ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#67 『子どもができて考えた、ワクチンと命のこと。』

読みたい読みたい、と思っていてまだ読めていない『10万個の子宮』。

著者の村中さんがSNSで言及していたのを見て、先に下の本を読んでみました。

子どもができて考えた、ワクチンと命のこと。

子どもができて考えた、ワクチンと命のこと。

 

著者のユーラ・ピスさんは、科学者ではなく、作家でありエッセイスト。そんな彼女が、子どもを生み、育てる中で、 病気やワクチンに悩み、綴っていった文章がこの本となっています。

  • 予防接種というのは学歴の低い、治安の悪い地域に住んでいる子どものみがうけるべきもの?
  • たいていのひとが考える、人工物より天然物のほうが安全というのは事実?神話?
  • 化学物質を使わなければ身体は清らかなものである、という考え方は、この微生物や菌であふれるこの世界でも正しい?
  • 子どもに対するワクチン、多すぎる?早すぎる?

科学との向き合い方、子育ての不安、手術の意思決定、、、母親として不安と、その中でも正しい決断を追求する姿勢が見える、素晴らしい本です。

また、予防接種を忌避する母親が、わざわざ50ドルを出して買う「水ぼうそうキャンディー」というものが紹介されていて、びっくりしました。水ぼうそうにかかった子どもがなめていたアイスキャンディーを、未罹患の子どもが舐めることで予防に活かそう、ということらしい。なんだそれ。

↑みたいな事例も含めて。

10万個の子宮、のAmazonレビューを見ていると、低い評価をつけている人たちの粘着性というか、知性や科学との向き合い方に不安を覚えたりします。一度偏った考え方をインストールすると、それを強化するように情報を集め、編集し、発信していくようになるんだろうなと。科学が全てではない、というのはもちろんですが、(子どもや家族も含めて)自分以外の人間が科学の恩恵をうけることを防ぐのは、やめてほしい。

とはいえ、この本の中で語られているのは、なぜ多くの母親たちがこのような思考に陥ってしまうのか、ということ。科学によって明確に否定されている関係性でも、穢れや自然信仰、といったものは、人間にビルトインされた傾向なのかもしれません。

この本で語られているのは、個人で健康であるためには、コミュニティが健康である必要があるということ。ワクチン否定派の方々は、ワクチンを打っている人の効果にフリーライドしていることに、自覚的になるべきかもしれません。

心のゆらぎが語られる、素晴らしい本でした。

子どもができて考えた、ワクチンと命のこと。

子どもができて考えた、ワクチンと命のこと。