記録#258 『禅とジブリ』
感じたこと
- スタジオジブリのプロデューサーとして作品を支えてきた鈴木さんと、禅師たちとの対話。ジブリの各シーンには、禅が溢れている
- 禅語の本を買って、その言葉を筆ペンで書いていこうと決めました。自分なりに、うまさは考えず、自然に書きたいなぁと。ぺんてるさん、よろしくおねがいします。
- 毎日、眼前のことに対して真剣に向き合う。それに没入することこそ禅である。即今目前。
- 過去にも未来にもとらわれず。理想も捨てる。知識も捨てる。放下著。忘筌。
内容
- 鈴木さんが心を動かされた書、良寛、仙厓、白隠
- 白隠が書く書は、仏教という考え方の広告だった
- 禅において悟りは月にたとえられる。教えはそれを指し示す指でしか無い。広告も、指。
- 伝えると伝わるは違う。伝えるは一方通行、伝わるは送り手と受けての相互作用。
- 『もののけ姫』では「生きろ」、『風立ちぬ』では「生きねば」、白隠であれば『生きてみたら?』がキャッチコピー
- 放下著と即今目前の精神。過去と未来にとらわれてはいけない、どんどん捨て去る。赤ん坊のように。
- 理想と現実の差分から考えない。自然に、今と向き合うということを続ける。
- 白隠禅師坐禅和讃のなかに、当初即ち蓮華国此の身即ち仏なり、と。今まさにこの場所が最良の場所と捉え、幸せに人生を歩むこと。
- 『もののけ姫』に出てくる、「おまえにサンが救えるか」「わからぬ。だが、共に生きることはできる」というのは当に禅問答。達磨がいうところの不識ではないか
- 「死んだあの人にあの世で会えるか」という問いかけに科学は「会えない」と答える。宗教では「会えると信じて生きていくことはできる」と答える
- 坐禅は捨てる場。「何かをしたなら何かを得たい」そんな思いが強まる現代で、あえて捨てる場と時間を持つこと。
- 一日暮らし。どんな辛いこともその日一日だと思えば耐えられるし、どんな楽しいこともその日一日だと思えば浮かれることはない
- 「誰にも真似できない」というのは褒め言葉かどうか。「~に相似たり」というのは禅でよく出てくる表現。本当のオリジナルなど無いのではないか。わからないように真似ろ、というメッセージ。
- つくる、というのは誰かからバトンをもらうこと。自分の人生も、完成させようとするのではなくて、誰かにバトンを渡そうとすること。
- 常に今しか見ていない。とどまらないからこそ常に新鮮でいられる。
- 言葉では似て非なるものしか伝えられない。間を使う。間で伝える。
- 道楽というのは、仏道を歩むことを楽しむ、という仏教用語。頑張るときと解放されるときを区別しない
- 臨済録にある3つの言葉:大小便をすること。服を着ること。食事をスルこと。疲れたら寝ること。これこそ禅である、と。
- 屙屎送尿(あしそうにょう)
- 著衣喫飯(じゃくえきっぱん)
- 困じ来たれば即ち臥す
- 坐禅はこころの調合。トリカブトは少量ならば漢方になる。競争心や怒り、憎しみ、全てはその量次第。漢方薬は先生が調合してくれるが、感情を調合するのは自分。坐禅を通じて自己をみつめて、主体的に調合する。
- 日本語には、必ず対になる言葉がある。矛盾を受け入れる。
- これが自分だ、と思ったものを何度でも脱ぎ捨てる。そう、莊子はいった。
- アスリートが「無心で飛んだ」という境地を、ただ私たちは禅と名付けただけなんだ。
引用メモ
放下著(ほうげじゃく):放り出せ
即今目前(そっこんもくぜん):今を生きよ
脚下照顧(きゃっかしょうこ):自分の足元をみつめよ
喫茶去(きっさこ):まずは茶を一杯
熏習(くんじゅう):薫りで習う。観察して学ぶ
本来無一物(ほんらいむいちぶつ):なにも持っていない、すべての縁によって自分が成り立っている。
忘筌(ぼうせん):魚を得たら、その道具のことは忘れなさい
壺中日月長(こちゅうじつげつながし):時間を超越した悟りの境地にいたり、そこから戻ってきて人は成長する
柳緑花紅:見たもの、聞いたものをそのまま受け止めること。私たちも所詮、自然の一部でしかなくて、身構える必要などない。
ジブリで一時、やめたいという人が続出したことがあったんです。その理由がみんな同じなんですよ。「このままじゃ自分を見失いそう」って必ず言う。その時僕がいつも言ったのは「それは理想とする自分がいて、そこから今の自分を見ているからでしょ。そうじゃなくて今、目の前のことをちゃんとやりなさいよ」ってこと。
隻手音声(せきしゅおんじょう):両手を叩くと音がなるけど、片手の音はどんな音か
僕(鈴木さん)は、あの映画(魔女の宅急便)をキキとジジの対話の映画じゃないかと思っているんです。つまり、自分との対話。まだ自己を確立していないキキが自分になるプロセスを映画にしたんですね。(中略) 自分が自分になれば、もうジジは話さなくなる。
