記録#149 『インテル中興の祖 アンディ・グローブの世界』フェアで厳しい男の決断。
マネジメント層に対する研修を準備する中で、しばしば行き当たるのがインテルの中興の祖、アンディ・グローブ。『High Output Management』が有名ですが、最近新著が出たので読んでみました。
著者の加茂さんは電通で「インテル入ってる」→「Intel Inside」のグローバルキャンペーンを担当した広告マンで、その後はデジタルを含めたマーケティング領域で活躍されている方。アンディ・グローブとも一緒に仕事をしてきた、まさにインサイダーです。
本書では、グローブの経営哲学を6つの鉄則(6つの章)に集約し、日本人関係者の知恵も加えて、次世代のリーディングカンパニーをつくるためのキーポイントを明らかにしていくとともに、まず既成概念や相手の意見を否定するところから議論をスタートする疑い深さ、そして「なぜ」を連発して「怒る」、ある種、時代錯誤的とも思えるグローブの基質(性格)と行動、これがその後のインテルの成長と隆盛を導いたグローブのリーダーシップにどのように影響し、効果をもたらしたのであろうかを解明する。
(pp.6)
一文が長い。。笑
上で指摘されている6章ですが、
- 何もしないリスク:あえて変化を求める
- 懐疑から決断へ:高次のリーダーシップ
- 朝令暮改は悪くない:過ちを直ちに改めることの効用
- 成功はプロセスにある:本質をつかまえる力
- 多様性の尊重と全員参加の精神:日本発「インテル入ってる」
- 称賛は消えるもの:生活を芸術にするとは?
という感じ。
印象に残るエピソードは、祖国ハンガリーからの亡命のときのお話、COOとしてメモリー事業から撤退するときのゴードン・ムーアとの会話、日本でPCメーカーとのイベントに参加する際に登壇順で激怒した話、などなど。
論理的で、決断力があり、中立的。厳しいけどフェア、理想的なCEOだなと思います。
グローブの人生紹介に合わせて、哲学者の三木清の言葉を紹介しているのも本書の面白いところ。思考の振れ幅をもつ、という意味でも面白かったです。
おすすめ。