ねずこん読書記録

小さな会社を経営しています。読んだ本について書き残していきますー

記録#305 『戦略思考トレーニング 最強経済クイズ[精選版]』

 

 

感じたこと


  • 問いと答えの一致度が気になったりしたけども、頭を柔らかくして考えるための実例に溢れていた。
  • いま学生の就職活動支援でケース面接やインターン対策をしているんだけど、こういう事例を1冊読んでおくだけでも思考の幅が広まりそうだ。おすすめしておこう。

内容


  • 高い戦略思考力=常識を超える力、論理的思考力、柔軟な発想力、たくさんの事例についてしっていること
  • さて、問題を問いていこう!
    • ハインツはなかなか出てこない瓶型のケチャップについてどのようなPRを行ってシェアを取り戻したか?
    • なぜアパレルショップは古着の受け取りをするのか?CSR視点以外にどのような目的が?
    • 上越新幹線の2階建て車両、2階は景色が見えるけど1階は見えない。この不公平感にJRはどう対処したか?
    • ペットの数は増え続けているのにドッグフードの売上は個々数年下がってきているらしい。なぜ?
    • 普段は絶対作動せず、あるきっかけで急速に膨張する。この機能を満たすべきエアバッグについて、「うちの技術を使えば安く作れる!」となったのはもともと何を作っていた会社?
    • 米フォードと米ハーツレンタカー、ダイエーとローソン。2つの関係性の共通点とは?
    • くら寿司のお皿をカウンターの穴に落とす仕組みは、女性客の単価向上に貢献しているらしい。なぜ?
    • カップヌードルが初めてアメリカに上陸したとき、営業マンはそれを「この商品は〇〇です」とスーパーに売り込んだ。その文句とは?
    • 魚の売れ行きが全般的に低調なスーパーマーケット、週に2日だけ「魚が売れる日」がある。それはいつ?
    • 1960年代の米マクドナルドは、フランチャイズ収入、材料/消耗品販売に加えて、どのようにして加盟店からお金を徴収していた?
    • 電化製品の工程別収益率をみると、製品販売よりもアフターサービスのほうが収益性が高くなるのはなぜ?
    • プリンタのキャノン、リポビタンD大正製薬、化粧品の資生堂、この3つの高収益企業に共通するのはどんなこと?
    • エクスペディア等の旅行サイトが実施する「最低価格保証サービス」が及ぼすメリットは、顧客満足度の向上に加えて、他にどんな要素が考えられる?
    • なぜ国家間お為替レートを議論するのにビッグマックがふさわしいと考えられるのか?
    • 製品の安売りで成長を遂げたものの不信に陥った業界5位のボーデン社の工場を信越化学が50億円で買収。その戦略的な意図はどこにある?
    • 最近の冷蔵庫、冷凍庫の位置が最下段から中段に移行しているのはなぜ?その弊害は?
    • 飲料水の宅配事業を行うアクアクララはとある業種の会社が親会社になってから急成長。その親会社の業態とは?
    • 1982年に発売されたHONDAの2代目プレリュード。その車に搭載されていた、当時の男性の若者を魅了した機能とは?
    • ベトナム戦争により米国→ベトナムのコンテナ船が増加。それによって日本経済に被った恩恵とは?
    • 中国の化粧品店では万引きが絶えず、困ったメーカーは万引きの数量に応じて店員の給料からペナルティを差し引くことを決定。その結果起きたこととは?
    • 米国において、社会人になり年令を重ねることで価格の高い歯磨き粉を使うようになる理由はなに?
    • 北海道の国内旅行の観光需要は1.08兆円、日本各地から北海道への旅行客は年間600万人。この2つの数値から、観光客一人あたりの北海道旅行の消費額は約18万円と読み取れる。この計算は正しい?
    • 星野リゾートは日本各地でホテル・旅館の再生を請け負っているが、再生後の絵姿が高級路線に依っていて、大衆路線のものはほとんどない。大衆路線を取られると困るのはだれ?
    • 国内メーカーの中でもっとも高収益(営業利益率・ROE)な自動車会社はどこ?
    • インドのある地方で、予防接種の接種率を5%から38%に向上させた施策はなに?
    • 中国の固定電話最大手・中国電信が、携帯電話に対抗するためにとったコードレス電話の性能向上策とは?
    • ゲリラ豪雨の発生を予測し即座に警報を出せるようにするために、現在活用が検討されている街で見かけるあるものとは?
    • Jリーグが、経営の持続性担保のために、J3のチームに勧めている打ち手とは?
    • 19世紀末、アメリカで2ドル99セントのような半端な単位の価格設定が広がった最初の理由は?
    • 車の給油口の位置が右・左で統一されていない理由は?
    • 江戸時代、日本に来校したオランダの商船は甲板が狭い設計になっていた。それはなぜ?

