記録#232 『エキストラバージンの嘘と真実』スキャンダルにまみれたオリーブオイルの世界
エキストラバージンの嘘と真実 スキャンダルにまみれたオリーブオイルの世界
- 作者: トム・ミューラー,実川元子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 単行本
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みんな大好き、オリーブオイル
みなさん、オリーブオイル、好きですか?
サラダにかけてもパンにつけても美味しいオリーブオイル、私は大好きです。
そして味だけでなく、健康にも良い。
U.S. News & World Reportが発表した、医師や栄養士などの専門家がおすすめするダイエット方法の第1位に輝いているのが地中海式ダイエット。その中でもオリーブオイルの利用は高く推奨されています。
スーパーに行ってオリーブオイルを買うとき、「エキストラバージン」という表示をよく見ますよね。オリーブオイルの中でも最高品質の証ですが、それは本当にエキストラバージンオイルでしょうか...??
オリーブオイル界にはびこる不正
オリーブオイルにおける最高品質等級を表すエキストラバージンには、厳格に規定された定義・基準があり、以下の両方を満たすことが求められます。
しかし、本書の中で繰り返し伝えられる事実の一つとして、エキストラバージンオイルという表記がなされているものの、実際には以下のようなものが中に混じっているとのこと。
- より等級の低いオリーブオイル
- オリーブの絞りカスから作られたオイル(!)
- 種油などの他の種類のオイル(!!)
過去北米で行われた調査ではスーパーで売られているエキストラバージンオイルのうち3割にはオリーブオイル以外の油が混入しており、さらに他の調査では、エキスパートがスーパーで販売されているエキストラバージン30種程度をテイスティングしたところ、そのうち官能評価試験の基準を満たしていたのはわずか1種類だったとの報告も。
第1に、オリーブオイルには本来高潔さがあるはずなのに、業界には不正がはびこり、倫理観は極めて低い。第2に、「エキストラバージン」の意味が空洞化してしまったため、オリーブオイルの非常に優れた特性がまったく知られていない。第3の問題は、上質のオリーブオイルは、料理においても文化的にも価値が高いにもかかわらず、その生産は経営的に採算が合わなくなっている。
(本書, pp. 246)
近年は脱臭加工技術が高まり、かつEUの農業助成金が豊富に出ることもあって、低い等級のオリーブオイルながら、エキストラバージンと等級を偽って出荷されるケースが非常に多い、ということでした。
イタリアはもちろん、スペインや米国・カリフォルニアなど、世界中でオリーブオイルの産地や品質偽装が見られ、それが本当に良い製品をつくろうとしている零細農家の経営を圧迫していると、筆者は言います。
オリーブオイルにこだわる魅力
そんな世界でも、オリーブオイルの魅力に取り憑かれ、圧倒的に不利な状況でもよいオイルを作り続ける生産者が世界中にいることも、この本は伝えてくれます。
古木を大切に、オリーブを丁寧に手積みしているイタリアのデ・カルロ家や、筆者の隣に住む、ワインとオリーブオイルをひっそりとつくるオリビエリのような。
ワインを飲めば心地よく、人生は明るく輝いて見える。一方、オリーブオイルは口に含むと、人生そのものを噛み締めている味がする。豊かな果実風味があり、刺激的で、わずかに感じられる複雑な苦み。エキストラバージン・オリーブオイルのこの3要素こそ、我々の人生ではないか。
(本書, pp347)
瀬戸内のオリーブ生産者のところに伺ってみたくなりました。そこには、人生がありそうだから。
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