ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#62 『変わらないために変わり続ける』

生物と無生物のあいだ』がベストセラーになった、生物学者の福岡伸一先生。

この本を書かれていた当時はニューヨークにある大学院大学ロックフェラー大学で研究をされていて、その生活について週次で書いていた寄稿文をまとめたのが本書。 

 研究のお話。

ここに書かれている文章は2013~2015年あたりのものが多いと思うんですが、

  • いまやもう笑いと恥の対象でしかなくなってしまったSTAP細胞
  • 通常のウイルスの数十~数百倍の遺伝子量を持ったパンドラウイルス
  • 「記憶の遺伝」を引き起こしているかもしれないメチレーションの動き
  • 脳のなかの好きな場所に、好きなタイミングで電気信号を流せるオプトジェネティクス
  • 妊娠中の母のストレスが子どもにも伝わってしまう、腸内細菌界の話

と、門外漢の私からするとへー!と思われされる内容。それぞれのテーマについては合計4ページ前後語られているだけですが、福岡先生のわかりやすい筆致と深い知見のおかげで、ふむふむと読める内容になっています。

 

この本は「紀行」とあるとおり、ニューヨークの生活についてもいろんなことを教えてくれます。

  • 日本語の本が読みたくなったら足を伸ばす本屋さん
  • クイーンズの奥地にあるスーパー銭湯
  • 桑の木を探したり蝶の採集をしたり、緑を感じさせてくれるセントラルパーク
  • リンカーンセンターで行われる壮大なオペラ・アイーダ
  • 食にまつわるものであれば何でも揃うレストラン・デポと、しめたての鶏を販売してくれる農場(一羽$10)

遠いけれど、ニューヨークも人の住む街なんだと、当たり前のことを具体的に教えてくれる本でした。

福岡先生の文体が素敵。

良著でした。