まとめ#7 2015年】今年の読んでよかった19冊+年末年始に読みたい積ん読7冊
年の瀬ですね。
今年もたくさんの本を読むことが出来、2009年から始めた読書記録もやっと1,000冊になりました。
何冊か、この12ヶ月で読んだもののうちからご紹介します。
●あなたの人生の科学
あなたの人生の科学(上)誕生・成長・出会い (ハヤカワ文庫NF)
- 作者: デイヴィッド・ブルックス,夏目大
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/11/05
- メディア: 文庫
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2012年に出た単行本「人生の科学」の文庫本化。「人は無意識で動く」がメッセージ。
生まれてから、成長して、恋愛して、仕事をして、そして死ぬまで、人生の要所にまつわる科学のエッセンスが散りばめられていて、面白かったです。
●ジョコビッチの生まれ変わる食事
今年の後半にだいぶ痩せまして、参考にしたのがジョコビッチのこの食事法。
「食事は情報である」、つまり一気に取るのではなくゆっくりと咀嚼しながら、という比喩はよく腹落ちしました。
ゆっくり食べましょう。
●エラい人にはウソがある
「孔子なんて、屁理屈とつよがりと負け惜しみにあふれているおっちゃんですよ」っていうことらしい。確かに。
過去の人を勝手に神格化しちゃうってありがちですよね。
●僕には数字が風景に見える
サヴァン症候群の著者。タイトルの通り、数字が風景に見える。素数は必ず美しく、だからこそ一目見てわかるとのこと。
あと、語学の天才。アイスランド語を一週間で覚えるとは。。すごい。。
自分の子供がどんな症状を持っていても、大切に育ててあげたいなぁと思いました。
●しんがり 山一證券最後の12人
利だけで動く企業人にはなりたくない、と強く思わされる本。
自らの組織の膿を出し切るため、自身にメスを入れていく12人のメンバー。ただ「正しいことをする」という目的のためだけに。
この文章を読んで、すごく楽になった思い出があります。
会社の評価など、人生のある時期に、ある組織の、ある人達によってくだされたものにすぎない。嘉本は頑なに信じていた。棺を閉じるまでの評価でもなければ、まして人格評価でもないはずだ。
●異文化理解力
異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養
- 作者: エリン・メイヤー,田岡恵,樋口武志
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2015/08/22
- メディア: 単行本
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評価のときの語り方や受け取り方、議論の仕方まで、出自となる国によっていかに違うかが明確にわかります。
帯に「日本人の8割にはいらない」と書いておりますが、どんな要素で違いを認識しているのか、それを知るだけでも価値があります。
●決してマネしないでください
今期読んだ中でも最高のマンガの1つ。兄が所属する研究室でも「(科学的に)よく出来てる」と話題らしい。
来年2月に出る3巻で完結してしまうのが残念。
●ゼロからトースターを作ってみた結果
ロンドンのRoyal College of Artの人が、卒業制作として行ったプロジェクトの記録。
銅線をつくるために、銅鉱山まで行って掘る、その徹底した姿勢たるや。
●ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>
ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器> (イースト新書Q)
- 作者: 多田将
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2015/07/10
- メディア: 新書
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最後の方に有る、この文章が心に残っています。
こんなことを言うと嫌な顔をする人がいるかもしれませんが、僕は、核兵器が「非人道的な兵器」だとは思っておりません。
なぜなら、それはまるで「人道的な兵器」というものが存在するかのような言い方だからです。人を殺すのに、「人道的な殺し方」など、あろうはずがありません。そしてまた、兵器がなくなれば平和が訪れるわけでもありません。もし仮に今存在するすべての兵器を取り上げたとしても、人類は、そのあたりに転がっている棒切れを拾って、殺し合いを続けるでしょう。それは全く本末転倒なのであって、本来は、平和が訪れた時に、人々が本当に平和を求めたときに、自然と、人々は兵器を手放すのです。
●失われていく、我々の内なる細菌
抗生物質の有用さを語りつつ、それによって失われていく細菌たちの本。
自分の体だと思っているものの中に、100兆もの細菌がいるかと思うとびっくりです。
●僕らの哀しき超兵器
ぼくらの哀しき超兵器――軍事と科学の夢のあと (岩波現代全書)
- 作者: 植木不等式
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/08/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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名作。著者名の「植木不等式」だけでも大好きになれる。