記録#304 『医師の不足と過剰:医療格差を医師の数から考える』

 

医師の不足と過剰: 医療格差を医師の数から考える

医師の不足と過剰: 医療格差を医師の数から考える

 

 

感じたこと・内容


  • 理系人材として、工学部・理学部などに進学したあとのビジョンが見えづらいと、優秀層が一定の尊敬と収入が見えている医学部を選択しがちなのはある程度仕方がないことなのかも
    • 韓国などでも医学部人気がすごいらしい
  • 日本では戦時中の軍医育成から、その後の高度経済成長への対応など、ところどころ意志の育成アクセルを踏んだシーンがあり、人口あたりの医師数は緩やかに増加している
    • 毎年9,000名程度が新たに参加し、3,000名程度の医師が増えていく計算
  • 一方でこれからは人口減少社会に入るため医師数も絞っていく必要がある一方、各大学の思惑としては自らのところの定員を絞ることはしづらく、ブレーキのかかり方はゆるやか
    • 大学入学などの入口側で制御するのか、免許取得のための試験など出口部分で制御するのか
    • 法科大学院会計大学院柔道整復師などの事例を見ると、適切なブレーキングの設計が安定したサービス提供と個々のキャリアパスの両立のためには重要
  • 欧州各国を見ると過剰とも言える医師数が設置されており、日本はそこまでの水準にはないが、医師の養成コストの高さ(大学6年間で総額1億円/人)などを考えるとどこまでその育成に社会資源を投じるべきなのかは議論の余地がある
  • 医療のコスト・品質・アクセスのトリレンマ。どれか一つは必ず犠牲になってしまう。その中でどの2つを選択するのかは社会のステージや健康状態によって変わるのはそのとおりだなぁと。
  • 日本という国は医師が過剰であるとも不足であるとも言いづらいが、地域ごとの格差は相応にある。診療科ごと、あるいは一次~四次までの医療機関のステージによって地域ごとの偏りが存在している
    • 人口あたりの医療者数、徳島が最大で、埼玉が全国的に少ない方、というのはかなり意外だった。
    • 地方での外科、救急、小児科の不足が深刻。地方で働いてみても良いと考える医師は一定いるが、20代であれば学習・研究環境が、30台以降
  • 地方都市の民として、自分に何ができるのか/しなくてはいけないのか、自分が一人の生活者としてどのような医療環境と向き合っているのかを考えるいいきっかけをくれた本

記録#303 『ブラック語録大全』

 

ブラック語録大全

ブラック語録大全

 

 

感じたこと/内容


  • 流石にひどい発言だなと言う経営者の言葉ももちろんある一方、流石にそれは穿った見方が過ぎるでしょうという編者側のコメントもあって、なんというか、読んでいて苦しくなる本だった。
    • 24時間365日働け、仕事があることに感謝しろ、ブラック企業の時代がなければホワイト企業にはなれない、みたいな経営者発言があって、やりすぎだろうと。過労死のニュースが出たときの企業側の弁明とかを見ると本当にひどくて悲しい
    • 編者側が入れているコメントで「開き直りだ」「論点のすり替えだ」と指摘しているコメントは、企業が置かれている市場環境を見ると普通のコメントだったりして、なるほどこういう視点に立つ人が労働生産性はあがらず結局つけが労働市場に来るんだよなぁと思うなどした
  • 日本電産の永守さん、発言が攻めまくってる...
  • ワタミの渡邉さん、今見ても発言がひどい。本当にひどい。飲食業界と人材業界、やばい経営者がこんなにいるのか...
  • 法律を守ることはもちろん大切で絶対なんだけど、「仕事のパフォーマンスが出ない人にはやめてもらわないと」→「経営者の横暴だ!」というのはさすがに。ジェンダー問題でもそうなんだけど、「私達は絶対的に弱い立場にあるから様々な権利を主張する立場にある」という立場/前提に立っていろんなものに噛み付いていく姿勢、だれもハッピーにしないし、なんの改善にもつながらないと思うんだよね。
  • 雇ったら簡単に解雇できないから雇わない。パワハラだなんだと言われるから課題を与えての指導もできない。周りを見ると、そういう事例が溢れているねぇ。難しい時代だねぇ。

