ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#154 『島のエアライン』飛び立て、天草エアライン。

 黒木亮さんの新作ということで手を伸ばしてみた作品。

これまでの黒木作品はモチーフがありつつもフィクションだったのに比べて、この本は組織も登場人物も実名。迫力が違います。

舞台は熊本・天草。今年設立20周年を迎えるローカルエアライン、天草エアラインがどのような経緯で立ち上がり、どのような苦難に直面し、今に至ったのか。

すべてのチームにドラマがありました。

第三セクターとして天草エアラインを立ち上げ、資金が着々と減っていく中で必死に経営の舵取りをする県や天草エアライン経営層。

天草-熊本、天草-福岡の短距離路線のみのため離着陸を繰り替えし身体負担が大きいフライトを繰り返しながら、サービス向上に取り組むパイロットやCAさん。

たった1機しかない機体を大切に整備し、収益も見ながら安全性を最大限保つために戦いを続ける整備のみなさん。

機能が限られたシステムを駆使しつつ、欠航になった際には代替手段の手配や顧客対応に必死に取り組んでこられた輸送担当の方々。

航空会社を立ち上げる、運営する。飛行機を飛ばす。そこに詰まった人間ドラマが垣間見えます。

ノンフィクションの迫力。本当におすすめです。