今の人たちが生きるのが苦しいと感じるのは、手渡されたバトンを持ったままゴールしようとするからだと思うんです。誰かからバトンを受け取って、誰かに渡すと思うと、自分で走らなければならない距離が著しく短くなりますよね。
中国に両行(りょうこう)という言葉があります。それは、対立するもの両方をそのまま生かしておくと、必ず何かが生まれてくる、という考え方なんです。一つの考え方で絶対化してしまわないで、対になるような考え方を常に持っておく。相矛盾する両方を生きていくしかない、そういう思想が日本人のベースにあると思うんです。
記録#257 『戦略プロフェッショナル シェア逆転の企業変革ドラマ』
戦略プロフェッショナル シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 三枝匡
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2012/10/18
- メディア: Kindle版
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感じたこと
- 現場からトップにまで求められる戦略思考、それをストーリー形式で学ぶことができる。本当に良著。初版が出たのが1991年だけど、30年近くたった今でも意義を失わない一冊。
- 「戦略を乱用するな、正しく使え!」というメッセージが突き刺さる。MBAチックに全てを論理・計数に落とし込むことでうまくいくことなんて無い。組織ありき、人ありきの事業モデルに。戦略は、正しいリーダーシップと合わさって初めて価値を持つ。
- 戦略検討のプロセスは王道中の王道。どんな戦略の本より、このストーリーを読んでプロセスを追体験するのが良い学びになると感じる。
- リーダーシップと実行の仕組み。先日読んだOKRなんかも活用しながら仕組みとしてエンベッドするのがよいのでは。
- この本が出たのが1991年。30年前の本だけど、今読んでも全く古さを感じない。すごい。
内容
- 親会社から新日本メディカルに降り立った主人公・広川は以下のプロセスで戦略を検討していく
- 仕事の優先度を決める:経営トップにとって時間は最も貴重なリソース。全社観点から、プロテック事業部の改善が優先課題であることを経営層で合意。
- 相対する市場全体を俯瞰する:市場規模とその成長率、競合の存在を踏まえて今後の成長余地を大きくつかむ。市場規模はそこそこで成長率は10%、競合は細かく分散しておりかつチャンスがあると判断。
- 戦略製品を抽出する:製品別市場で見ることで、成長商品とダメ商品を判別し、投資すべきカテゴリーを見極め。今後の事業展開は製品群Aにかかっており、プロダクトライフサイクルと市場シェアの情報から、ジュピターが戦略的に使えるチャンスがまさに今であることを判断
- 製品の差別化能力を確認する:ユーザー・技術・コストなどの観点から製品を評価。社内の固定観念を排し、利便性や技術面、コスト優位性などの視点で十分な製品力があると判断。
- 価格と利益構造をチェックする:競合との価格比較や粗利率などの価格構造を分析。価格体系は障害となっておらず、利益率も十分でまだ遊べる幅があると判断
- 戦略ロジックを策定する:ユーザーを訪問するなどしてファクトを集め、成功への道筋を描く。ユーザーにとっての資産購入の決裁周りに壁があると判断。社内の人間がいう、全体の価格体系や製品ニーズには問題がないことを再確認
- 自社の組織の強み・弱みを理解する:個々人、チーム、彼らの動き方などを踏まえ、戦略を実行し続けるための制度や構造変革を考える。広川は、現在の士気の低さに対処することと、ユーザー対応のための直販チャネル構築の必要性を認識。
- 市場ターゲットを絞り込む:顧客をセグメント化し、優先順位付けする。広川はまずターゲット施設を1,000にしぼり、そこから顧客のニーズと自社にとっての魅力度でセグメントを切り、300程度の最優先顧客と、それに続く200程度の次優先顧客を設定した
- 戦略展開の時間軸を設定する:市場の受容性や競合の動きを踏まえて、実行するための時間軸を設定し、チームと共有する。広川は、競合の市場参入に備えて、時間軸を最大1年として急ぎ施策実施に移っていった
- 戦略を仕組み化する:共通言語の創出、戦略実行をフォローアップする仕掛け、本社と営業所の連携体制の構築、販促物の作成支援など、実行を徹底してサポートする
- プロダクト・ライフサイクルとセグメンテーション、これだけは覚えておけ。
