ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#165 『デザインマネジメント』オフィスに一冊おいておきたい。

 

デザインマネジメント デザインをビジネス戦略に活かす基礎知識

デザインマネジメント デザインをビジネス戦略に活かす基礎知識

 

前記事に続き、デザインマネジメントの本。こちらのほうは、事例に深く入り込むというよりも、デザインプロジェクトを進める上で実務上気をつけること、のようなテイストの強い内容です。

デザインの領域

デザインマネジメントという言葉を使うときに、

  1. 戦略のレイヤー:組織全般の方針や任務、検討課題を定義するデザイン
  2. 戦術のレイヤー:事業や職能のチームやプロセス、システムのデザイン
  3. 運用のレイヤー:造形や色味を扱うクラシカルデザイン・ビジュアルデザイン

の3つの層を区別しています。想定しているのは、「デザインと言うと3つ目の内容ばっかりだと捉えられますけど、1~2もあるんですよ」ということ。

やっていることは、私がコンサルティングファームにいたときに対応していた内容と一緒。こういうところにデザイナーが参画してくると、アウトプットもぜんぜん違うでしょうね。

具体的に準備されたコンテンツ

著者自身がデザインファームの立場ということで、発注を受けたデザイナーがいかにしてしっかりした価値を出すか・それを伝えるか、というところに多くのページが割かれています。

デザイナーに限らず、コンサルタントやライターなど、外部者として企業プロジェクトに参画する人間にとっては重要な要素(クライアントコミュニケーションの方法、成果物の提示の仕方、等)が含まれていました。

特に参考になったのは、

  • 案件キックオフのときに利用するクライアント・ブリーフ資料の構成・内容
  • SMARTな目標、それぞれのゴールと優先順位
  • 社員候補の注意を引き、雇用し、働き続けてもらうための論点

あたり。

さらには、巻末にあるデザインの領域における第一人者たちによる「デザインマネジメントとはなにか」ということに対するコメント。彼らの視点では、デザインマネジメントは、

  • クリエイティブのマネジメントのみならず、ビジネスのマネジメントも含む
  • 対象物のデザインのみならず、制作過程のマネジメントも含む
  • 社内のみ、社外のみのマネジメントではなく、顧客やメディア、ステークホルダーも含めたプロジェクト全体のマネジメントも含む
  • マネジメントのみならず、将来を見据えたリーダーシップも含む

と、かなり広い領域を対象にしています。

これを1人のデザインマネージャーが全て扱うのはほぼ不可能なので、マネジメントチームを大きくする等、分業をしながらこなしていくことになるんでしょうね。

大型本らしく、実務に役立つアイディアと個別の事例が混じり合った、良い本でした。 

デザインマネジメント デザインをビジネス戦略に活かす基礎知識

デザインマネジメント デザインをビジネス戦略に活かす基礎知識