ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#39 『旅に出よう 世界にはいろんな生き方があふれてる』見る、診る、観る

また岩波ジュニア新書から。

ちょっと前にTRANSITのキューバ特集を読んで以来、旅モチベーションが高まっています。

nozomitanaka.hatenablog.com

そんな私にすっと入ってくるタイトル、『旅に出よう』。

著者の近藤さんは、大学院卒業後から8年にわたって世界中を旅しながら(正確にはちょっとずつ定住しながら)生活して来た方。最近また遊牧夫婦という本を出されたりしています。 

・まず最初はオーストラリアでイルカ保護のボランティアを。

・その後は打って変わってインドネシアでクジラ・イルカ漁を行う部族の村へ。

・さらにはタイとミャンマーの国境で太平洋戦争後に現地に残留した日本兵を探したり。

・中国・昆明に渡って二胡を弾くおっちゃんの悲しい家族物語を聞いたり。

・上海では夢を追う日本人総合格闘家と一緒にリングを盛り上げる。

・イランでは、現地女性が全身をすっぽり覆うチャドルの中は普通のセーターとジーンズを来ていることに驚く。

・スイスの亡命チベット人たちの本音と建前の使い分けに世界情勢を感じる。

本書のある章のタイトルにもなっていますが、これが「見ることと聞くことの違い」だなと。

 インドの路上でなんだか分けのわからないものを売っている中年のおじさんも、そこにいるということは、ちゃんと歳をとって何十年というときを生きているわけです。ヴァラナシのガートで毎日沐浴をしている老人たちも、それぞれなんらかの方法で、半世紀以上を生きてきているのです。

 もちろん彼らが、彼らにとってベストな行き方をしているわけではないかもしれないし、凄まじい苦労を背負いながら毎日をなんとか生き抜いているのかもしれません。彼らの様子に、ただ異国情緒的な美しさのみを見て取るのは、旅行者の勝手な思い込みに過ぎないと思います。

 ただ、そのことを理解した上でも、彼らを見ているうちに、自分も、自分の生き方について、もっと自由に考えてもいいのではないか、という気が強くしてきたのです。(p. vii)

そんな思いから始まった旅行。読めば読むほど、20代後半の数年をかけてあまりある濃密な時間が底に流れていたことを感じました。

そんな近藤さんから読者にメッセージ。

 だから、未来は明るい、これから楽しいことが待っているはずだ!と思って生きることはとても重要なことだとぼくは考えています。「これからやってくる厳しい世の中を生き抜くために、将来苦しい生活に陥らないように、頑張って勉強する」のではなく、「楽しいことがたくさん待っている自分の未来に向けて、より楽しく自分の行きたいように生きるために、いまやるべきことをがんばってやっていく」という方が、きっとやる気も満ちてくるのではないかなと思います。

 世界は今後ますます変化の速度を増しながら、急激に変わっていくでしょう。そんな時代をこれから生きていく皆さんには、ぜひいい意味で、これまでの"常識"にとらわれずに、自分の発想や興味、希望を大切にして、楽しく自由にそして大胆に、自分の生き方を創造していってほしいと思っています。(p.195)

近藤さんは現在京都で活動中とのこと。理系ライターチーム・パスカルを企画しているようなので、私もお邪魔しに言ってみようかしら。経済学出身だけど。

旅に出よう――世界にはいろんな生き方があふれてる (岩波ジュニア新書)

旅に出よう――世界にはいろんな生き方があふれてる (岩波ジュニア新書)