記録#2『それでも人生にイエスと言う(V・E・フランクル)』ナチス強制収容所からの帰還。
ヴィクトル・E・フランクルの「それでも人生にイエスという」を年末年始に読みました。
オーストリアの精神科医で、第二次世界大戦時には強制収容所に送られそこで家族の多くを失いました。戦後は精神療法医として活動しつつ、"生きること"に関して多く発信をしました。『夜と霧』が有名で、アメリカ図書館協議会によると「歴史上これまで最も多く読まれた10冊の書物のうちの一つ」とされています。
- 作者: V.E.フランクル,山田邦男,松田美佳
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 1993/12/25
- メディア: 単行本
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この本は、ナチスの強制収容所から開放された翌年にウィーン市民大学で行った3講演の記録です。1本目は「生きる意味と価値」、2本目は 「病を超えて」、3本目は「人生にイエスと言う」と訳されています。
とても素敵な本です。ぜひ皆さん読んで下さい。
いつも誰にでも役立つアドバイスなんてない
それはたとえば、チェスの世界チャンピオンにインタビューして、「ところで、先生、どういう手が一番いい手だとお考えでしょうか」と尋ねるようなレポーターの質問が、とんちんかんなのと同じです。そもそも、全く特定の、具体的な勝負の局面、具体的な駒の配置を離れて、特定のいい手、そればかりか一番いい唯一の手というものがありうるでしょうか。(pp.30)
世の中にある、「こうすればすべてうまくいく!」みたいなお話って、ほんまかいなと。「幸せ」をキーワードにAmazon検索すると、ダイエットや筋トレ、ヨガ、占い、ペン字にいたるまで、「これをやると幸せになれますよ」って本が溢れています。
どんな人、どんなときにも無敵の一手なんて存在しない。その場その場での最善手があるのみです。
ちなみに将棋の羽生善治さんは著書「上達するヒント」で、形成を判断する要素として、
- 駒の損得:自分が適切な武器・ツールを持っているのか、失っていないか
- 手番:相手の先手をとれているのか・機先を制せているか
- 玉の堅さ:守りの体制は十分か、急所はないか
- 駒の効率:自分の武器を活かせているか、不活の駒がないか
を挙げています。何を優先するのか、何は犠牲にしてもよいのか、それを踏まえて次の一手が決まります。
スポーツというまさに人間らしい活動
困難に対してどのような態度を取るかということのうちに、その人の本来のものが現れ、また、意味のある人生が実現されるのです。私たちは、スポーツマン精神という本当に人間らしい精神も忘れてはなりません。スポーツ選手がすることといえば、困難によって成長するために困難を作り出すことにほかならないではありませんか。(pp.38)
今年はオリンピックもワールドカップもあります。盛り上がりましょう!
創造は誰にでも可能
一流のスープは二流の芸術作品より創造的である(pp.189)
A.マズローの言葉らしいですね。
学校にいるときは美術や音楽の成績が悪くて、創造的な活動と全く縁のなかった私ですが、今年はなにか良いものを創れればと思います。
問わない、応える。
私たちが「生きる意味があるか」と問うのは、はじめから誤っているのです。つまり、私たちは、生きる意味を問うてはならないのです。人生こそが問いを出し私たちに問を提起しているからです。私達は問われている存在なのです。(pp.27)
V・E・フランクルのいちばん有名な思想と言ってもいいと思います。我々が人生の意味を問うのではなく、人生が我々に意味を問いかけてくれるんだと。
それがなぜなのか、ぜひ本を読んでみてください。
イエスから始める、そんな2018年にしたいと思います。