記録#183『最高に楽しい文房具の歴史雑学』
多いですよね、文房具ファン。私もその一人で、銀座の伊東屋で一日時間を潰せます。
そんな人には最高の本でした、これ。
身近にある様々な文房具がいつ、どのように、誰が生み出したのか。描かれている対象は本当に幅広くて、
それぞれにストーリーがある。
私が特に好きだったのは、修正液の開発秘話。
主人公はシングルマザーとして銀行で秘書の仕事をしながら息子のマイケルを育てていたベティ・グラハム。時代は1950年代まで遡ります。
勤務先の会社がIBMの電動タイプライター(カーボンフィルムリボンを使用)を導入すると、タイプライター用の消しゴムを使うと、紙の上にかすれたあとが残るようになった。
家計を支えるため、自主的に残業に励んでいたクリスマスの日、ベティは解決策を見つけた。銀行の窓にクリスマスの飾り付けをしているとき、絵かきが看板に文字を書いているのが目に入った。それがきっかけになった。「その人は書き間違えた文字を消さないで、いつも上から塗り直していたの」と、後にベティは語っている。
「だからまねをすることにしたの。水性のテンペラ絵の具をボトルに入れて、鉛筆と一緒に会社に持参し、それをタイプミスの修正に使ったのよ」
これこそが起業家精神だ、と。周りのふとした気付きを自分の環境に活かす、手近なもので解決策を試してみる、など。
結果としてベティはリキッド・ペーパー・カンパニーを起業して、最大で年間2,500万本の修正液を販売したそう。すごい。。。
さらに驚きなのは、息子のマイケルは後にベティの遺産を元に「様々なアーティストのミュージックビデオを放映する番組」を制作し、後のMTVの先駆けとなったこと。修正液が、音楽業界の繁栄に貢献するなんて。。
あらゆる文房具に、深い歴史とストーリーがありました。
・一本10万円以上かけて調達されたNASAの鉛筆
・人を殺してしまった消しゴム
・ミツバチの巣づくりから学んで作られた文房具
どれも面白かった...!! 文房具好きの方、ぜひ。