- 実践的戦略プロフェッショナルであるためには、、、
- トップとして強いリーダーシップを発揮する覚悟があること。部下をWhyで説得し、士気を鼓舞し、創意工夫を促し、共に考えともに戦う危害を見せること
- 新しい戦略を考え出す作業手順をマスターし、作業のステップごとに取りうる選択肢をチェックし、責任者としてそれを緻密に実行していくこと
- リスクを背負いながらもそれを意に介さず、適度に受け流すこと
- 成長企業は組織がいつもアンバランス。開発/生産技術/営業など、会社の中の何処かに優れた突出部があり、それに牽引される形で他の部門が遅れながらもなんとか成長していく
- その突出部は、時とともに交代していき、会社全体としては常にどこかが突出している状態になる
- ジリ貧企業では社内が低位均衡、低いレベルで安定・停滞してしまっている事例が目につく
- 経営トップとしては、あえてこのようなアンバランスを”ほどよく”生み出すことが重要
- 戦略はチームで実行するもの。小学生の子供に夕ご飯を食べながら語れるほどシンプルなものであるべき
- それを、しつこくしつこくフォローして、組織として実行していく
引用メモ
大企業のサラリーマンが時代の華でなくなってから久しい。 しかし多くの人がいまだにそれにこだわっているのは、代わりの生き方がみえないから、ただそれだけではないのか。
記録#256 『お金があれば幸せになれるのか 幸せな人生を送りたい人への21章』
お金があれば幸せになれるのか ―幸せな人生を送りたい人への21章
- 作者: フレデリックルノワール,田島葉子
- 出版社/メーカー: 柏書房
- 発売日: 2018/10/24
- メディア: 単行本
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感じたこと
- 結論、お金があっても幸せにはなれない。ただし不幸せを減らす(障害を減らすことはできる)ということ。
- 自分が強く影響を受けている仏教・ストア派哲学が近い考え方を持ってもっていると整理されたのが収穫の一つ
- 引用の最後に書いた、人生を愛することが幸せへの王道、という文章が好き。正しく理解し、受け入れること。変えるべきことを見極め、自己と世界を変革すること。
- エピローグに出てくるスーフィーの寓話がとてもわかり易い。人は自分というフィルターを通じて世界を見る。不幸に見る人は、どの環境も不幸に見える。幸福に見る人は、どの環境も幸福に見える。そこには自分がいるから。
- ちょっと前にTHE GUILDの深津さんがnoteに書いていた[幸せと充足を求めるためのあれこれ」と合わせて読むと良さそう
とりあえず最短距離で、幸せと充足を求めるためのアレコレ|深津 貴之 (fladdict)|note
内容
- 幸福=「主観的幸福感」(本人の主観をもとに測った、幸せで満ち足りた気持ち)として哲学・心理学では取り扱う
- 瞬間的な喜びや快楽とは異なる、様々な感情体験を経た後の複合的な感情
- 一定期間に渡って、総合的に見た心の状態
- 欲求や願望が満たされたときに感じる「快感情・快情動」は幸福の一要素であるが本質となりえない
- 喜びは、ホルモン分泌と脳の神経伝達部室のバランス回復という効果がある
- 一方で快感情はあくまで一時的なものでありすぐに移ろってしまう
- 快感情の追求がその後の失望や虚しさにつながる
- 単なる喜びではなく、自分の人生に対する意味を見出し、それに基づいた方向を自覚できることも幸福に欠かせない要素
- ヴィクトール・フランクル「人間を突き動かしているのは、生きる意味の追求である」
- 喜びにも意味にも方向にも、それらは正しい理解と智慧に立脚しているべき。その意味で幸福は「真実に立脚した意味のある人生において、総合的かつ持続的に満ち足りた状態を自覚すること」と言えそう。
- 一方で、その内容はひとりひとりの主観や完成、希求するもの・こと、人生の段階でも異なる
- かつ、そのような幸福は壊れやすく、予測不能であることにも注意
- 塵世に意味を見出すためには、まず自分の奥深い本性に従って生きること。自分本来の個性と豊かな感性を活かすことにより、与えられた人生と世界を心から楽しめること。
- 今に集中し”気付く”ことと、気ままに"夢想する"を行き来することで、幸福を自覚する瞬間を持つべし
- さらに、幸福は伝染する。幸福な友人がひとり増えるごとに自身が幸せになる確率は9%ずつ上がり、反対に不幸せな友人がひとり増えるごとに、蓄積した幸福量は7%ずつ減少する(ハーバード大学、ニコラス・クリスタキス教授の研究)
