まとめ#11 2016年】今年の16冊+年末年始の5冊
こんにちは。2016年も年の瀬ですね。
今年読んだ本を合計したら186冊でした。
仕事で色々考えることが多く、組織だったり事業開発に関する本が多かった一方、仏教や世界史に関する本にでもちょこちょこ手を出してみました。
学部生の時からつけ始めた読書日記も1,000冊を超えて、この人にはこんな本をお勧めしたいな、と思うことも増えました。来年はプレゼントを贈るとき、その人に合いそうな本を選んで渡してみようかなと思います。
その年の本をまとめるのも今年で4年目(過去記事→2013年、2014年、2015年)。
今年分は1Q、2Q、3Qとそれぞれまとめていて、今回のものともだいぶ重複しています。よろしければそれぞれもご確認くださいませませ。
それでは、どうぞ。
●アホウドリの糞でできた国
ナウル共和国という島国のお話。
太平洋に浮かぶ世界で3番目に小さなこの国は、島自体がリン鉱山。黙って土を掘ってそれを売ればお金になっていたこの国の市民は、資源の枯渇による貧困から逃れることはできず、わずか数十年の間に、世界でも有数の豊かな国から最貧国まで一気に欠け落ちました。
具体的に何が起きたのか、別の本の解説ですがこの記事とかこの記事が簡単でわかりやすいです。
この本自体はイラストも多く、1時間もかかわずさーっと読める、けど国のあり方を考える上で示唆深い本。
●わたしが正義について語るなら
アンパンマンの作者・やなせたかしさんの自伝的に語られていきます。
戦争に行って帰ってきたら、皆が信じるものが、世界が、完全に変わっていた。そんなやなせさんが感じた不変の正義は「献身と愛」、そんな思想がアンパンマンに生きていると。(振り返ればそうだけど、当時はそんな綺麗事じゃなくて死ぬほど仕事する中でのただの一作品だったとのエピソード添え)
「アンパンマンのマーチ」の中に、"愛と勇気だけが友達さ"という歌詞があります。それで抗議がきたことがあるんだけど、これは、戦うときは友達を巻き込んじゃいけない、戦うときは自分一人で思わなくちゃいけないんだということなんです。
全く関係ありませんが、家の近くのアンパンマンショップは常に大人気です。
●私は魔境に生きた
私は魔境に生きた 終戦も知らずニューギニアの山奥で原始生活十年 (光人社NF文庫)
- 作者: 島田覚夫
- 出版社/メーカー: 潮書房光人社
- 発売日: 2007/10/13
- メディア: 文庫
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安倍首相が真珠湾に慰霊訪問した2016年末。思い出したのはこの本でした。
ニューギニア島で終戦を迎え、そのまま密林の中で10年生活。
人が生きていくってなんて大変なんだろうと。ただ食べていくってなんて大変なんだろうと。
生々しいお話ばかりで、本の終盤になっても読み終えたくないと思わせてくれるノンフィクションでした。
●数学者たちの楽園
シンプソンズの製作陣には、数学の修士号、博士号取得者がゴロゴロいると。。すごい。。いい作品を作る人は遊び心がある人。それを実感します。
本の中で、"3987^12+4365^12=4472^12"が一瞬紹介されていて電卓で計算してから「フェルマーの最終定理が!!!!」ってなるんですが、少し読むと解決します。一瞬ぶったまげました。洒落てる。
あとですね、インドの数学者ラマヌジャンのエピソードが出てくるんですが、それ以来1729という数字が大好きになりました。詳しくは、ぜひ本書で。
体の中を一つの社会に模して、風邪やがん、花粉症などの時に体の中がどんな風になっているのかを教えてくれるマンガ。こういうコンセプト大好き。
高校の教室に是非置いておいてほしい本。
マクロファージむちゃかっこいいし、好酸球かわいいし。。。 彼/彼女らに支えられて、今日も元気に生きていけるんですね。
●大人はもっと遊びなさい
遊びます(力強く
お国が副業を後押しするような世の中ですし、目の前の仕事に縛られるんじゃなく、適度に遊んで、人生を豊かにしていければいいなぁと思います。
●あなたの会社が理不尽な理由
会社勤めをする中で、なんでこうなっているの?と思う幾つかのことに、経営学の論文をベースにした見解をシェアしてくれます。
例えば、少額な出費と大規模な投資があったときに、少額な出費ほど会議や決断、確認に多くの時間をかけてしまうこと(あるある)。これは、経営陣でも大規模投資の経験は少ないために発言する人も少なければ意思決定に関与したがる人も少ない一方、小さい出費であればみんな自分の経験があるから色々言い出し結果やたら時間がかかるから。思い当たることがあったりなかったり。。
全般としては新規事業系のお話が多いです。頭でわかっていて実行できていない人が多いこの業界ですが、ぜひ参考図書に一冊。
●魂の退社
人生思い切り。 一瞬私もアフロやってみようかと思いました。
●アメリカは食べる
食から見るアメリカの文化論。いま思い返しても、内容がずっしりと濃い一冊。
この方の書評ブログがとてもよくまとまっています。
新天地アメリカに渡ったイングランドからの入植者である白人たちが、先住民たちネイティブアメリカンと食べ物を分かち合い、新世界の食材と、先住民の知恵と工夫、そしてイングランドの調理道具と調理法が融合し、お互いが食卓を囲んだことが真のアメリカ料理の始まりであった。そしてこれが、アメリカ料理の本質であるという。
それは後に、ドイツ、フランス、イタリアなどヨーロッパや、アジア、南米からの移民たちが持ち込んだ自国料理が、アメリカの地で変容し、多種多様な民族が寄り集まって作り上げた、世界に類を見ない希有な「食」になったのである。
また、もう一つ、アメリカの負の歴史から生まれた「食」もまた、アメリカ独自の「食」であることを知らなければならない。ソウルフードである。
著者の方は映画や音楽が専門とのことですが、その方がこんなに豊かに文化のことを語る姿にかっこいいなぁと。
いつかお会いしてみたい方が増えました。
●TEAM OF TEAMS
- 作者: スタンリー・マクリスタル,タントゥム・コリンズ,デビッド・シルバーマン,クリス・ファッセル,吉川南,尼丁千津子,高取芳彦
