記録#226 『不動産投資にだまされるな』テクニックから本質の時代へ
不動産投資にだまされるな-「テクニック」から「本質」の時代へ (中公新書ラクレ)
- 作者: 山田寛英
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2018/11/08
- メディア: 新書
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不動産投資とは誰かに現金を預けてそれで成果が出る「投資」では無い。基本的には、投資家自らが多くの手間をかけなければならない「事業」だ。
(本書、pp.111-112)
そう言い切るのは、公認会計士・税理士の山田先生。
昨年11月に出版された本書は、かぼちゃの馬車やスルガ銀行の事件なども扱いつつ、これからの不動産投資においていかに小手先のテクニックが使えなくなっていくか、ということを書いています。
成功した大家さんからも泥沼にハマった大家さんからも相談に乗ってきた不動産会計・税務のプロとして、よくある失敗パターンを本書の中で紹介しています。
- 不動産投資セミナーの空気に流されてそのまま投資
→想定している賃料には至らず、当初の収益シミュレーションには入っていなかった税金も払わなくてはいけない。更には大規模修繕のタイミングも近づいてきて、お金は出ていくばかりに。 - サブリース契約の安定収益に惹かれて不動産投資
→一定タイミングでリース料の引き下げを要求され、契約を解除することも出来ず、お金は出ていくばかりに - 相続対策で自宅兼賃貸アパートへと転換し、税制の特例を使いつつ節税目的の不動産投資
→自宅と賃貸アパートの比率設定の問題から特例税制適用の範囲が限定され、結局大赤字に
悲しい事例が沢山。
冒頭言にある通り、お金を出したら終わりではなく、その後の税務処理や修繕の計画、入居率を上げるためのマーケティング、退去者を出さないCS向上等、事業を運営するのと同じだけの労力がかかるんだな、と。
そんな大変な世界にいざなうのは、百戦錬磨の不動産屋さん、銀行さん。
元々不動産投資はある程度の資産を築き、手元に潤沢な現金を持つような豊かな投資家が手がけるものであり、それで初めて儲けが生まれる手法だったのである。それがあらゆる「サービス」が進化を遂げ、特に「ローン」が進化したことで、一般のサラリーマンの手の届くところまで降りてきたように錯覚されているに過ぎない。
(本書、pp.123)
不動産業者や銀行など強者は「投資」と「事業」の間にある境界線をなるべく見せないようにし、誰でも簡単に始められるような工夫を施し、弱者を一人でも多くそのテリトリーへと誘いこむ。
(本書、pp.45)
不動産投資(不動産事業)は、自分の事業がある中で、私に片手間でできる領域ではなさそうだ...とすっぱり諦めることが出来ました。よかったよかった。