- 人間の生存本能が幸福実感の妨げになることも。以下3つの要素が存在
- 周囲の環境に適用するための順応性を高めたことで、くり返し起きる辛く苦しいことにも耐えられてしまう。それにより、不幸が当たり前になる
- ポジティブな出来事よりもネガティブな出来事に意識を向けやすい
- 現状に満足しない、常に状況を改善しようとする
- クルレティウス「人間は欲望の充足を求めて駆けずり回る永遠に満たされない存在」
- 欲望とどう向き合うべきか、仏教とストアは哲学のあいだにある共通性
- 欲望の転換:深い喜びは心の平安、静けさ、安らぎにある。そのために正しい認識と自助努力を通じて自己を変革する
- 流れに逆らわない柔軟な生き方:快楽と苦難の中間にある、調和の取れた生き方を追求する
- 円環的な時間感覚・すべてのものの流動性/非恒常性
- 自己制御と解脱により、個人を自由と自律に導こうとしている
- しかし戎の厳しさなどを「実現不可」として、より自然の流れを意識したモンテーニュや老壮の思想が生まれた
- モンテーニュ「喜びを拡大させ、悲しみはできる限り取り除く」の基本方針に基づき、2つのことを大切にする
- 自分自身の幸福を自覚し、それを味わう時間を作り、できる限り強くその喜びを噛みしめること
- 「私は、ダンスをするときにはダンスをし、眠るときには眠る」というように、一つ一つの自分の体験に意識を集中させる
- 幸福と向き合ったスピノザの哲学
- 物事の不完全な理解から正しい理解へ、
- 行き過ぎた欲望から程よい欲望へ、
- 限られた喜びから私服と呼ばれるこの上ない喜びへ、
- 正しい認識によっていたろうとする取り組み。
- その取組の一歩一歩で喜びが得られ、自分の力能の増大に伴って、常により大きくなっていく
引用メモ
原罪の教義に賛同できない私は、マチウ・リカールのこの見解に深い共感を覚える。それは、人間の本性の根底にあるのは善(=仏性)であり、人間の心は他社を慈しみ、惜しみなく与えることで開花するという、仏教に基づいた考え方である。憎しみ、怒り、恐怖などに駆られてネガティブな行動に走るとき、私たちはしばしば自分を見失い、自分が別人になったような気がする。人が激怒すると、「我を忘れる」「逆上する」「血迷う」などと表現するのもそのためだと思われる。反対に、善意、利他心、共感などを同期としてポジティブな行動をとったとき私たちは本来の自分らしい自分になれたように感じる。人間は利他的であることを、本心では望んでいるからだろう。
真人は踵で呼吸をする
わたしが信じているのはスピノザの神だ。つまり、存在するものの調和の中に顕現する神であって、人間たちの運命や行為を気にかけるような神ではない(アインシュタイン)
明日の自分を待ち受けているのは、喜びなのか悲しみなのか、楽しい出来事なのか不快な出来事なのか、予測できないのが人生である。それは絶えず浮き沈みし、光の部分もあれば闇の部分もあり、楽しみもあれば苦しみもある。幸せであるとは、そういう人生を丸ごと愛せるということである。移りゆく人生のあらゆる季節を、幼年期の無邪気さも老年期の便りなさも、青年期の夢と苦悩も、壮年期の充実感と挫折感も、全てをひっくるめて愛するということだ。誕生を愛するとともに、死をも愛することであり、人生に訪れる幸せなひとときを、思う存分に楽しむとともに、悲しみが湧いてきたら、それをとことん味わうことだ。そして自分に近しい人たちを、心を全開にして愛することであり、人生の瞬間瞬間を、強烈に生きることである。
記録#255 『OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』
OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法
- 作者: クリスティーナ・ウォドキー,及川卓也(解説),二木夢子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2018/03/15
- メディア: 単行本
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感じたこと
- 初めてOKRの内容を見たときは「ただミッションや経営目標をKPIに分解しただけやん」と感じたけど、導出の仕方やフォローアップ方法、コミットメントへの踏み込みを見るとこれは全く異なるものだなぁと。
- 機能単位ではなくプロダクトチーム単位で考えるべき、というのはまさに同意。もともといたスタートアップでも、こういう取り組み、したかったなぁ。。
- Cobe Associeに2人目社員が入ったら、必ず設定しよう、OKR。
内容
