ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#121 『プロジェクトリーダーの教科書』外資系コンサルが教える難題を解決する12ステップ

タイトルに"外資コンサル"と名のつくものは数あれど、中身がスライドの書き方だったり経営コンセプトだったりすると、いかにも薄っぺらいものになりがちです。

"プロジェクトマネジメント"をテーマにしたこの本は、どうでしょうか...

外資系コンサルが教える難題を解決する12ステップ プロジェクトリーダーの教科書

外資系コンサルが教える難題を解決する12ステップ プロジェクトリーダーの教科書

 

読後感、素晴らしいなと感じました。

名ばかりコンサルタントではなく、10年以上に渡ってITの分野でトラブル対応・プロジェクトリカバリーの専門家として 戦ってきた中鉢さんだからこそのプロジェクトマネジメント本です。

多くの仕事がプロジェクト型になる中で、この本の内容が参考になる方は相当多いのではと思っています。

プロジェクトとは、「独自の製品、サービス、所産を創造するために実施される有期性の業務」である。よって、プロジェクト開始にあたっては以下の4点が定義されていなければならない。

・達成すべき明確な目標

・達成するまでに許容された時間

・達成するために必要な人員

・達成するまでの手順

表題にある12のステップですが、これは3D(Define→Design→Drive、プロジェクトを定義し、設計し、推進する)のそれぞれを4つのステップにまとめたものです。

Define(定義フェーズ)
  • 最終目標:"SMART*1"な目標をたて、その向こうにあるビジョンと、それを細分化したマイルストンまで設定し共有する
  • 対象範囲:何をやるかよりも何をやらないかを定義、顧客にも共有しておく(スコープアウトの定義)。成果物に関しては形状、基準、プロセスを事前定義
  • 利害関係者:プロジェクトの意思決定力とプロジェクトの結果による影響範囲をマッピングした上で真のステークホルダーを洗い出しておく
  • 阻害要因:リスクに対して最もいけないのは「見ざる言わざる聞かざる」。リスクをたっぷり洗い出し発生可能性と影響度、対策仮説を共有しておく
Design(設計フェーズ)
  • 資源見積:複数の資源見積をかけ合わせて見積もること。バッファマネジメントこそ命。
  • 体制構築:一人ひとりの責任範囲、役割といった大きなものから、参加する会議体といった具体事項まで設計しておく。
  • 作業設計クリティカルパス(最長経路、スケジュール全体に影響を与える)を明確に。道中はクリティカルパス上の作業を最優先に、資源の融通を図ること
  • 規範設計:全員が納得できるシンプルなルールを。多すぎるとワークしない、3つのポイントで語れるレベルにまで集約。
Drive(推進フェーズ)
  • 変更管理:仕様変更の要求をどこまでのむかがリーダーの腕の見せ所。変更要求のフォーマットを整備し、これまでの設定・変更事由をあとからフォローできるようにする
  • 組織運営:グループは混乱を経てチームになる。1on1などの対話手法をかけ合わせて共通目標を持ったチームとする
  • 問題解決フレームワーク、特にMECEに踊らされないこと。自ら課題・問題とその背景を深掘りしに行く
  • 意思決定:情報が出揃うことはない。判断ではなく、リスク・責任を把握して決断せよ。

大きなステップ論よりも、本書の中で語られるトラブル事例に迫力がありました。

さすがプロジェクトリカバリーのプロ、と感じる内容でした。

これをスムーズに完璧に実行できる人は殆どいないと思います。たとえそれがプロジェクトマネジメントの専門家やPMBOKを何回も読み込んでいる人であっても。

それでも、より完璧を目指して進んでいく姿勢に価値を感じます。

私ももっともっと頑張らねばと決意を新たにした一冊でした。

外資系コンサルが教える難題を解決する12ステップ プロジェクトリーダーの教科書

外資系コンサルが教える難題を解決する12ステップ プロジェクトリーダーの教科書