記録#302 『常勝経営のカリスマ 藤田田語録』

 

 

感じたこと


  • 日本マクドナルドをここまで成功させた藤田田。空襲で家族と財産を失いながらも藤田商店を大成功させ、孫正義が尊敬・心酔するまでの強い経営哲学を持った経営者。本書で紹介されるエピソードも癖強めのものばかりで圧倒された...
  • 1999年に発刊された本書。ドルの時代が終わってユーロの時代に、など、当時は本当にそうだったんだろうなぁと。沖縄を99年借款に出す、アメリカと組んで欧州に対抗するなど、ぶっ飛んだ提案もいくつもしていて、20世紀の名経営者ここにあり感がある。
  • 正しい間違っているはさておき、自分なりの時代理解と将来像を持っている経営者はこうも強いものか、人を惹きつけるのかと。自分もそういう時代感性を強くしないとなぁ。
  • ハンバーガー100円だと顧客満足度100%だから、80円にしたら120%や!は流石にわらった

内容


  • 景気が悪いことを言い訳にしない。不景気とは魚がいなくなったわけではなくて、単に漁場が変わり、漁法が変わるだけ。データから予測を立て、対策を立てて進軍すれば恐れるものはないと。
  • 割引よりもインセンティブをあげるほうが消費者は動く。500円の商品の売れ行きを伸ばすなら、100円割引するよりも卵や醤油のような生活必需品を上げるほうが顧客満足度を上げ、大衆を魅了することにつながる
  • 狙うべきは女と口。
  • 財界活動に精を出すことはしない。役所の肩書は持たない。
  • トップの知識と経験は決断するためにある。アイディアや直感力を動員しながら、ビジョンを描き、コンピュータ・データを駆使してシミュレーションし、決めきる。社長業は決断業。
  • 本を読め、人と会え、道を歩け
  • 60%確実ならばやるべき。100%確実なら他社がやる
  • 「思いは真実になる」ということを自分に信じさせる。言ったら達成する

引用メモ


国の政策がなんとかしてくれると考えていたら、事業はやっていけない。

成功するベンチャーには2つの要素があるのです。1つは時間短縮、もう1つは簡便化です

記録#301 『皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。』

 

皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。

皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。

 

 

感じたこと


  • 前半の皇室話、思想が強めで通読困難...上皇の「おことば」がどう、血筋がどう、霊力がどう、正統がどう、、、
  • 原先生と中川家礼二さんの対談が好きだったし、三浦しをんさんの小説も好きだったので手にとってみたもののちょっとお腹いっぱいです

記録#300 『脱走王と呼ばれた男』

 

脱走王と呼ばれた男:第二次世界大戦中21回脱走した捕虜の半生

脱走王と呼ばれた男:第二次世界大戦中21回脱走した捕虜の半生

 

 

感じたこと


  • 捕虜になったあとは国際条約に基づき将校たちは丁重に扱われる。そんな中で、あえて危険を犯して脱走を繰り返したアレスター・クラム。何が彼をそんなに突き動かしたのか。本文にあるような、脱走がもたらすある種の高揚感なのか、自由への意志か、創造力への渇望か、祖国への思いなのか。
  • 捕虜として収容されている場所で、脱走委員会なる組織があったことにびっくり。一般的なことだったんだなぁ。
  • 途中でてきた特殊空挺部隊SAS)創設者、デイヴィッド・スターリング。裕福な家に生まれながら学校は放校処分、芸術・建築の分野もすぐに投げ出し、軍入隊後も夜遊びで軍法会議にかけられる始末。しかし、SAS創設ですべてを覆したリーダー。かっこいい...

