たなかの読書記録

30歳くらいの男が、読んでよかったなぁと思う本を紹介していきます。

記録#10『巨大投資銀行』骨太に生きていく

読んだ本の記録は読書メーターにまとめているんですが、表題の「巨大投資銀行」を読むのはこれで6回目でした。最初に単行本で読んだのが2012年なので、だいたい年1回くらいのペースで読んでいる計算です。

巨大投資銀行(上)

巨大投資銀行(上)

 

主人公、桂木英一は旧態依然とした都銀を抜け出し、30代後半にして外資投資銀行のモルガン・スペンサーにバイスプレジデントとして入社します。時代は1980年代。日本企業がアメリカでのプレゼンスを着実に高める中で、ジャパンデスクで働く桂木は丁寧に仕事をこなし成果を出していきます。日本のバブル崩壊やニューヨーク9.11等をくぐりに抜けて、最後は邦銀を率いる立場に。

自分ではコントロールできない要素に振り回されながらもまっすぐに仕事に取り組むその姿に、自分の仕事が辛くなるたびに勇気づけられてきました。。

主人公以外の登場人物の魅力も、この小説をいっそう素敵にしています。

・お前は朝起きてまず何をする?と聞くチャーリー・ホウズィア

ソロモン・ブラザーズの凄腕トレーダーだった明神茂をモデルとした竜神宗一

・人付き合いにも食事にも自らのスタイルを貫き通すセールスの藤崎清治

私は特に、藤崎が好きです。

最後、桂木が邦銀の代表取締役に就任した時、藤崎が贈った詩。

生徒諸君に寄せる (宮沢賢治

諸君よ紺色の地平線が膨らみ高まるときに
諸君はその中に没することを欲するか
実に諸君はその地平線に於る
あらゆる形の山岳でなければならぬ

諸君はこの颯爽たる
諸君の未来圏から吹いてくる
透明な清潔な風を感じないのか
それは一つの送られた光線であり
決せられた南の風である

諸君はその時代に強いられ率いられて
奴隷のように忍従することを欲するか
むしろ諸君よ
更にあらたな正しい時代を作れ

宙宇は絶えず我らによって変化する
潮汐や風
あらゆる自然の力を用い尽くすことから一足進んで
諸君はあらたな自然を形成するのに務めねばならぬ

新しい時代のコペルニクス
あまりの重苦しい重力の法則から
この銀河系を解き放て

新たな時代のマルクス
これらの盲目な衝動から動く世界を
素晴らしく美しい構成に変えよ

新しい時代のダーウィン
更に東洋風静観のキャレンジャーに載って
銀河系空間の外にも至って
更にも透明に深く正しい地史と
増訂された生物学を我らに示せ

衝動のようにさえ行われるすべての農業労働を
冷たく透明な解析によって
その藍色の影と一緒に 舞踊の範囲にまで高めよ

新たな詩人よ 嵐から雲から光から
新たな透明なエネルギーを得て
人と地球にとるべき形を暗示せよ

また来年も読むことになりそうです。