ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#312 『18歳からの格差論』

 

18歳からの格差論

18歳からの格差論

 

 

感じたこと


  • 本書の大きなテーマの一つが分断社会で、格差というのも分断の一つの要素なんだろうなぁと。昨日読んだインドネシアの大統領選分析記事でも、分断を煽る社会運動がイシューとして挙げられていた。情動に訴えかけて一時の成果を得ようとしたものの、根強い分断が生まれてしまうとしたら、それは悲しいことだなぁ。
  • 高所得者も受益者にする施策、論理的・合理的なんだけど、こういう施策を提案したら扇動政治家・メディアの方々の突っ込む対象になってしまってまともな議論にならないんだろうなぁ。諦めちゃいけないんだろうけど。大きい声で煽る人が成功する社会、なくなってほしい。

内容


日本の格差の有り様と原因に独自の角度から光を当て、「必要原理」にもとづく大胆な財政戦略を提唱する井手英策教授が、若い人たちのためにデータを駆使して訴えるまったく新しい啓蒙書。

 

1「格差是正」に心が動かない僕たち

■格差を是正したいですか?

■税への抵抗が強い社会は、誰かのための負担をきらう「つめたい社会」

■貧困にあえぐ人びとを「見て見ぬふりする社会」を僕たちは生きている

格差社会を作り出したのは誰?

 

2日本人の不安の根っこにせまる「3つの罠」、そして「分断社会」

■社会全体を覆っている「弱者へのつめたいまなざし」

■中間層が貧しくなり、弱者へのやさしさが失われた

■「自己責任社会」では、「成長の行きづまり」が「生活の行きづまり」になる

■お年寄りの利益が優先されるという「罠」――深刻な世代間対立が生まれている

■中間層が弱者を批判し、人びとが政府をののしり、お年寄りと若者が鋭く対立する

 

3分断社会・日本「失われた20年」、何がいけなかったのか?

■分断社会・日本

池田勇人首相の思想――自分で働き、自分の足で立つことこそが重要

■小さな政府、貧弱な社会サービスこそ、高い貯蓄率を生んだ大きな原因

■低成長時代にえらばれた「勤労国家」が社会経済の変動に対応できなくなった

規制緩和グローバル化、人件費削減が加速

■賃金が下がりつづけ、デフレ経済に突入――家計貯蓄率もほぼゼロに

■勤労国家が破たん、生活のよりどころが見いだせない社会に

 

4中高所得層も納得して格差是正ができる「必要の政治」とは?

■「救いの手」は救済であると同時に、確実に、そして深く、人間を傷つける

■人間を信じられず、成長できない社会を望みますか?

■発想の大転換、思い切って中高所得層も受益者にする

■「必要の政治」によって格差是正を結果に変える

■理屈で説明のできない理不尽さとは、僕たちは闘わなければならない

 

5人間の違いではなく、人間の共通性に想いをはせてみませんか?

■「必要の政治」は「お金なんかで人間を評価しない」という哲学

■「必要の政治」とは、受益感を高めながら租税抵抗を緩和するという戦略

■「バラマキだ! 」と批判し思考を停止させる、そんな政治を終わらせる

財政再建の理屈が優先され、増税の意味を知る貴重なチャンスを逃す

■分断線を消す、そして、自分の生き方を自分で決められる社会へ