ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#189 『アタマのやわらかさの原理』クリエイティブな人たちは実は編集している

 

 「アタマのやわらかい人」といったとき、そこには概ねポジティブな意味があります。
その人と話していると新しい発想が生まれてくる、面白い話をしてくれる、新しい視点を提示していくれる、などなど。

そのアタマのやわらかさ、どこから来るんだろう...自分もそんな人になりたいなぁと思い、手を伸ばしてみました。

まず最初に語られるのは、アタマがやわらかい人というのは、ひらめく人ではなく、新しい"組み合わせ"を発見できる人であるということ

2つ・3つのものごとの中に共通項を見出してテーマを設定し、その上でその物事の間の差異を明確にすること。さらに、そのテーマ設定、差異を明確にする表現を追求すること、それは編集の仕事だということ。

今回のお話の冒頭でぼくは、「アタマのやわらかさ」のベースの部分に、なぜ「組み合わせの思考」が必要なのか、と問いかけました。そして、それを読み解く手がかりが編集にあるとも言いましたが、その答えは、ここまでの説明でもうおわかりですね。

「組み合わせて考える」のは、

モノや人、情報の価値を引き出すには、そもそも組み合わせが必要だから

です。

それを踏まえてまとめると・・・。「アタマのやわらかさ」は、前回も説明したように、

組み合わせの思考によって、対象となるモノや人、情報などの価値を固定させずに、新しい可能性を探れること 

でした。

(pp.120-121)

私が以前一緒に働いていた素晴らしいクリエイティブディレクターの人の口癖は「これは何に似ているんだろう?」でした。離れた業界や製品で共通のテーマを持ったものを特定して、あえて比較することで対象物の特性をよりくっきりと浮かび上がらせるための所作だったんだと、今あらためて感銘を受けました。

何かについて考えるときに、それだけを見つめるのではなく、別のモノや人、情報との組み合わせの中で価値を引き出し、新しい価値を探していく、ということです。

(pp.122) 

 この考え方は、自分自身、人というものにも当てはまると。

自分がすでに認識している「自分らしさ」や「できること」はあくまで過去の組み合わせから特定されたものでしかなく、新しい人・モノ・情報と掛け合わさると、そこで見える自分の個性はまた異なるものかもしれない。

自分の本当の価値は、自分の中をのぞきこんでもわからない、ということですね。

だからこそ、把握できている個性を起点にして、自分にあうものをやろう、自分の個性が活かせるものをやろう、と考えるよりは、何かと自分を組み合わせたときに、自分からどういうものが引き出さえてくるのか、なにを提供できるのか、という捉え方をする。

そのうえで、それが魅力といえるものかどうか、つまりは、世の中にとって希少な価値を持つものであったり、ユニークなものであったりするのか、あるいは、誰かを幸せにしたり、よろこばせたりできるものなのか、と問いかけてみて、もしそうであれば「自分の強み」だと受け止める。

こういう編集的な考え方をしたほうが、より自分を生かしやすくなります。

(pp.211)

なるほどと、参考になりました。また、誰かの良さを引き出すための良い組み合わせ先、触媒になりたいなと思った読後感。

素敵な本でした。この年末、自分の価値を考えるすべての人におすすめの本。