- OKR:OはObjective(目標)、KRはKey Results(主要成果)の略
- 数字にこだわらない人を鼓舞して動かすのがO
- 数字にこだわる人に対してOの現実味を示してくれるのがKR
- 適切なゴールを設定して、毎週ゴールを目指して仕事をし、目標達成するたびに祝えば、企業は一直線に成長するはず。
- OKRの基本となっている考え方はMBO(Management by Objectives;目標による管理)
- 第一原則:何をするかではなく、何を求めているかを伝える
- 第二原則:パフォーマンスは成果で測る(When Performance is Measured by Results)
- 私たちが目標を達成できない5つの理由
- 目標に優先順位をつけていない:現状維持するのでも精いっぱいな中で、3つも4つもの目標を追うことはできない
- 熱意を持って漏れなくゴールを伝えていない:何度も何度もリマインドすべき。コミットメントミーティング、朝会、状況報告メール、ウィンセッション、、、繰り返すこと
- やり遂げるためのプランがない:脱線を許さないコミットメントプランを立てておく
- 重要事項のための時間を空けていない:重要事項にこそ締め切りを。重要ではないが緊急であることに時間を割かれないように。
- 繰り返さずに辞めてしまう:何が機能するのかしないのかを念入りに観察し、機能する点を増やし、機能しない点を減らす。
- OKR導入前に、まずは会社のミッションから整理しよう
- シンプルで覚えやすく、チームの時間の使い方を決める指針となる言葉であるべき
- まずはシンプルな公式から始める:私たちは[価値提案]によって[市場]における[問題点を取り除きます/生活を向上させます]
- そこから遂行して、5年は耐えられるミッションへと仕上げる
- ミッションをベースに、四半期ごとのOを定めるのが良策
- Oは定性的なものを一つだけ、KRは定量的なものを3つ程度定める
- Oは次の条件を満たす一つの文章にする
- 定性的で人を鼓舞する内容にする:わくわくさを引き起こす、チームにあった言葉を。
- 時間的な縛りをつくる:1か月や四半期で実現できるものにする
- 各チームが独立して実行できるようにする:個人のOは個人で、チームのOはチームで完結するように。他所依存の言い訳を許さない
- KRは感覚的な言葉を定量化する。測れるものであるべき
- 以下のような指標が良く用いられる:成長率、エンゲージメント、売り上げ、性能、品質
- 難しいが不可能ではないKRを設定する。自信度が50%程度になるものに
- Oは次の条件を満たす一つの文章にする
- 全社OKRに対して部署OKR、部署OKRに対して個人OKRのような構造になるように
- OKRを日常に一部に組み込む
- 毎週のチームミーティングにOKRを組み込む
- 毎週の状況報告メールに組み込む
- OKRを導入する場合、機能組織ではなく、プロダクト組織単位で切って導入するのがおすすめ
- OKRを設定するときにはがつっと4時間くらいミーティングをする
- OKR実導入のスケジュール
- すべての従業員に、会社が次の四半期に追求スべきだと思う目標を提出してもらう
- 経営幹部が↑の半日セッションを行いO/KRを設定
- 経営幹部が四半期OKRを直属の部下に説明し部署OKRを設定する
- CEOが全社/部門OKRを承認
- 各チームOKRを設定し、部門長が承認
- 個人OKRを設定し、マネージャーが承認(適宜1on1、コーチングを絡める)
- 最初から100%導入を目指さず、全社OKRのみ、1チームのみ、1プロジェクトのみから始めるのも吉
- OKRは運用されてこそ全て。書く機会を最大限に活かす
- 月曜のOKRチェックインは会話の機会に。自信度の変化、健康・健全性、優先順位について話し合うこと。状況報告で終わらないように
- 従業員に会社OKRを提案してもらうこと。トップダウンにならないように
- OKRは誰でも見られるように。社内イントラにでも貼っておけ。
- 金曜日のウィン・セッションはお祝い。活発な雰囲気を保つこと。
記録#254 『中国古典の知恵に学ぶ 菜根譚』
- 作者: 洪自誠,祐木亜子
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2007/12/15
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内容・感じたこと
- 菜根譚、とは、「人よく菜根を咬みえば、すなわち百事をなずべし」(堅い菜根をかみしめるように苦しい境遇に耐えることができれば、人は多くのことを成し遂げることができる)という言葉に由来
