ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#74『モンベル 7つの決断 アウトドアビジネスの舞台裏』集中力・持続力・判断力、そして決断力

NIKEのフィル・ナイトだったり、 クリフ・バーのゲーリーエリクソンだったり、創業者の本をよく読んでいる最近です。 

元々登山家だった辰野さんが28歳だった1975年に創業したモンベル。当時から現在に至るまで、その成長を支えてきた7つの決断。会社の歴史にそう形で紹介されます。

  1. 28歳で会社を立ち上げる、そしてそれは家業ではなく企業にするという決断
  2. 創業30年で100億円の売上を達成するために創業3年目から海外に進出するという決断
  3. 初期の売上を支えた下請け仕事やパタゴニアとの提携をやめて自社事業にのみ注力するという決断
  4. 売店や卸に出すだけではなく、直営店で直接顧客と触れ合うという決断
  5. 売店経由での販売との価格差をなくすために、直営店での販売価格を2~3割下げる"価格リストラ"を行う決断
  6. 有料の会員クラブを発足させコミュニティを集い、その会員費用を元手に社会への還元、投資を行っていくという決断
  7. 阪神淡路大震災東日本大震災を契機に、アウトドア義援隊を立ち上げる決断

社長の仕事は決めること、とはよくいいますが、辰野さんが言うにはそれらは将棋で言うところの定石を指しているのであって、上の決断こそ決断といえるもの、と。たしかにどれも、誰も正解を持っていない、信念の行動だと思います。

素晴らしい内容。素晴らしい姿勢。

更に思ったのは、現場を持っている人は強い。

みんなが技術に走る、スキルに頼る、そんな時代に必要なのは圧倒的な現場力、ヘルスケアの領域では、臨床の経験なんだと感じました。

象徴的なのは、著者の辰野さんがドイツのスポーツ・シュースターに行った時の話。アポイントを取らずに伺った現地企業の購買担当者に、「1969年にアイガー北壁に登りました」と伝えるだけで、同じ山を愛するもの、山に挑むもの、ということで同志になる。

わたしも、自分自身の現場を持たなきゃ、持ちたいな、と思いました。強く。

素晴らしい本でした。おすすめです。