たなかの読書記録

30歳くらいの男が、読んでよかったなぁと思う本を紹介していきます。

記録#30 『遅刻してくれてありがとう(下)』母なる自然に学ぶ。

前回の上巻記録に続き。 

nozomitanaka.hatenablog.com

 

下巻は、政治とコミュニティのお話です。

混迷を極める社会の中で、私たちはもっと地球や自然から学ぶべきだ、というのが著者の主張です。

まず自然は、学ぶことをやめない。

母なる自然は生涯学習者だ。BCGのビジネス・コンサルタント、マーティン・リーブズが私に説明してくれたように、母なる自然は、環境変化を探知するシステムとしてフィードバック・ループを使い、最大のレジリエンスと推進力でその変化に対応している植物や動物を見極めて、次世代の植物や動物にとってもっとも望ましい特質(すなわち遺伝子)を普及させている。

Kindle位置:1,356) 

 自然は、動き続けることで動的な安定を追求する。停滞・性的な安定は衰退だと理解している。

安定がダイナミズムの果てしない行動によってもたらされることを、彼女は知っている。安定には停滞のような要素はないと、私たちにきっぱりというはずだ。安定して、均衡がとれているように見える自然システムは、けっして停滞してはいない。

Kindle位置:1,447) 

 自然は、全てを救おうとはせず、新陳代謝を受け入れる。

母なる自然は、破綻もいいことだと考えている。生態系全体がうまくいくためには、個々の植物や動物の破綻が許されなければならない。彼女は自分のあやまち、弱さには容赦がない。種を作り、DNAを未来の世代に伝えるために適応できなかったものも容赦しない。そういったものを死なせれば、強いもののための資源とエネルギーが掘り起こされる。破綻に対して市場がやることを、母なる自然は山火事に対してやる。「成功の余地を生み出すために、自然は失敗した部分を切り捨てる」イギリスの銀行家で人類学者のエドワード・クロッドは、1897年の著書『 Pioneers of Evolution from Thales to Huxley(ターレスからハックスレーに至る進化論の開拓者たち)』で、そう述べている。「適応できないものは絶滅し、適応できるものだけが生き延びる」その灰から新しい生命が生まれる。

 (Kindle位置:1,460) 

 この後もう少しすると、「母なる自然はアメリカとメキシコの間に壁を作る」みたいな言説がでてきてえっ?となりますが、↑のあたりまでは納得です。

 

上下巻を通じて、テクノロジー進化と人間感覚のバランスをどう取っていくのか?ということが通底する大きなテーマでした。下巻は、人間感覚を強化する上での政治や国家、コミュニティ、という話が中心です。

数々の進化と衰退を数十億年に渡って受け入れてきた地球という存在から、メタファーを通じて学ぶことはたくさんあるなと感じます。個人的には、テクノロジーについて扱った上巻が特におすすめです。