- 著者の洪自誠が、儒教・仏教・道教の教えを混ぜ合わせて人生訓としてまとめたのがこの菜根譚
- 生き方について
- 前集50:治世に処しては宜しく方なるべく、乱世に処しては宜しく円なるべく、叔季の世に処しては、当に方円並び用うべし。(この世でうまくいきていくためには、今という時代を読み、相手をよく見て行動することが大切だ。たとえば、政治的に安定した時代であれば、自らの志や信念を貫いた生き方をすればよいし、風紀や秩序が乱れた時代であれば、四角四面に行動するのではなく柔軟に生きたほうが良い。そして、風紀も秩序もほとほと失われた時代であれば、志や信念を貫きつつも柔軟性を忘れず、臨機応変な対応を心がけたほうがよい)
- 前集90:天、我に薄くするに福を以ってせば、吾、吾が徳を厚くして以ってこれを迎えん。天、我を労するに形を以ってせば、吾、吾が心を逸にして以ってこれを補わん。天、我を阨するに遇を以ってせば、吾、吾が道を亨らしめて以ってこれを通ぜしめん。天且つ我を奈何せん。(天が幸福を授けてくれないなら、自分を磨いて幸福を得よう。天が肉体を苦しめるなら、精神を楽にして苦しみを減らそう。天が進む道を阻むなら、努力してわが道を貫き通そう。こうすれば、天といえども、どうすることもできないだろう。)
- 自分を律することについて
- 前集51:我、人に功あらば念うべからず。而して過ちは則ち念わざるべからず。人、我に恩あらば忘るべからず。而して怨みは則ち忘れざるべからず。(人に与えた恩は忘れてしまうのが良い。しかし、かけた迷惑を忘れてはならない。人から受けた恩は忘れてはならない。しかし、受けた恨みは忘れてしまうべきだ。)
- 前集217:口は乃ち心の門なり。意は乃ち心の足なり。
- 幸福について
- 後集122:世人は営利のために纒縛せられて、ややもすれば塵世苦海という。知らず、雲白く山青く、川行き石立ち、花迎え鳥咲い、谷答え樵謳うを。世もまた塵ならず、海もまた苦ならず、彼自らその心を塵苦するのみ。(名誉や金儲けばかり考えている人は、とかく「世間は汚い、世の中は頭を悩まし苦しませることだらけだ」とぼやく。しかしそれは、彼らが目先の損得にとらわれるあまり、自然の美しさに目を向けないからだ。雲は白く、山は青く、川はサラサラと流れ、岩はそそり立っている。野には美しい花が咲き乱れ、鳥はさえずり、谷にはこだまし、木こりが歌っている。世の中には、こんなに美しい世界もあるのだ。この世は汚れてもいないし、苦しいことばかりがおきるわけではない。そうさせているのは、自分自身の心である。)
記録#253 『まんがで読破シリーズ』
北海道に旅行に行きまして、移動中にまとめて読書。Kindleのセールに合わせてガツッとかってまとめて読み通しました。
- 旅行先への移動時間にぐーっとまとめて読書。これまでなかなか手が伸びなかった古典型を中心に。
- マキャベリの君主論は、その内容のみならず、それが書かれた時代背景にまで踏み込まれていて内容理解が一層深まった。リーダーシップを考えるリアルケースだ。
- 乱世・軍空割拠のイタリアで小国として生き延びることを目指すフィレンツェで官僚として働くマキャヴェリ。自国の領主がフランスにつくのか強行側につくのか煮え切らないなか、ロマーニャの軍人のリーダーシップとそれがもたらす成果に感銘を受ける。
- 不確実性の高い世の中だからこそ、人々を引きつけるのはあくまで結果だ、と考え、必ずしも恐怖政治=悪とは言い切れないのではないか、と。
- リーダーは今という時流を見定め、その時流を掴み大空に羽ばたき、大きな目標を掲げ、部下たちに夢を与え導く存在でなくてはいけない
- リーダーはときに孤独と向き合いつつも、自身の運命を受け入れて、果敢に攻めていく姿勢が求められる。そんなリーダーに、幸運の女神が微笑むはずだ。
- 1984には、救いがない。こんな内容だったのか。ハックスリーの『すばらしい新世界』の内容も思い出しつつ、救いとはなにか、希望とはなにか、幸福とはなにか、を考えさせられた。
- 般若心経。マンガの『阿・吽』にはまっていることもあって、仏による救いとはなにか。空とは、五蘊とは、無常とは、縁とは、これも考える系。導入として、マンガから入るのはいいなぁ。
記録#252 『プロジェクトリーダーの教科書 外資系コンサルが教える難題を解決する12ステップ』
外資系コンサルが教える難題を解決する12ステップ プロジェクトリーダーの教科書
- 作者: 中鉢慎
