ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#296 『悲観する力』

 

悲観する力 (幻冬舎新書)

悲観する力 (幻冬舎新書)

 

 

感じたこと


  • 過去には楽観的に、未来には悲観的に。準備をしよう。
  • 結びの言葉、揺らぎの表現が素敵。

内容


  • 人間が人間たる要素の一つが、複雑な要素を踏まえて予測を立て、それに対処すること。悲観する力はその予測性を高めることにつながる。楽観が過ぎると、多くを見落とす
    • くよくよするな!悪いことを考えるな!という楽観姿勢はもっと悪い結果を生む
    • 思い通りに行かない、を前提に準備する。エラーを想定すれば、準備ができる
    • 楽観重視が広がる現代。幸運信仰。時間も金も人間も消費されてしまう。不毛。
      • 楽観の原動力は期待と願望。平和がそれを加速させた。
      • 悲観の原動力は自制であり理性。
    • 人間は機械よりも不安定だからこそ、失敗をする前提で。悲観的に。
  • 悲観することがバックアップにつながる。フェールセーフ。
    • 信号は本来青だけあれば機能する。しかしランプ切れなども考えると、青も黄色も赤も準備しておくべき。
    • バックアップができていれば、自信が生まれる。
  • 表向きは楽観に。内向きには悲観に。
    • リーダーシップが楽観的な態度から生まれることは確か。あくまで使い所
    • 理性的な悲観主義は論理を生む。ロジックをベースに検討し、準備・対策をすることはリーダーにとって必要なアクション。
  • 悲観の手法
    • Aならば必ずB、のような決まりごとが絶対ではないと疑う
    • 決めきる発言に対して、例外や反例を探す
    • 見込める効果を小さめに評価し、それでも全体が成立するか検討する
    • 多数意見を鵜呑みにしない
    • 都合の悪い事態ほど優先して考える
    • できるだけ多数の視点に立って考える
    • 自分の説明が相手に理解されていないことを考慮しておく
    • 周囲からの評価を期待しない
  • 過去を楽観し、未来を悲観すること。変えられない過去をどう捉えるかは個人の自由、好きにすれば良い。しかし未来に対しては徹底して準備・対策するために、悲観を。

引用メモ


考えることが、どれほど楽しいことか、僕は機会があるごとに書いているのだが、もうほとんどわかってもらえなくなった。つまり、本当の楽しさをしらない人が多くて、楽しさの価値さえわかってもらえない気がする。(中略) 人間は、自分が望むとおりになる、と僕は常々話している。これは楽観ではない。明らかにそう観察される客観的な事実だ。考えて行動した人が、考えたとおりの結果を得る。結果を得られない人は、考えていなかったからそうなった。差は、考えたかどうかである。

明日にも死ぬかもしれないという悲観と、まだしばらくは大丈夫だろうという楽観の間で、人は揺れ動く。生きるとは、考えるとは、つまりはこの揺らぎのことである。