記録#185 『セックスワーク・スタディーズ』性労働をまっすぐに考える
表紙裏の紹介文。
性(Sex)と労働(Work)を巡る現場で 、いま、何が問題になっているのか?どう解決するのか?
性風俗や性売買にまつわるステレオタイプをくつがえし、当事者視点で大胆に問いを立て直す。
セックスワーク研究を切り開く、はじまりの一冊。
読んでいて思ったのは、セックスワークに関わる人のために!と思ってこの分野に関わるものの、本人のステレオタイプから結局セックスワーカーを傷つけてしまう事例の多さ。
口にこそしないものの支援者の行動・発言の背後にこんなステレオタイプが透けて見えたとき、それは支援ではなくてただの自己満足になってしまう。
セックスワークの問題を社会に提起しようと、美術館の展示会にデリヘルを呼ぼうとしたアーティストの例。
社会保険の相談をしようと支援団体に電話をかけたセックスワーカーに対して、どうやってその職場を抜け出すかというアドバイスばかりをする相談員の例。
セックス・ワークの問題は、性の問題でもあり、労働の問題でもある。
当事者に寄り添うこと。
問題解決についても深い学びのあった本でした。
女の中に、女ジェンダーを利用してサヴァイブする人がいてもいいし、女ジェンダーから開放されていきたい人はそうしてもいい。セックスワーカーも同様です。なぜなら、人は誰しも何かに依存して生きていて、その依存先が、資本主義やセクシズム、性とまったく無関係というのは、この社会では考えにくいことだからです。だからこそ、世界のセックスワーカー運動は、社会に様々な問題や不平等があることを認めた上で、セックスワーカーの中でもさらに重層的な困難を抱えた、脆弱性の高い属性の人々とともに、セックスワークも、顧客も、金を動かし分配するものも、組織も、公的機関も、よりましな依存先にすることを目指すのです。
(pp.44、第1章 誰が問いを立てるのか)