記録#169 『浮いたり沈んだり』棋士・先崎学の日常エッセイ
この本が書かれたのは2002年。著者は将棋指しの先崎先生です。当時まだまだお若く、A級(名人位を争う最高クラス)に昇進されてバリバリだったころに週間文集に寄稿されていたエッセイをまとめたのが本書。
本書の最後はA級から降級するところで終わりますが、この本を書いていた2期がこれまでのところ最後のA級所属になっています。現在はB級2組。
のようなおもしろ話もあれば、
- 粘り将棋の森先生を見て、奮い立った話
- 一緒に飲みまくった郷田先生の初タイトル奪取を祝う話
- 羽生先生と一緒に、亡くなった村山先生の棋譜を大切に選び、語る話
のような、ぐっとくる話も。
特に、村山先生について語るこの文章は、すごく好きでした。
将棋指しが残すのは、つまるところ棋譜だけである。そして棋譜には、棋士の感受性が表現される。
村山将棋は、駒が前に出る、元気良い、明るい将棋だった。そして、時折意表を突く奇手が出た。そして、村山聖という男も、そういう男だった。
(本書 pp.38)
この本以外でも、2013年NHK杯の羽生-郷田戦の解説をされていたのが先崎先生で、「銀からですか......!!そうか、七2に桂が打てると言っているのか...! これは天才の詰みだ!」とおどろくシーンが私としては印象的です。
最近はちょっとお休みされていたりして、その模様が新刊にもなっています。
真っ直ぐで、ちょっぴりギャンブルが好きで、素敵な手を指す、大好きな先生です。
また先生の棋譜を見れるのを、楽しみにしています。