記録#38 『ホーキング、宇宙を語る』時間、ビッグバン、ブラックホール
今年3月に亡くなった物理学者、スティーブン・W・ホーキング博士。ALSを患いながらも、一流の宇宙物理学者として長く活躍してこられました。
本書はそんなホーキング博士の研究内容について、一般向けに書かれたものです。全世界で1千万部以上売れているらしい。すごい。
確かに数式も少なく言葉自体は平易です。が、宇宙というものを考えるときに必要となる時間の概念や光の性質、素粒子論などについて、それほど多くの人が理解できるとはとても思えず...最後まで通読できる方がそんなにいるんでしょうか...
時間の話
ニュートンやアリストテレスが信じてきた”絶対時間”というものについて、「そんなものはないよ」というお話。
絶対時間とは、「いかなる観察者とも無関係に存在し、宇宙のいかなる場所でも一定の早さで進んでいく」時間のこと。客観的事実としての、どの空間でも、どの人にとっても、同じように流れていく、そんな時間。
アインシュタインが発表した相対性理論はその考え方を覆すもので、
- 運動をしている物体は、その運動速度が早いほど(光速に近いほど)時間の流れが遅くなること
- 強い重力を受けている物体は、その力が大きいほど時間の流れが遅くなること
ということを示し、「時間は伸び縮みするよ、絶対的なものじゃないんだよ」と我々に教えてくれます。
この辺の説明は、下記の記事がわかりやすかったです。*1
ビッグバンの話
「ビッグバンの前に何があったのか」、問うことは現状無意味だよ。だって時間という概念が生まれたのもビッグバンのときなんだから」というお話。
ビッグバン時点の宇宙は、無限のエネルギーを持ち、大きさはゼロ。いま、宇宙は膨張しており(年5~10%??)、それぞれの宇宙の温度は少しずつ下がっている。
地球という単位で見ると温暖化なんだと叫ばれてますが、宇宙単位では冷却中なんですね...
ブラックホールの話
ホーキング博士は1974年、「ブラックホールはそれほど黒くないかもしれない」という仮説を提示しています。
これは、ブラックホールが光を含めてあらゆるものをその超巨大な重力のうちに取り込んでしまうため、真っ黒に見える(光を発することができない)はずという当時広く信じられていたブラックホール論に異を唱える説でした。
ホーキング博士は、とある物質はこのブラックホールから飛び出てくるはずだとして、科学者はその現象を「ホーキング放射」と呼んでいたとのこと。
2016年、どうやらこの仮説が正しいことが実験で確かめられています。
1970年代ではそもそも観察技術が足りなかったため検証できなかった仮説が、今になってようやく確かめる事ができたと。
ホーキング博士、すごい、その想像力たるや。
おわりに
とにかく難解でした。何度呼んでも、私には完全に理解できるような内容ではないと思います。
それでも、ALSと戦いながら、家族と精一杯生活を楽しみながら、この境地まで到ることができるというのは、人間に対する讃歌だとも思うわけです。
ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: スティーヴン・W.ホーキング,Stephen W. Hawking,林一
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1995/04/01
- メディア: 文庫
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*1:正直、この本だけだと宇宙のことがよくわからなくて、いくつか追加で記事を探して読みふけりました...勉強になりましたありがとうございます...!!