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2016/04/01
- メディア: 単行本
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100名を超える大きな組織で働く人、そんな人たちと一緒に働くことのある方々にとてもおすすめです。部署の課題図書にしてもいいくらい。
2000年代、イラクに乗り込んだ米軍は大苦戦。兵器の質や量、兵士のトレーニング、情報戦どれを取っても米軍の方が圧倒的に優っているはずなのに。著者は当時の司令官。苦戦の原因を意思決定や情報共有、さらにはチームとしての成り立ちにもとめます。情報が高速に行き交う現代において、軍隊に代表されるピラミッド型/MECE型組織は最適ではないのでは。組織の透明性を高め、あらゆる情報を共有し(著者は数千人参加の会議をWeeklyで行った)、意思決定の権限を現場に移譲していく。そうしていかないと、ゲリラ戦に対応するだけのスピードを組織として担保できない。
これからの戦略は、チェス(のような逐次手番ゲーム)ではなく、(勝手に育つ農作物を最適に管理する)菜園ゲームであるべきだ、というのも印象的でした。
読みながら組織/チームに関するいろんな問いが想起される、とてもいい本です。
辛いことがあるたびに読み返すマンガ。大好き。
次女・ひなたちゃんのいじめのところ読むと必ず泣いてしまう。。。。
●子供は40000回質問する
子どもは40000回質問する あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力
- 作者: イアン・レズリー,須川綾子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2016/04/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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子供のように考えろとはよく言ったもので。
知識偏重型ではない教育を、と言われて久しいですが、この本では「好奇心のベースにあるのは知識だ」とされています。知らないことを知らない、という状態から、知識があってやっと知らないことを知る、という状態にいける、と。
好奇心は不服従のもっとも純粋なかたちである(ウラジミール・ナボコフ)
好奇心にあふれた毎日にするためにも、自分が知らない物事に日々気づき、それに謙虚である自分でいたいと思います。
●未来政府
- 作者: ギャビンニューサム,リサディッキー,Gavin Newsom,Lisa Dickey,稲継裕昭,町田敦夫
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2016/09/30
- メディア: 単行本
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カリフォルニア州副知事が語る、これからの行政の形。ちょうど先日Code for Kanazawaの方々と仕事でご一緒したので、タイムリーに頭に入ってきました。
20世紀末から、世界中で新たな製品/サービスが生まれ、それによって人々のコミュニケーションが大きく変わってきたのに、政府と国民・市民とのコミュニケーションはここ数十年全く進化していない、それはなぜだろうか。これからの行政はどうあるべきなんだろうか。自身でスモールビジネスをいくつも立ち上げてからサンフランシスコ市長を経て現職に至る著者は、起業家の視点、行政の視点それぞれから未来を語ります。
投票するだけでなく、「選挙に行こう!」と叫ぶだけでなく、自分で生み出せる進化はなんだろう、と考える良いきっかけになりました。
●あなたの体は9割が細菌
今年読んだ本の中で、実生活に一番変化をもたらしたのがこの本。
ぜひ買いましょう食物繊維・難消化性デキストリン(http://amzn.asia/8bOc1x2)。抗生物質の摂取は適切に。
最近マイクロバイオームだったり腸内環境だったり、テレビでも取り上げられるようになりましたね。ヘルスケア系のコンテンツはいろんな情報が飛び交っているので、信頼できるソースの情報を丁寧に拾っていきたいです。
●空から降ってきた男
渾身のルポ。中身を読んでると、20世紀以前の話かと錯覚するような、深い深いアフリカの闇のお話。
奴隷制は、まだいきています。
●ザ・会社改造
三枝さんの本はどれも大好きなんですが、ミスミでの経験をダイレクトに書き起こした最新作は読み応えたっぷりでした。戦略立案、海外事業の立ち上げ、コールセンターの集約、製造機能獲得のための買収、どれも強烈なインパクト。
・戦略とは何か?
・新規事業を考える際の事業シナジーとは何か?
・改革を乗り切るために必要なストーリーはどう紡がれるのか?
いろんなことに示唆をくれます。
戦略プロフェッショナルからV字回復の経営まで、合わせて読み返すのがお勧めです。
ここから、私の年末用の読書リストです。
●世界史B講義の実況中継シリーズ(1)~(4)
青木裕司 世界史B講義の実況中継(1) (実況中継シリーズ)
- 作者: 青木裕司
- 出版社/メーカー: 語学春秋社
- 発売日: 2015/03/17
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集中して纏め読みできる貴重な期間なので。全四巻まとめて。
●大衆の反逆
- 作者: オルテガ・イガセット,Ortega y Gasset,神吉敬三
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1995/06
- メディア: 文庫
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大統領選があんな結果になる世の中なので。
以上です。少し早いですがみなさん、来年もよいお年を。