ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#96 『リストラ屋』 ファンドが求めること、企業に必要なこと。

お盆の黒木亮祭り、第二弾。

国際金融というよりはファンドのお話を読んでみました。 

リストラ屋

リストラ屋

 

主人公は、ニューヨークで友人3人と空売りファンドを運営する日本人、北川。本業の傍ら、ハーレムで貧しい子どもたち相手に算数を教えるNPOにも参加している良い男。

舞台となるのは日本のスポーツシューズメーカー、極東スポーツ。経営不振に陥りファンドが投資・筆頭株主となった後、経営者として乗り込んできたのは蛭田というリストラ屋・コストカッター。北川は、「極東スポーツに必要なのは企業ブランドを構築できるブランドビルダーで、コストカッターではない」と信じ、同社の株に空売りをかける。

あくまでさわりだけだと思いますが、会計偽装を見つけるとき、どんなふうに財務三表を見ていっているのか、そのイメージがつかめました。

  • 売上が上がると買掛金も売掛金も同時に上がるのが一般的なのに、売掛金のみ増えていて買掛金が減っているとき、そこでなにが起きているのか
  • PLでは利益が増えていっているのに、営業キャッシュフローがそれほど増えていないとき、更に深掘りして調べるための端緒はどの項目か

その他にも、コストカットをされた後の工場オペレーションやIRイベントでの追求の仕方など、ほーっとなるものばかり。

黒木亮さんの作品らしい、引き込まれながら学べる素晴らしい作品でした。

リストラ屋

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