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2018/07/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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感じたこと
- PMBOKの内容、改めて勉強してみようかなあ。PMI会員。。。
- 普段無意識で行っていることがたくさん散りばめられていて、それが3Dモデルとしてまとまっており、納得度が高い
- あらゆるプロジェクトで、Defineをしっかりするようになれば、職場のハピネスは高まるだろうなぁ。
内容
- すべての業務がプロジェクト化する
- 常に定まっている、定常業務はどんどん減っていっている。プロジェクト化の時代。
- プロジェクト:独自の製品、サービス、所産を想像するために実施される有期の業務。 よって以下4つが定義されている必要。
- 達成すべき明確な目標
- 達成するまでに許容された時間
- 達成するために必要な人員
- 達成するための手順
- プロジェクト vs 定常業務の差異
- 性質:独自性 vs 反復性
- 時間:有期性 vs 継続性
- 目的:変化に対応 vs 複雑さに対応
- 人材:流動的 vs 固定的→チームビルディングが都度必要になる
- 手順:都度選定 vs 既存
- リスク:不確実性 vs 確実性
- 環境変化により、目標や範囲が変更されるかもしれない
- 利害関係者の変更により、要件が変更されるかもしれない
- 導入予定の新技術や新サービスが未成熟かもしれない
- 業績の影響で、予算が途中で大幅に削られるかもしれない
- チームが想定通りのパフォーマンスが出せないかもしれない
- 姿勢:柔軟性と機動性 vs 秩序と一貫性
- プロジェクトの成功を阻む4つのハードル
- 要望・ニーズを的確に捉えていない、達成すべきゴールが明確ではない
- 非現実的なプロジェクト計画、フェーズごとの責任者が分断、リスク対応不十分
- 役割分担が不明確、メンバー/チーム間のコミュニケーション不全、スキル不足
- 現場に丸投げ、当事者意識の希薄さ、変更管理/意思決定プロセス不全
- D3アプローチに基づく12ステップに分解し、VUCA時代のプロジェクトに対応したい
- D3アプローチでは、PMBOKと違い、「いくら精緻な計画を立てて厳密なコントロール・管理をしても、プロジェクトにおける問題は必ず起きる」と捉える
- フェーズ1・Define(定義):ゴールのないマラソンは走れない
- ステップ1: 最終目標
- プロジェクト憲章をまとめる
- ゴール:最終的に達成したい事柄
- 目的:達成したい理由
- ビジョン:ゴールを達成したことによる理想像
- 目標:標的:ゴールを構成する要素
- マイルストン:種類と時間軸で細分化された道標
- 優れたビジョンはチームが逆境にあるときにメンバーが諦めずに前を向けるような力を与える。不格好でも、自分の言葉でビジョンを繰り返し伝えるべき。
- 目標はSMARTに設定すべし
- S:Specific(具体的な)
- M:Measurable(測定可能な)
- A:Achievable(達成可能な)
- R:Result Oriented(結果思考な)
- T:Time Bound(時間内にできる)
- マイルストンはゴールへの線上にあり、状況に左右されず、「何」にフォーカスしており、時間軸の上に平均的に分散していること
- 未来完了系の目標を書く、メモにしておくというのはよくあるゴール設定方法
- プロジェクト憲章をまとめる
- ステップ2: 対象範囲
- スコープを定義するときには、何が対象内かだけではなく、何が対象外かも明記しておく
- 成果物に関しては3要素から定義しておく
- 成果の形状
- 受け入れ基準:ハードであれば色、大きさ、機能、重さ。サービスならば時期、提供機能、パフォーマンス、不具合率など
- 受け入れプロセス:中間成果についてもプロセスを定義。マイルストンに組み込み
- ステップ3: 利害関係者
- ステップ4: 阻害要因
- プロジェクトを進める上で代表的なリスクを事前に洗い出す
- プロジェクトゴールの理解のズレ
- プロジェクトスコープの拡大または変更
- プロジェクト予算の削減
- スケジュールの変更
- 協業パートナーのスキル不足
- 導入予定の新技術の未成熟
- プロジェクトオーナーの変更
- ステークホルダーの抵抗
- 外部環境の変化
- リスクの量は、チームが目指す「あるべき姿」と「現状」のギャップに比例する
- リスク管理プロセスに乗せる
- 認識(Identify):最終目標を脅かす阻害要因を洗い出す
