記録#295 『THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』
THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス
- 作者: 福田康隆
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2019/01/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
感じたこと
- 営業を科学する。背景にあるのは名著・The Goalで、営業というものを全体として考えた時に、計測すべき指標はどうあるべきか、リサイクルをどのように行うべきか、不具合の起きた組織の問題点をいかに特定してFIXするか、など、学びに溢れた本だった。。すべてのスタートアップ経営・事業開発マンにおすすめ。
- 営業マンが会う前に勝負が決まっている。事前にどんな情報をどんなふうに提示できるのか。あった瞬間が0ではないことを認識せねば。
- マルケトで導入している、営業プロセス移行基準の厳密性に驚かされる。優れた組織はここまで徹底しているんだなと。自分が一定の営業組織を見ることになったらこの粒度でやろう
- 最後に出てくる野村克也さんの名言が最高。利益と尊敬、少しの恐怖、そして潤滑油としての笑い。これぞ名将、名経営者。
- 人間は道具を使ってこそ。最後の自転車の話、何度聞いてもいいね。
内容
- 営業をファネル管理するのみならず、ファネルから漏れた対象をいかに再活用・リサイクルするかが重要。ファネルを一方向で管理すると天井が来る。新規の流入が先細る中で拡大のKPIを設定し続けると個別最適の罠にハマって死ぬ。
- 営業が会う前に、勝負は決まっている
- 数字の背景にある構造・洞察を捉えること。単なる数字ではなく、それが意味することを瞬間で把握できるように。著者の福田さんは、リード案件を毎日・全県目を通していると。小さな変化でも、それが何を意味するのか一瞬で想像ができるようになる。自分のアンテナを高く。視座は広く。
- レベニューモデルはどんどん進化する。認知拡大からリード育成へ。その後商談を経て顧客とした後も、オンボーディングやリニューアル・アップセル・クロスセルと関係が続いていく
- 認知拡大→リード獲得→リード育成とするときに、育成対象外として情報を捨てる意思決定をすること。すべてを闇雲に育てに行かない
- 育成の結果有望リードとした後にアポイント訪問へと回していくが、何を持って有望リードとするのか、商談プロセスの成約確度をどの基準で計測するかなどは厳密な定義をしておくべき
- 契約後にも、顧客のオンボーディングやサポート、コミュニティ形成などを通じたカスタマーサクセスへの貢献が求められる。
- KPIを管理することに満足しない。ボトルネックは一つで、それが様々なKPIに影響して課題が表出する。ボトルネックを特定することにアンテナを立てておくこと。The Goalのように。
- 営業は件数だけでなく金額もみるなど、常に二つ以上の指標で見ること。単価や打率など、複数指標で見ないと見逃すこともある。かつ部署間比較などはApple to apple担っているかを大切に。時系列で見てあげたほうがフェアな場合も。
- 数字は大切だが、数字のみで判断をしないこと。数字はブレる。コントロールできない要因でブレる。
- SaaSの常識だから、Startupの常識だから、ということに流されないこと。状況に応じて考え抜く姿勢を持つこと。
引用メモ
「ここまでは本当にうまくやってきて成功したと思うが、10年も経つとだんだんやれることの幅が狭くなってくる。事業を始めたばかりの頃はいろいろな選択肢が取れる。市場戦略、マーケティング戦略、人材採用を決めていくと、同時に制約も出てくる。あとになってここはこうしたほうが良かったなと思っても、後戻りはできないことがたくさんある。また最初からやり直したら、もっとうまくできるのにと思うことがたくさんあるんだよね」
ナポレオンは「人間を動かす2つのテコがある。それは恐怖と利益である」と言った。私はこの2つに「尊敬」を加えたい。リーダーは「利益と尊敬と、少しの恐怖」で組織を動かしていくべきで、その潤滑油が「笑い(ユーモア)」だ。