記録#244 『起業の科学 スタートアップサイエンス』
感じたこと
- よくある失敗をしないためのお作法を記しておく、という意味での科学。全体の流れがみえるようになっているのは素晴らしい。
- それぞれのステップでポイントがありそうで、そこはダブルクリックしていく必要があって、東大・馬田さんのスライドが参考になりそう。
- Idea Verificationのフェーズにいるのに後半のことばかりに意識が向いているチーム・企業をよく見る。NGリストはけっこう有用で、大企業の新規事業チームは壁に貼っておいたほうが良さそうなくらい。
- VCや起業家がこれまで考え抜いてきた内容がまとまっていて、田所さんの頭の中だけのものではないのがとてもよい。良いコンテンツ自体はWeb上にあふれているもの。
- 課題にフォーカスする。プロトタイプ・MVPを用いて改善回す。とにかく計測する。あたりが重要なメッセージ。
- 改めていろんな概念をばーっとさらえたのは、個人としても勉強になりました!
内容
- 本書の指針は、
- 自分たちが正しい方向に進んでいると確認するためのコンパスを提供する
- 時期尚早なっ買う代を防ぐためのガイドラインを提供する
- 各ステージの目標を具体的なアクションに落とし込むノウハウ・ツールを提供する
- 包括的な情報を提供する
各ステップは下記のような感じ。順番は上から。
- Idea Verification:あくまでサイドプロジェクトとして、小さく
- どういう課題を解決するのか明確にする: 課題の質にフォーカスをする。良いソリューションや技術は、課題ではない。業界知識、自身の専門性、環境変化へのアンテナが課題の質を高めることにつながる。以下は避けよ。
- 常識とは異なるスタートアップの原則を知る: 成長はJカーブ。市場環境は常に動く。スケールは一気に。VCなどもステークホルダー。キャピタルゲインドリブン。場所に縛られない。市場定義ごと変更する。PMF検証前には体裁は気にするな。その他、以下はしない。
- スタートアップとしての潜在性を検証する: PEST要因からアイディアを検証する。GAFA等Tech Giantsの動きを見る。アイディアにはいくつかのフレームワークあり、下記。
- リーンキャンバスを用いてPlan Aをつくる: まずは顧客と課題から。全てが埋まらなくても良い。
- Customer Problem Fit:主要メンバーと一緒に課題を見極める
- Problem Solution Fit:核となるメンバーをフィックスし、プロトタイプをつくる。プロトタイプカンバンで右に右にと進めていく。
- カスタマーが課題をどう解消したいかを明らかにする: Content is king. UX is queen. エレベーターピッチをベースにUXブループリントを作成。
- プロトタイプをつくる: Webが最終姿でもまずはペーパーから。チーム全員で共有。留意点は下記
- プロトタイプを用いてユーザーインタビューをする: 実際に触ってもらいながら問いかける。何をするものだと思う?文言をどう解釈する?今何をしようとしている?期待通りに動いている?どう動いてほしい?どんな費用が発生しそう?
- Product Market Fit:柔軟性の高いチームを組成する
- 実験の準備をする: 余計な作り込みは避ける。一方で、お金を払いたくなるほどの価値を感じるものであるべき。
- MVPを構築する: 競合にはない、圧倒的な価値提案を。スプリントボード上に構築していく。実験したいストーリーを意識する
- MVPをカスタマーに届ける: 恥ずかしい状態のうちに市場に出すこと。GAなどの数値だけではなく生の声を聞くこと。直接、泥臭く、頭を下げて使ってみてもらう。マーケティングではなく営業。直接顧客と対面すること。
- MVPの成果を計測する: 海賊指標・AARRRを導入する。Acquisition、Activation、Retention、Referral、Revenueの順で。まずは水漏れを塞ぐこと。拡大はそれから。KPIは計測しやすく・インパクトがあり・行動に結びつくものに。まずはRetention、定着率の向上を。定性分析も掛け合わせる。
- 継続的にUXを改善する: 機能よりもUX改善。オンボーディング、速度、動線、などなど。5秒で価値がわかるように。認知負担、身体負担、金銭負担を減らす。アンカリング/バンドワゴン効果/エンダウド・プログレス効果なども活用してユーザーをリードしていく。
- 新たなスプリントを回す: 初回とは異なるユーザーストーリーを追加して機能検討する。追加したストーリーでも同じようにPMFが実現できているかを検証する
- 必要に応じてピボットする: チャネルレベルの小粒なものから、カスタマーセグメントに至る大粒のものまで。バーンレートを見つつ。エンジニア不足や主観に基づくピボットは避けよう。
- Transition to Scale
新規事業に関わる人は、全体をぱーーーーっと見ておくといいことがある気がしました。