記録#218 『100の思考実験』 新年から答えの出ない問に悩む。
- 作者: ジュリアンバジーニ,河井美咲,向井和美
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2012/03/01
- メディア: 単行本
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理性を伴わない想像力はただの空想だが、想像力を伴わない理性は無味乾燥である。(中略)
「思考実験」の目的は、実生活を複雑にしているさまざまな要因を取り除き、問題の本質をはっきり見定めることにある。(本書、はじめに)
イギリスの哲学誌、"The Philosophers' Magazine"の編集長が描く、人間や人生について考えさせられる100の思考実験を紹介した本。そのテーマは広く、
- 実存性:「人間を人間たらしめているものはなにか」 など
- 自由意志:「人の意志は何かを変えうるのか」など
- 倫理観:「平等、公正、責任、はどのように担保されるか」など
それぞれについて、まずイメージを持たせるための寓話・お話から始まり、それに対する解説が付されます。
特に考えさせられたのが、
- 第6章:公平な不平等(不平等が許される場合は?)
- 第12章:テセウスの船(何をもって同じとするのか?)
- 第34章:わたしを責めないで(責任はどこまで自分にあるか?)
- 第42章:金を取って逃げろ(自由意志は未来を変えられるか?)
- 第67章:多文化主義のパラドックス(どうすれば異文化を尊重できるか?)
- 第81章:感覚と感受性(聞く人がいなくても音はするのか?)
- 第100章:喫茶店で暮らす人たち(わたしたちも搾取の加担者だろうか?)
の7つ。
どれも、普段暮らしている中で自身がぶつかる問題点とマッチしていて、お正月からうーんと頭を悩ませる時間になりました。
どれもすぱっと答えが出せないからこそ哲学の論争テーマになっていて、しかし答えが異なるのはなぜだろうと前提を深ぼっていくことは有意義に思える。
難しくも価値ある読書の時間でした。おすすめ。