほどー、という思いでした。
言葉として響いたのは、特にこの2つ。
ロマンだからと、景気がいい時は思い切り急拡大しておいて、ダメになったら放り投げる。多くの人を犠牲にする。そういう考え方の人は、経営者になってはいけないのかもしれません。
人生というのは「いい思い出」と「これからの夢」で成り立っていると考えています。「いま」というのは存在しません。
とにかく良い本でした。ぜひご一読。
・ゆっくり、いそげ〜カフェからはじめる人を手段化しない経済〜
著者の影山さんは、コンサル、VCを経て、いまは西国分寺でクルミドコーヒーというお店をやられています。大学院時代にたくさん通わせていただきました。
タイトルだけ読むと、最近流行りの「市場経済反対!」みたいなものに見えなくないけどそんなことはなく、バランス感のあるフェアで説得力のある内容でした。
本自体も素晴らしいです。でも、ぜひ直接お店にいってください。
この本を通じて伝えたいことが、自分の肌で感じられる場所になっています。
ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~
- 作者: 影山知明
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2015/03/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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・The Lean Enterprise: How Corporations Can Innovate Like Startups
古い業界、大企業にこそイノベーションを!
これから、こんな仕事ができればと思います。
A corporate innovation manager's job isn't to pick winners; it's to create opportunities for winners to rise above the chaos.
The Lean Enterprise: How Corporations Can Innovate Like Startups
- 作者: Trevor Owens,Obie Fernandez
- 出版社/メーカー: Wiley
- 発売日: 2014/03/31
- メディア: ハードカバー
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・古典落語
この2月に初めて寄席に行きまして、それに合わせて。
自分が素敵だなぁと思う人がもれなく落語好きなのですが、実際に自分で見てみて、なんとなくその理由がわかった気がします。
扇子と手ぬぐいだけで一つの世界観・ストーリーを伝えられる噺家さん。尊敬します。
・しんがり 山一證券 最後の12人
昨年の第36回講談社ノンフィクション賞受賞作。
世間を揺るがせた山一證券の破綻。涙を流しながら「社員は悪くありませんから!」という会見のシーンは、今でも時々流れますよね。(この会見を行った野澤元社長、屋代高校の卒業生なんですね、初めて知りました)
最後の最後まで清算業務に携わった方々から感じる侠気。自分がここまで出来るか、出来る人になれるか、そんなことを考えながら読みました。力強い本です。
私の好きな言葉は「勿過去悔 莫将来按 無万事怯」である。
過ぎ去ったことをくよくよ後悔するな。これからのことをあれこれ心配するな。すべてのことを恐れるな、という意味であろう。
人生万事塞翁が馬だ。まだ、我が人生の結論は出ていない。
人間はその場に合わせて咲く能力がある。突然の失職も大したことはなかった。人生はなんとかなる。
なんとかなる!
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4月以降も、気の向くままに読書していければと思います:)