記録#151 『経営戦略原論』理論と実践の橋渡し。
内容がしっかりした本なので関空→ヘルシンキの機内でがっつり読みました。コンサルティングファーム出身者ながら、「戦略って?」みたいな事をがっつり考える機会はそんなになかったので改めて...
戦略関係で、これまで読んできた本は下あたり。
どれも良い本でおすすめ。特に戦略プロフェッショナルを含む三枝匡さんの三部作は定期的に読み返しています。
『経営戦略原論』は、研究者として考える"戦略"と、実務家が求める"戦略"のそれぞれの差分を明確にし、その橋渡しをすることを追求している本という意味で、↑とは異なるスタンス。
本書は、実学としての経営戦略と、社会科学としての経営戦略を一体として扱う。 実学としての経営戦略は「最適な処方箋」をめざす。社会科学としての経営戦略は「普遍的な法則性」をめざす。本書は、この二つの異なる方向性をそれぞれ概観することで、経営戦略を理解し、実践するために必要となる根源的な知見を幅広く提供する。
(kindle位置:17)
変化の激しい環境に置かれる経営者が、経営戦略の教科書を読んでもいまひとつピンとこない一因は、こうした経営戦略の創発的な側面が理解されておらず、またその解説も不足しているからであろう。
成果をあげる経営者の経営の根幹にあるのは、一日単位での試行と改善のプロセスであり、多岐にわたる試行の末にたどり着いた、結果としての経営戦略である。特に急成長を続ける企業は、劇的な変化を伴う外部環境にさらされており、成長に伴い刻一刻とその内部組織も変容していく。
(Kindle位置:594)
コンサルタントとして働いているときに扱うのは実務としての経営戦略で、本で紹介されるようなフレームワークを使うことはまったくなかったな...と。その要因は↑にあるとおり、日々変化し続ける事業環境だとなかなかスクリーンショット的に事業分析をする経営理論は使いづらい、使うことないんじゃないか、と思っていました。
その橋渡しを行ってくれる本書、本当にありがたい...!!
内容についてはビジネスモデル図解のチームのきょんさんがものすごい勢いでまとめてくださっているのでぜひそちらを(わたしに追加でできることは殆どないです...)
経営戦略の古典理論について、私が改めて驚いたのはアンゾフの研究の奥深さ。
アンゾフが整理した戦略的意思決定の四つの要素は、現代でも示唆に富む。
① 製品と市場分野(自社がどの市場を事業領域とするか)
② 成長ベクトル(自社の成長のためのアクションをどうとるか)
③ 競争優位(自社の競争優位の源泉をどこに持つか)
④ シナジー(自社の事業領域間の相乗効果をどう作り出すか)(Kindle位置:1,295)
それぞれの定義・奥深さはあれど、整理として素晴らしい。
原論という名前の通り、これ一冊で戦略に関する基本の流れがつかめる素晴らしい 書籍だと思います。