ねずこん読書記録

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記録#216 『最強の女性狙撃手』圧倒的ノンフィクション作品

 

最強の女性狙撃手:レーニン勲章の称号を授与されたリュドミラの回想

最強の女性狙撃手:レーニン勲章の称号を授与されたリュドミラの回想

 

1940年代のソ連で、女性狙撃手としてナチスと戦った女性の自伝。

武器はライフル一本。将校や相手側狙撃手、機関銃などの重要人物・設備を一発で仕留めていく戦場の職人。その戦果は公式なものでも300を超え、未確認・非公式なものも加えると500にも上ると。圧倒的な成果。

元々は勤務していた工場にあった狙撃クラブで、ある種"部活"的に狙撃に取り組み、その後第二次世界大戦開戦とともに従軍を志願。女性兵士という偏見とも戦いながら、一兵卒からのし上がっていくお話です。

本書を取り上げたHONZの紹介にもあったとおり、

 もしこれが小説なら、荒唐無稽と片付けられてしまうに違いない

栄光のお話ばかりではありません。

従軍当初はナチスルーマニア軍に圧倒され、当初守っていたオデッサの街を捨てざるを得なくなり、撤退先のセヴァストーポリでも塹壕の中で重砲弾に被害にあい、病院送りにされています。

それでも、自らの部隊に忠誠を誓い最前線に戻り、狙撃手としての任務をまっとうする。そしてレーニン勲章を授かり、国家の命を受けてアメリカに渡り、多額の戦時寄付金を得ることにも貢献しました。

なんという忠誠心か、と。

「女性活躍の時代!」と叫ぶ前に、自らの使命・運命を受け止めて前進し続けたリュドミラさんの圧倒的迫力。しかしその活躍が、誇張されるでもなく、淡々と語られていく。

作家さんが書いたプロの文章のように、スラスラ読める内容ではないかもしれません。

しかしだからこそ、手にとってじっくり読み進める価値のある一冊になっていると思います。

 

ロシアン・スナイパー(字幕版)