たなかの読書記録

スタートアップで働く人間が、読んでよかったなぁと思う本を紹介していきます。

記録#26 『自分の仕事をつくる』魂を込めたものづくり。

 働き方研究家・西村佳哲さんによる、様々なものづくりのプロフェッショナルとの対話集。

 豊かな生のための、豊かなプロダクト・サービスの大切さ。

 そんなことを考えさせられる本でした。

やたらに広告頁の多い雑誌。10分程度の内容を1時間枠に水増ししたテレビ番組、などなど。様々な仕事が「こんなもんでいいでしょ」という、人を軽く扱ったメッセージを体現している。それらはかくしようのないものだし、デザインはそれを隠すために拓かれた技術でもない。p006

  ある、そんなものに溢れてる。

 人間は「あなたは大切な存在で、生きている価値がある」というメッセージを、つねに探し求めている生き物だと思う。そしてそれが足りなくなると、どんどん元気がなくなり、時には精神のバランスを崩してしまう。

 「こんなものでいい」と思いながらつくられたものは、それを手にする人の存在を否定する。とくに幼児期に、こうした棘に囲まれて育つことは、人の成長にどんなダメージを与えるだろう。

 大人でも同じだ。人々が自分の仕事を通して、自分たち自身を傷つけ、目に見えないボディブローを効かせ合うような悪循環が、長く重ねられている気がしてならない。p006

 この本の中で、西村さんは、柳宗理さんのスタジオだったり、パロアルトのIDEOオフィス、ベンチュラのパタゴニアなんかを訪ねたりしています。とっても羨ましい。

 どの作り手も、自身の製品に魂を込めて、世の中に問いを立てています。

 ただ図面を引いて値札を付けて、ということではない、目的と手段のバランスが取れた、素敵な仕事を実践している方々ばかり。

 折に触れて読み返したい本です。

 

 最近はハンドメイドマーケットアプリをよく見ています。そこにある製品の多くは、作り手の想いに溢れていて、使っていてもとても心地が良い。

 働き方だけではなく、生き方を振り返る意味でも、良い仕事というものを考えることの大切さを痛感しました。 

 個人として心の響いた一節はこれ。

仕事を通じて自分を証明する必要はない。むしろそれはしてはいけない。 

 自分はどこまで言っても自分。自分を証明するための仕事は、社会にとってはうるさいものになる。それはしちゃだめだよね、と。

 いつまでも本棚に残るやつです、この子。

自分の仕事をつくる (ちくま文庫)

自分の仕事をつくる (ちくま文庫)