- 評価(Assess):リスクが顕在化する発生可能性と影響度で重み付けする
- 計画(Plan):優先順位の高いリスクから対応策と担当者、期限を決める
- 監視(Control):リスクが計画通りに、軽減していることを随時確認する
- 対応オプションとしては、リスクは放置せず、常に能動的に対応をする
- 回避(Avoided):複数の選択肢があれば、リスクの低い選択を行う
- 経過観察(Controlled):発生可能性を随時確認し、監視することによって驚異を管理する
- 受容(Assumed):予め計画に織り込み、現実のものとなった場合は、策定した対応策を実施する
- 転嫁(Transferred):契約歌詞や専門家へのアウトソーシングなどによって、責任を他者に分担する
- プロジェクトを進める上で代表的なリスクを事前に洗い出す
- ステップ1: 最終目標
- フェーズ2・Design(デザイン):リーダーとして自由に、自信ある旅程を描く
- ステップ5: 資源見積もり
- ステップ6: 体制構築
- 肩書ではなく役割を定義し、体制図に書き込む
- RAM(Responsibility Asignment Matrix、責任分担表)を作成し全員で共有しておく
- R:Responsibility(実行責任)
- A:Accountability(説明責任)
- C:Consult(相談対応)
- I:Inform(情報提供)
- リーダーとは異なる強みを持つサブリーダーを備えることでチームとしては強くなる
- ステップ7: 作業設計
- プロセス設計にある5つのポイント
- 納期を左右する「最長経路(クリティカルパス)」を特定する
- ステップ8: 規範設計
- 品質向上と生産性向上に役立つルールであれば採用し、チームの規範とする
- 設定のためには「目的の明確化」「設計」「周知」「運用」「見直し」のループで進める
- 特に以下のようなルールはありうるやも
- 出社/退社時間、遅刻/早退時の連絡ルール
- 座席表/連絡先(メールアドレスなど)
- 成果物のネーミングルール及び格納場所
- 会議体のルール(時間、場所、議事録など)
- 進捗確認シート
- 成果物のテンプレート(要件定義書、設計図など)
- 問題発生時の管理ルール(データベースなど)
- プロジェクト辞書(用語説明など)
- 新しいルール・行動習慣を身につけるには、平均66日の継続が必要(EJSP、2009年7月)
- 「もし○○になったら、XXする」とうIf-Then Plansという代替行動定義ルールのほうが成功確率が高い
- フェーズ3・Drive(推進):チームとして納得し、意思決定は透明に
- ステップ9: 変更管理
- 計画の変更は以下5つのステップで
- 文章化:起票は要件変更を希望しているユーザー自らが起票する
- 要件の認識のズレを防止し、
- 責任の所在を明確にするため
- 要望理解:申請された変更要求を、背景や理由の妥当性について関係者で議論(Change Control Board)
- 影響調査:特にクリティカルパスに影響しないかを重点的にチェック
- 受け入れ判断:Noであれば代替案と共に
- 再見積もり・作業指示:変更を反映した再見積もり及び役割分担を定め、プロジェクト内に周知する
- 文章化:起票は要件変更を希望しているユーザー自らが起票する
- 計画の変更は以下5つのステップで
- ステップ10: 組織変更
- 道具的コミュニケーション(Instrumental Communication)だけではなく自己充足的コミュニケーション(Consummatory Communication)も行わないと、人間関係・信頼関係が構築されていかない
- チームは形成期(Form)→混乱期(Storm)→秩序期(Norm)→活動期(Perform)の順序でグループからチームになっていく(タックマン・モデル)
- 混乱期に行うべきは1on1で、不満や不安にも心を向けていくことで、チームになっていく
- 状況対応リーダーシップ(Situational Leadership)も活用してみる
- 援助的行動と指示的行動の高低で4象限でマッピング
- 指示的リーダー→コーチ型リーダー→支援型リーダー→委任型リーダーの順で、メンバーのレディネスに対応して選択する
- ステップ11: 問題解決
- ステップ12: 意思決定
- 評価軸と評価プロセスを明確に定義しておく
- 更にそれらをチームに共有し、周囲を巻き込むことを大切に
- 情報が完全に集まったうえでの判断はプロジェクトにおいては不可能。どこまでいっても決断
- ステップ9: 変更管理