ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#159 『終わった人』会社人間にはいつか訪れる、定年退職後の生活

よく聞いているPodcastで紹介されていた本書。

終わった人 (講談社文庫)

終わった人 (講談社文庫)

 

主人公は、メガバンク・万邦銀行の子会社で専務として退職の日を迎えた田代さん。

必死の努力で東大法学部に入り、メガバンクに入社して順調に出世の道を歩むも50歳を目前にして子会社に出向・転籍。元から高かったプライドをなかなか捨てられないまま、退職の日を迎える。明日からはもう、会社という居場所もない。

そんな田代さんは自分のことを、「終わった人」なのだと痛感する。

朝起きてから、行くところもない。妻を温泉旅行に誘うも、彼女は40代から学び始めた美容師の資格を生かして働くことに忙しい。スポーツジムに行けば同じような老人だらけ、そしてやたら皆つるみたがる。「私はそんなところにいるべき人間ではない」と、そこに身をおくこともできない田代さん。

カルチャーセンターに通ってみたり、大学院を目指してみたり、ちょっと恋してみたり、ベンチャーの顧問になってみたり。成功したり、失敗したり。その根底にある、私もまだまだ!終わりたくない!という思いが垣間見えます。

最後の最後は、ハッピーエンドというか、サッドエンドとというか、なんとも言えない結末を迎えます。来年定年を迎える自分の父にも、この本をおすすめしてみようかな。

終わりに

文章中にも出てきますが、サラリーマンという立場だと、それがどんな組織に所属しているのであれ、自分自身が人生の舵を持つのは難しいものなのかもしれないなと感じました。

幸いにも今は自分で会社をやる立場になりました。

終わった人にならないよう、常に何かを始め、関わっていく人生でありたいなと思いました。この本の中に出てくる、二宮さんのように。 

終わった人 (講談社文庫)

終わった人 (講談社文庫)