記録#155 『システムの問題地図』発注側にもベンダー側にも求められるシステムリテラシー
働き方改革が盛り上がる中で、お名前を拝見する機会が増えている沢渡あまねさん。今回はじめてご著書を読んでみました。
システムの問題地図 ~「で、どこから変える?」使えないITに振り回される悲しき景色
- 作者: 沢渡あまね,白井匠
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2018/02/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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冒頭部分から強烈なうなずきポイント。
システムを取り巻く人たちは、それぞれ不満を持っています。
まずはユーザーから....業務部門(システム担当)
「俺たちはシロウトなんだ。ITのことなんてわからなくて当然!」
「これくらい、ちゃちゃっとすぐ作れるよね?」
「徹夜してでもやれ!」
「保守費用?そんなの、壊れないシステムを作ってくれればいらないでしょ」
「費用対効果を出してくれないと動けません」
「業務のことはわかりません」
「...というわけで、業務がそういっているから、ベンダーさんしっかりやってね。後はよろしく(マル投げ)」
「とりあえず、納期厳守で」
「(じつはITのことよく知りません)」
一方ベンダーからはこんな声が...
営業
「はい、おっしゃられたことはなんでもやります!」
「費用については、とりあえず後で検討しましょう」
開発
「僕たちは、言われたことだけをやればいい」
「要件にありません。できません」
「ぬぉっ、仕様変更。なんとしてでも阻止しろ!」
「とりあえず作ればいいんでしょ。使われるかどうかなんて知ったこっちゃない」
「運用でなんとかすればいい!」
運用
「またボロボロのシステム作りやがって...」
「マニュアル作ってくれないとできません。受けられません」
「営業が安値で受けてきやがった。こんな少人数で回せるわけがない!」
「え、そんな運用が発生するなんて聞いてない!」
ITスタートアップで大企業のプロダクトチームと連携プロジェクトを担当している中で思い当たるところがチラホラと。
- ITシステムを"あればすべてを解決する"魔法のツールとして考えており過剰仕様にしてしまう発注者
- 「わたしたちITシロウトだから」と言いながらコスト圧縮・スケジュール短縮をやたら要求する現業・購買チーム
- 意思決定がなかなか進まず時間がかかり、導入時には時代遅れの技術・UIになってしまっている事実
- サービスの停止基準が定まっておらず、数名のユーザー・微妙なユースケースのための数千万円の保守費を支払って維持しているシステム
- 無駄に密連携・多機能になっておりバッチ処理が毎回綱渡りになる、過剰に現行業務を意識したシステム
- スケジュールリスクを高めてしまう多重請負構造、PMOや経営チームなどによる横槍
などなど。
発注者側にも、ベンダー側にも、どちらにも責任がある。どちら側にも不備がある。
そんな中で、それぞれが学びあえばもっともっとハッピーに働いていけるはず。
システムも人が作るものという前提で、もっと普通のコミュニケーションがまかり通る業界になれば良いなぁと思いつつ、まずは自身から学びをやめないように、と心に誓います。
システムの問題地図 ~「で、どこから変える?」使えないITに振り回される悲しき景色
- 作者: 沢渡あまね,白井匠
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2018/02/17
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