記録#49 『サラリーマンは300万円で会社を買いなさい』資本家になろう...!
日本創生投資という投資ファンドを運営されている三戸さんの新著。
- 大企業であなた(想定読者は40~50代?)が培った、当たり前を当たり前に実行するマネジメント能力は中小企業でこそ生きるはず
- 中小企業が直面する事業継承の課題を考えると、リタイア後あるいは50代くらいから中小企業を買収してその代表として活躍する道もある
- その時の投資額は安ければ数百万からありえるし、役員報酬などのアップサイドも数億円期待できることを考えると、良い投資なんじゃないですか?(最近は個人保証を求められることも減ってるし)
というのが主な内容。
企業・事業を一から立ち上げることの難しさ
本書のはじめは、「事業をイチから始めるくらいなら、ある程度出来上がったものを買っちゃったほうがいいよ」というところから始まります。
起業とは、会社を作ることではありません。事業を作ることです。会社を作ることは誰でもできます。ネットで「会社 作り方」と検索し、その通りに手続きするだけです。しかし、今すでにあるサービスや商品を自らの手で販売していくだけでも大変なのに、まして、世にないサービスや商品を創造し、市場に浸透させていくベンチャービジネスを軌道に乗せるのは、並大抵のことではありません。
(Kindle位置:452)
これはむちゃくちゃ同意で、ただ会社を登記するだけならなんてことはないんですが(それでも面倒くさいけど)、事業を立ち上げ、運営していくことを考えると大変なハードルの高さです。
事業はアイディアではなくオペレーション。効果的なオペレーションを一から考えて実現できる人はそれほど多くない気がします。それであれば、事業を自分で立ち上げるより、ある程度オペレーションが確立されていて、その改善にのみ注力すれば良い「途中参加」のほうが難易度は低いのかもしれません。
飲食業は事業の運営難易度がスーパー高い業種
三戸さんの話の展開は次に、「飲食業はやめておけよ!」と伝えるところに。
多くのシニアが退職後の飲食店開業を夢見て、その一部の人はそれを実現させていくものの、成功確率はそれほど高くない。むしろすべてを失うリスクの大きさが目立つ、とのこと。(本書の中に出てくる自死された方の事例は本当に痛ましいです...)
飲食業はPEファンドががんがん入っている領域であることから分かる通り、オペレーションの叡智が成功/失敗を分ける領域だと思います。そこに、夢見た個人経営者が入っていってもなかなか市場が受け入れてくれない、受け入れてもらえるまでに疲弊してしまう、ということなんでしょう。
どんな買収案件があるのか、最近はぐぐれるよ
2017年くらいから中小企業のM&A、事業継承系に参入する民間企業も増えていて、
- ビズリーチ・サクシード
- TRANBI
- 事業引継ぎ支援センター(公的機関)
などで案件を確認することが出来ます。興味本位で覗いてみてはいかがでしょう??
事業承継・M&A案件一覧|M&AマーケットTRANBI【トランビ】
おわりに
私が今関わっている医療介護領域に関連して、本書の中で紹介されていた事業売却相談案件の中に、
- 介護事業所
- 従業員10~30名
- 売上 1億円以下
というものがありました。
一人あたり利益が300~1,000万円だとそもそもの運営も厳しいだろうなと。かつそれで「施設の入居は満室に近い」というコメントが付いているらしいので、単価は推して知るべし・・・
小さな会社にまつわる厳しさと一抹の希望を改めて学ばせてくれる本でした。
サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 (講談社+α新書)
- 作者: 三戸政和
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/04/20
- メディア: Kindle版
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