記録#144 『センスのいらない経営』テクノロジーを基軸に据える。
Twitterなどでスタートアップ界隈で話題になっている本書。
著者はニュースアプリ・Gunosy創業者の福島さん。
タイトルの強烈さ、その内容は、
- 市場環境、競争環境の変化はより大きく、より早くなっている
- そこで必要となるのは、かつての経営者が依拠していた「経験知」や「勘」(つまりセンス)ではなく、データや数字を正しく見極める力
- センスではなくテクノロジーとデータを基軸とした経営を行う上で、人間は目的・ゴールの設定やモデル設計、意思決定・決断に注力することになる
ということだと。
読んでいく中で、いくつもキーとなるコンセプトがあったと思います。
"テクノロジーの順序に合わせて事業を展開する"
これからの事業展開を考える上では、速さ、というのが重要なキーワードになる。テクノロジーの進化の速さ、世の中にそれが普及していく速さ、キャッシュフローにつながる速さ。これらの速さを総合して、最も速度が出るものに至言を集中的に透過していくこと。
さらに、Googleが検索というテクノロジーを起点にしてデータという次のテクノロジーに移行していることなど、どのテクノロジーを最初にコアに据え、そこからどう発展させていくかという意思決定が経営の役割だと。
"計算機最適化された人間"
- どう計算機(コンピュータ)に目的を設定してあげようか
- どう制約を設定してあげようか
- それを、どのような形で伝えた上げるのが良いだろうか
と、あえてコンピュータの視点に立って、受けての立場から考えられる人間の重要性。コンピュータ・コミュ力、とでもいいましょうか。
以前読んだ『アルゴリズム思考術』にも通じるものがありました。
面白い視点だし、これからはこれが自然になりそう。
読後感
タイトルは『センスのいらない経営』ですが、文章を読むと、テクノロジーが普及した今後にあっても人間の仕事として決断・意思決定というのが残り続ける以上、一定の経験値が必要になるのは間違いなくて。
また、だからこそ学生企業からここまで会社を大きくした福島さんの経験も多くの人にとって価値のあるものになるんだと改めて実感しました。
大切なのは、テクノロジーに向いていることは、彼らに委ねること。怖がらず、自動化できる部分はどんどんに任せること。
決断に集中する経営、そんなメッセージが読み取れた本でした。