ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#73 『昨日までの世界 文明の源流と人類の未来』原始社会からわたしたちは何を学ぶか

『サピエンス全史』を読んで以来、文明だったり文化だったり、歴史について書かれた本によく手を伸ばしています。 

『銃・病原菌・鉄』の著者、ジャレド・ダイアモンドが描く、20世紀まで狩猟社会・部族社会が残っている場所(特に1950年代まで原始社会が残っており、いまはもう空港も整備され一気に近代化したニューギニア)を研究対象として、文明というものに対する示唆。

  • 異なる部族同士での諍いをいかにして解決するか。現代では裁判だったり和解のプロセスにのるものが、いかに私的なルールのもとで処理されるか
  • 部族規模での戦い・戦争がどのようなものか。死亡率が非常に高かった原始社会での戦争と、新たな兵器の登場による突然の終結
  • 子どもへの体罰は原始社会ではどう認められるか。狩猟採集社会ではあまり見られない体罰が、農業社会では頻繁に見られるのはなぜか
  • 原始社会では高齢者はどのような立場で価値を持っており、現代社会の潮流を踏まえると、今後それはどう変わっていくのか
  • 危険をどう捉えるか。迫りくる危機、リスクに対する姿勢は原始社会と近代社会で異なるのか
  • 宗教との向き合い方は異なるのか。

特に最後の点について書かれていた一節が、サピエンス全史との対応で興味深いと感じました。

宗教の起源は人類の形質のどの部分にあるのか?この問いに対する一つの答えは、起源は人類の脳の思考機能にあるというものである。人類の脳は、原因と主体と意図を推定する努力と、そこから考えられる危険を予測する能力を徐々に磨いていった。また、その予測結果の因果関係を説明する能力も身に着けたのである。宗教は、人類のさらなる生存を助け得るようになったこれらの能力の副産物として誕生した、という考えかたである。

(第9章 デンキウナギが教える宗教の発展、下巻 pp.159)

 文章の間に挟まれる、はじめて西洋人と接触した時の現地の人の写真とか、さつまいもを中心とした伝統的な宴の光景とか、写真のパワーはすごいな、と。 

面白い本。おすすめです。