ねずこん読書記録

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記録#135 『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』人体の謎を解き明かした英雄

 

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯 (河出文庫)

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯 (河出文庫)

 

イギリスの解剖学者で外科医。 人体の内部構造を解き明かした、という意味合いでいうと、その貢献度は計り知れません。ジョン・ハンター。

ジョン・ハンター (外科医) - Wikipedia

年の離れたお兄ちゃんのウィリアムズ・ハンターに呼び寄せられ、二十歳そこそこで解剖教室の助手をし始めたジョン。

そのメスさばきは当初から光るものがあったようです。

18世紀はまだ献体という概念もなく、年間数体の解剖をみんなでする、というなかでなかなか知見もたまらない。ジョン・ハンターは当時違法だった墓暴きから、違法スレスレの死体調達法まで駆使して、解剖学の発展に貢献しました。

18世紀当時の人体理解はだいぶ間違っていて、紀元前のギリシャの書物を頼っていたところもあったほど。しかしジョン・ハンターは実験と観察を元に、新たな地平を切り開いた。

若い頃から書物に対して不信感を持っていたおかげで、ハンターは生涯、古典的な教えや根拠なく信じられていることをまず疑ってかかることができた。彼はいつも、他人の書いたものよりも自分の目で見たものを信じた。ラテン語を勉強する代わりに、ラナークシャーの野山を駆け回っていた子供のころから自分の感じた疑問を忍耐強い観察と実験で解き明かそうと務めていた。

(pp.34)

これぞ学者の姿勢。すばらしい伝記でした。

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯 (河出文庫)

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯 (河出文庫)