ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#93 『ギャングース』貧困と犯罪の現場から。

今回はマンガ。

千原Jrとケンコバがただただ話す、大好きな番組「にけつッ!!」で紹介されていたのがこの作品でした。

思い切ってまとめ買い(Amazonポイントががっつり付いたので実質3割引きくらいでした...) 。週刊モーニングで2013年から4年にわたって連載されていたこの作品、全16巻完結。

犯罪者だけをターゲットにする窃盗を行う、複雑な事情を持って育った3人の「タタき屋」の少年窃盗団。ドラッグ、建設機器窃盗、オレオレ詐欺...悪いことをしている現場を見つけては、そのアガりをかっさらっていく。

その爽快感たるや。

主人公のカズキ、むっちゃブサイク。ただ、とにかく打たれ強くて、工具に詳しくて、そしてアツい。そして、仲間と家族を大切にする(たとえ相手から拒絶されても)

読み進めれば読み進めるほど、彼の魅力に引き込まれます。

キャラクターの設定だけではありません。このマンガの魅力の根源にあるのは、著者の鈴木大介さんが行う現場取材による、犯罪手法や貧困の現場についての圧倒的なリアリティ。

なぜ若者たちはアウトサイダーの道へと走るのか。背後にある無理解や無配慮はなにに由来するのか。平和な日常という湖に、ポーンと石を投げられるようで。

第4巻巻末に著者の鈴木さんが寄せた文章の一部が下記。

なぜ被害者だった彼らは加害者になったのか。彼らのような「悲しい加害者」を再生産しないために、なにが必要なのか。そんな考えをまとめるのを阻害するように、世の中には様々な差別や誤解、ミスリードを含んだ言説が流れています。 

親からの暴力を受けた少年が、裏稼業に入っていく。

父親に強姦され続けた少女が、裏稼業に入っていく。

被害者から、加害者へ。悲しい再生産が行われていく世界にわたしたちはいます。

並行して読んでいた黒木亮の小説『リストラ屋』では、空売りファンドの創業者・経営者の主人公が、並行してニューヨークのハーレム地区で子どもたちに勉強を教える活動をしていたりしました。あくまでフィクションですが、こんな活動が、私たち全員に求められている気がします。

悲しみの再生産を断ち切るように。

自分自身の生活や仕事を見直すきっかけになった、良いマンガです。おすすめ。

調べてみたら、今年の11月に実写化されるみたいです。

gangoose-movie.jp

ぜひ時間を見つけて見に行こうかと。 

みなさんも、手にとって見てください。