内容


  • Amazon/BOOKデータベースによるほんの紹介
    • 開戦直前にイタリア軍捕虜となり、以来21回のあらゆる手段で脱走を繰り返した英軍将校アラステア・クラム。彼は終戦直前に脱走に成功し英雄として迎えられた。本書はその破天荒にして不屈の「脱走半生」を克明にたどったノンフィクションである。
    • トンネル作戦、綱渡り、列車からの飛び降り、そして詐病…仲間とともに、あるときは単独で脱走を繰り返し、裏切りにあってもゲシュタポに睨まれても不屈の精神力で目的を果たし、英雄として称えられた脱走王「男爵」。

引用メモ


もう1週間以上あるき続けており、逃亡中によく体験する神秘的な領域に日ごとに近づいていた。自由の高揚感、危険に対する恐れ、脱走者の酔うような感覚、自然の中に一人でいると感じられる混じりけのない匂いと音、身体の酷使に加え、飢えと睡眠不足から起こる譫妄状態ーそれらが一つになると「感覚のさらなる高い領域」への道が切り開かれる。山登りの喜びに達する道と同じだ。

自由を獲得した脱走者がほぼ例外なく味わう爽快感は、たとえ短い時間であったとしても、大学生の年頃の男が規則を破る軽率ないたずらで得られる興奮を遥かに超えるものだった。しぶれるような高揚感、エンドルフィンの一撃、後にも先にも経験したことのない「魔法の時間」がある。ある脱走者はそれを「高揚感の波」といい、別の脱走者は「生涯最高の充実したひととき」といい、ドイツの収容所から何度か脱走したパイロット、テックス・アッシュは「あんなに生を実感したことは他にない」と語った。彼は「脱走の遺伝子」とか、脱走せずにはいられない「フーディーニ症候群」というものがあるのだろうかとさえ思った。彼によると「脱走は非常に中毒性があるし、あらゆる麻薬と同じで、きわめて危険だ」そして、命を落とすかもしれないこの危うさこそ、脱走を「最も偉大なスポーツ」に押し上げている秘密の要素だ。

記録#299 『人工知能の「最適解」と人間の選択』

 

人工知能の「最適解」と人間の選択 (NHK出版新書 534)

人工知能の「最適解」と人間の選択 (NHK出版新書 534)

 

 

感じたこと


  • 2017年10月の刊行。ここから1年半でAIの進歩はさらに進んでいて、IBM・テクノロジーハイプ・サイクルだとディープ・ラーニングは過度の期待の頂点にある。一方で汎用AIはまだまだ黎明期。さてこれからどうなるか。
  • この本の中でフォーカスされていた電王戦、それを戦った佐藤天彦名人が2019年にはいよいよ失冠し、コンピューター将棋で本格的に研究を行ってきた豊島先生が名人に。コンピュータの完成を自身に取り込める、うまく協業できる人間がパフォーマンスを高めることができる時代。私たちもそうならなければいけないぞ。
  • AIをうまく使えるかどうか、その答えを善とするか悪とするか、人間の手に委ねられている部分が沢山ある

内容


  • タクシーの需要予測、トレーディングの予測モデル及び高速取引プログラム、バス運転評価プログラム、犯罪判定プログラム、退職可能性判定AI、AI政治家、、人間の意志が介在するところにAIはもれなく参入してくる
  • AIは過去のデータを踏まえて判定するため、人間視点では差別に分類されることも一つの因子としてフェアに捉えてしまう。その良し悪しをどう捉えるべきか。
  • AIと協働する人間の役割は、
    • 人工知能に何をしてほしいのか、目標を決定する
    • 人工知能が答えを出すために求められるデータの種類を決定する
    • 人工知能が出した答えを評価する
  • 人工知能が新しい地平線を見せてくれる。それを人間がどう取り扱うのか。表現される最適解を、人としてどう取り扱うのか。より人間らしい世界の実現に、AIが貢献してくれるのかもしれない