ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

まとめ#17 2018年4~6月:読んでよかった本5冊

今年の1月から始めた個別の本の紹介記事も61本になりました!

年ごとのまとめも2013年からだから6年目、四半期ごとの紹介も15回目くらい。

文章はいっこうにうまくならないし言葉も洗練していきませんが、読んだ本について自分なりに消化する深さも広さも上がった感じがして、良い習慣だと改めて思います。

そんな感じで、この3ヶ月で読んだ本の中でおすすめの本5冊を紹介します。

 

1. さよなら未来

この3ヶ月に読んだ本の中で、一番深くまでぐさっと来た本でした。

技術が示す未来に皆すがりつきすぎじゃないのか。私達に必要なのは、何よりもまず「希望」だ。---

こんな言葉を語るのが、技術系雑誌の先頭を走るWIREDの元・編集長の若林さんですから、面白くないはずがない。案の定、むちゃくちゃ売れています。講演を聞きに行ってもとても自由で、面白い方。ぜひどこかで繋がれればと模索する日々。。

内容自体は、 2011年以降、若林さんがWeb・紙媒体ふくめいろんな所に寄稿・掲載してきたものがまとまった本ですが、2018年の今でも十分に新しく、読ませる文。

このあたりしびれます。

自分になんの感動の体験もない人間が、もっともらしく「ユーザー・エクスペリエンス」を語り、数字しかあてにできない人間がしたり顔で「顧客満足」を論ずる。それによっていかに多くの現場がモチベーションを奪われ、クリエイティビティが削がれ、結果どれだけ多くのリスナーが離れていったことだろう。そりゃそうだ。そんな連中が作ったものに一体誰が感動なんかするもんか。 人を動かす新しい体験をつくろうとするとき、人は「動かされた自分」の体験を基準にしてしか、それをつくることはできない。未来を切り開くことと「自分が心を動かされたなにか」を継承し伝えることは同義だろう、とぼくは思っている。(pp.92)

ぜひ手にとって見てください。良い読書時間になることうけあいです。

nozomitanaka.hatenablog.com

 

2. 強いチームはオフィスを捨てる

強いチームはオフィスを捨てる

強いチームはオフィスを捨てる

 

私自身、この6月から東京の本社を離れてひとり関西でリモートワークをしています。その決断を支えてくれた本のうちの一つ。

もともとウェブデザイン会社だったものの、その後Ruby on Railsというフレームワークを生み出し、プロジェクト管理ツールであるBasecampを提供してきた37シグナルズの創業チームが書いた本が本書(現社名はBasecamp)。

この会社自体はシカゴに本社をおいているものの、相当の社員が米国内外でリモートワークをしているとのこと。そんな彼らのビジョンはシンプル。リモートワークは制度の問題ではなく、採用・人事の課題であるとのこと。

シンプルに考えよう。あなたが上司なら、信頼できない部下を雇わないほうがいい。あなたが部下なら、信頼してくれない上司のもとで働かないほうがいい。  リモートワークをまかせられない人間に、何をまかせられるというのだろう。つねに見張っていないと仕事ができないダメ社員に、顧客と話をさせるなんておかしいじゃないか。

Kindle位置:396) 

本書のタイトルの通り、「リモートワークでも崩れないくらい強いチームを築く。むしろ、強いチームであればあるほど物理的なオフィスに縛られないほうがBetterになる」というメッセージ。

私たちの会社、私が今後関わっていく全ての会社がこうであれば・こうしていこう、そんな決意を持つに至った本です。

nozomitanaka.hatenablog.com

 

3. 完全教祖マニュアル

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

 

タイトルが最高ですよね、もう。内容も最高なんです。おすすめすぎて、友人に買って配ってしまいました。

もし自分が宗教を立ち上げようと思ったら、何をどんな手順で手がけていけばいいのか。教義をどう考える?信者はどこから集める?誰をまず信者にすべき?教義に論理的な漏れがあったときにはどう対処する? まさにマニュアルです。しかも皮肉のきいた、面白いマニュアル。

この本の素晴らしいところは、このマニュアルを書く上で、いまやメジャー宗教となったキリスト教イスラム教、仏教が新興宗教の時代からいかに信者を獲得し世界中に広がっていったかを丁寧に考察しているところ。世界中に数億人の信者がいるこれらの宗教も、もともと新興宗教だったわけですからね。(聖母マリアがキリストに向かって「何してんねん!家に帰っといで!」といったエピソード笑いました)

改めて宗教ってなんだろうって思うと、割とあらゆることがそれに当てはまるんじゃないかと思ったりします。ビーガンみたいなのもそうだし、ヨガをしないと体調が悪いみたいなのもそうだし、池上彰さんの言う事なら何でも信じるみたいなのもそうだし。

くすっと笑えるマニュアル型新書を読みながら、ふっと深く考えたくなる。そんな素晴らしい本でした。

nozomitanaka.hatenablog.com

 

4. 宇宙に命はあるのか 

宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八

宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八

 

宇宙への夢を旨に、NASAの研究機関・ジェット推進研究所(JPL)で働く小野さん。前作の『宇宙を目指して海を渡る』を読んで以来のファンです。

この本は、宇宙を目指して戦ってきた研究者やエンジニアの歴史と、太陽外を含めた惑星探査のお話を中心に進んでいきます。その話の中に、小野さんの「情熱」と「イマジネーション」に対する熱い想いが語られていきます。

フォン・ブラウンは何を目指してロケット開発を進めていったのか。

ハウボルトが周りに反対されても離さなかった月軌道でのランデブーのアイディアはどこから湧いてきたのか。

ハミルトンは、どのようにしてほとんど起こり得ない(しかし実際に宇宙で行った)エラー探知のソフトウェアを組みこんだのか。

それら全てには、空・宇宙に対する強い情熱と、ただの知識にとどまらないイマジネーションの力があったのだ、と。

イマジネーションとはウイルスのようなものだ。ウイルスは自分では動くことも呼吸をすることもできない。他の生物に感染し、宿主の体を利用することで自己複製して拡散する。イマジネーションも、それ自体には物理的な力も、経済的な力も、政治的な力もない。しかしそれは科学者や、技術者や、小説家や、芸術家や、商人や、独裁者や、政治家や、一般大衆の心に感染し、彼ら彼女らの夢や、好奇心や、創造性や、功名心や、欲や、野望や、打算や、願いを巧みに利用しながら、自己複製し、増殖し、人から人へと拡がり、そして実現するのである。

Kindle位置:671)

火星探査機を動かすコードと、こんな文章が同じ人の手から書かれているなんて。本当に素敵だと思います。

nozomitanaka.hatenablog.com

 

 

5. TRANSIT 39号 今こそ、キューバ

大好きな雑誌、TRANSIT。問答無用で行きたくなります、キューバ

この号を読んで、わたしの必ず行くリストの中での順位がいくつか上がりました。

必ず行く。

nozomitanaka.hatenablog.com

 

終わりに

自分自身が東京から神戸に引っ越ししたこともあって、いろいろ考えることがあったのがこの3ヶ月でした。それと合わせて、読んだ本からもいろんなことを吸収できたかなと思います。

今年の後半も、楽しく読書していきたいと思います。

それではまた。