ねずこん読書記録

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記録#227 『哲学者が走る』 人生の意味についてランニングが教えてくれたこと。

 

哲学者が走る: 人生の意味についてランニングが教えてくれたこと

哲学者が走る: 人生の意味についてランニングが教えてくれたこと

 

実用主義功利主義に走るな。

「○○のためになるから、走っているんです」ランニングの意味はそんなに甘いものじゃない。

この実用主義の時代、あらゆる物の価値を、その目的のための機能として考える。

健康のため。ストレス解消のため。社交の機会を作るため。

それそのものではない価値ある外部のもののためにランニングがあるのだろうか。

筆者の哲学者、マーク/ローランズは明確にNoという。

それではランニングとはなにか。それが人生について教えてくれることはなにか。

自身が50歳近くなってから参加したマラソン大会の模様を振り返りつつ、ユーモアや過去の哲学者の弁を交えながら語っていく本書。

この数時間、26マイルと385ヤードの目的は何だったのだろうか。このようなことをするだけの価値は本当にあったのだろうか。価値は走ることの美であって、そこにはなんの目的もない。人生の目的が止まるところに、「価値」あるものが見出される。

(本書、pp.216) 

 全員に共通する人生の目的はない。そんな中で、、、、

走ることは回想の場だ。いちばん重要なのは、それが他者の思考を思い出す場所ではなくて、私がとうの昔には知っていたのに、成長の過程や某かのものになる過程で忘れざるを得なかった、何かを思い出す場だということだ。わたしは、自分がそれを知っていたということを知らなかったにもかかわらず、知っていた。そしてこの点で、私は他のすべての人と同じだった。走ることは回想の場所だ。私たちが走ることの意味を見出すのは、この場所なのである。

(本書、pp.16)

走ることにある美しさ。走ることそのものに内在する価値。

ウルトラマラソンを走りきる人は、もれなく自分との対話が上手い人だなと感じていました。その理由が少し解きほぐれたかも。

テンポの良い、素敵な本でした。