まとめ#12 2017年1~3月】読んでよかった本5冊
こんにちは。
この3ヶ月は長く東京を離れたり新しい生活が始まったりする中で、自分を見つめる時間を長く取ることができました。そんな中で読んだ本のうち、5冊をご紹介です。
●悲鳴をあげる身体
センター国語・現代文に頻繁に登場する著者が、1998年に出した本著。今更ながらに読みました。
そんな身体から何やら悲鳴のようなものが聞こえてくる気がする。身体への攻撃、それを当の身体を生きているその人がおこなう。化粧や食事といった、本来なら人を気分良くさせたり、癒したりする行為が、いまではじぶんへの、あるいはじぶんの身体への暴力として減少せざるを得なくなっているような状況がある。
高校生の時には「鷲田さんの文章ってなんかわかったようでわからないな」と思っていたのですが、今は少しだけ噛み砕けるようになった気がします。
過食や拒食、ピアシングといった体へのある種の暴力と、筋トレやライザップ的ダイエットなどに代表される身体を管理下におく取り組みは、同一線上にあるのだろうと個人的には思います。この本を読んで、もっと感覚器官としての身体に任せて、遊びと余裕を持って、楽に過ごしていきたいな、と感じました。
あとは、日本と欧州の笛の比較も面白かったです(本文中では着物と天麩羅の比較も出てきます)。ヨーロッパのものは、器具をカスタマイズすることで、個人にとって扱いやすいものにしたり、音の調整をしたりする。一方で日本の笛は、指の加減だったり首の角度だったり、身体を器具に合わせるようにする。データを取ってパーソナライズ、いかに世界を人間に合わせるか、が流行りの世の中ですが、自分の身体を核にしていかに世界に溶け込んでいられるか、何かを感じられるかも大切にしたいですね。
●反応しない練習 -あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
- 作者: 草薙龍瞬
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
- 発売日: 2015/07/31
- メディア: 単行本
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周りでも、読んでよかったよ!って方が多かった本です。嫌われる勇気が100万部以上売れて実写化までされる、そんな悩み深いこの時代に。私も去年いろんなことで悩んでうーんとなることもあったので、もう少し早くこの本を読んでいたら少しは気楽に過ごせたりしたのかな、と思ったり。
書いているのはお坊さんですが、仏教という宗教の紹介という要素は少なく、ブッダが考えた現実世界や人の精神のあり方、それを前提とした日々を穏やかに過ごす原則の共有、といった方が内容に近い気がします。
ぐーっとまとめると世の中のほとんどのことは自分ではコントロールできないから自分に都合の悪いことを起きないようにすることはできない、その事実をまず受け入れよう。ただし、日々の怒りだったり嫉妬だったりは(自分が勝手にしている)反応であって、「これは単なる自分の反応だ。この反応するかどうか、自分は選択できる」と認識できれば、人はもっと心穏やかに充実して過ごせるはずと。
タイトルの通り、超・合理的。
別のところで、女優のジョディ・フォスターが、
Being understood is not the most essential thing in life.
とおっしゃっているのを聞いて、これも素敵だなぁと思いました。good quoteです。
なんかいらいらするなぁとか、どうも不安が抜けない、そんな人は是非。楽になります。最近はてブで話題になった方の同書書評がこちらにあるので関心がある方はことらもどうぞ。
●ウェルビーイングの設計論 -人がよりよく生きるための情報技術
- 作者: ラファエル A.カルヴォ& ドリアン・ピーターズ,渡邊淳司,ドミニク・チェン,木村千里,北川智利,河邉隆寛,横坂拓巳,藤野正寛,村田藍子
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2017/01/24
- メディア: 単行本
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2012年に亡くなった流通ジャーナリストの金子哲雄さんの僕の死に方や、尼崎で在宅医をされている長尾先生の「平穏死」10の条件を読んで、善く生きる・死ぬって何だろうという問いがぼんやり頭の片隅にあります。そんな中で手に取ったのが、ICTやデジタルサービスとウェルビーイングとの関係性について、関係分野の研究者が書いたこの本です。
まず本書は、ウェルビーイングとは何か?という問いから始めます。機能障害がないという医学的モデル、ポジティブな感情が得られているという快楽心理学的モデル、より長期での主観的な幸福度を重視するカーネマンのSWBモデル、自律性や有能感に基づくフローリッシュ(目的達成や才能の発揮など)モデル、などなど多岐に渡ります。
これに対して後半で「オンラインで認知行動療法を行うテクノロジー」だったり「身体体験を重視するマインドフルネスを支援するサービス」だったり、上記の観点に立脚してウェルビーイングを改善するサービス・事業を紹介しています(原著が2014年発売なので事例はやや古めですが)。
内容自体も面白いんですが、章間のコラムのタイトル(「データのダイエット」は人間を健康にするか?とか)が刺激的。ヘルスケア・メディカルITスタートアップの人間になったので、こういう問いかけを自分に対してしていかなきゃなと思う次第です。
●楽しく学べる「知財」入門
ところがどっこい、知財についていつもごちゃごちゃになるところ(「著作権?意匠権?商標権?実用新案権?はて?」みたいな低いレベルです)をきれいに整理してくれるだけでなく、過去の判例をたくさん引きながら、それぞれの権利が保護される範囲や申請しても却下されるケースなどについてかなり具体的なイメージをつかむことができました。過去のこのような本の中で個人的には一番わかりやすかったです。
また、使う事例がいちいち気が利いていて、読ませる。著作物性が認められたケースとして「廃墟写真」、否定されたケースとして「スイカ写真」を持ってきたり。鳩山一郎・元総理の夫人・幸氏が過去に特許出願したキッチンパーツについて、わざわざインタビューに赴いたり。 すごいバイタリティだ。
勉強にもなるし息抜きにもなる、素晴らしいノンフィクションでした。
●野村證券 第二事業法人部
圧倒されました。平和に生きていこうと思います私は。。。(詳細なご紹介は現代さんのこちらへどうぞ)
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こんな感じです。また3ヶ月後に。