氷で作った船、爆弾を背負わせた猫、、、追い込まれると、いろんなことを考えつくものです。
人間の想像力には限界がないんだということを思い知らされます。
●天才たちの日課
天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々
- 作者: メイソン・カリー,金原瑞人,石田文子
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2014/12/15
- メディア: 単行本
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作家やアーティスト、研究者、天才と言われる人たちのライフスタイルが纏められてます。
朝型、夜型いろいろありますが、みんな熱中型。熱量の高さがなにより、ですね。
●ルシファーエフェクト
- 作者: フィリップ・ジンバルドー,Philip Zimbardo,鬼澤忍,中山宥
- 出版社/メーカー: 海と月社
- 発売日: 2015/08/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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スタンフォードで行われた「監獄実験」。善良な人間をランダムに囚人と看守に振り分ける。その役割が彼らを変化させていく。最終的には、予定されていた期間の半分も行かないところで実験は中止となりましたが、逆にその結果が世の中に衝撃を与えました。
環境や立場がいかに人間を変貌させるのか。人は脆いものですね。
●世界最高のバイオテク企業
科学に基づくとはまさにこういうこと、と思わせてくれる組織、アムジェン。
バイオテックはながーく盛り上がっているので、ぜひ2016年も取り組んでいきたいテーマです。
●ま・く・ら
落語そのものに入る前の「まくら」、その名人と言われていた柳家小三治さんのお話をまとめた本。
落語家さんのお話は素敵です。適度に肩の力が抜けていて。
●二つの祖国
東京裁判が今年話題になりました。
米国で日系2世として育った新聞記者が、日米両方でアウトサイダーとして扱われる中で、自己のアイデンティティと向き合う。
山崎豊子作品は何度読んでも新しい発見がある、ぜひ本棚においておきたい本です。
●宇宙を目指して海を渡る
宇宙を目指して海を渡る MITで得た学び、NASA転職を決めた理由
- 作者: 小野雅裕
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2014/04/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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タイトルまま。モチベーション上げるときにぜひ。
●いい会社をつくりましょう
長野県の名企業、伊那食品工業の社長が記した経営の本。
企業・チームに芯を通すディシプリン。それがどれだけ社員・メンバーに浸透しているのか。
企業向けで安定収益を確保しつつ、消費者向けにも商品開発を怠らないこの企業の姿勢はいつも参考にしたいと思っています。
●生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか
東工大で行われた、研究者が「なぜ自身がその研究をしようと思ったのか」というテーマで語った講義が本になりました。
子どもの時から明確に意識してその職についた人から、流れ流れて行き着いた人まで、いろんな人生が垣間見えて素敵です。
※以下、年末用の積ん読
◆理不尽な進化
◆植物は<知性>をもっている
植物は<知性>をもっている―20の感覚で思考する生命システム
- 作者: ステファノ・マンクーゾ,アレッサンドラ・ヴィオラ,マイケル・ポーラン,久保耕司
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2015/11/20
- メディア: 単行本
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◆NASAより宇宙に近い町工場
- 作者: 植松努
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2009/11/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 4人 クリック: 389回
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◆バイオデザイン
- 作者: ステファノス・ゼニオス,ジョシュ・マコーワー,ポール・ヨック,日本医療機器産業連合会,日本医工ものづくりコモンズ
- 出版社/メーカー: 薬事日報社
- 発売日: 2015/10/07
- メディア: 大型本
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◆春風夏雨
◆「見えざる手」と「見えざる心」
「見えざる手」と「見えざる心」 ワーク・アンド・ファミリーのゆくえ (上智大学新書)
- 作者: 平尾桂子
- 出版社/メーカー: ぎょうせい
- 発売日: 2015/09/11
- メディア: 新書
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◆意識と脳
2016年も楽しく本を開いていこうと思います。
良いお年を。
まとめ#6 2015年7-9月】読んでよかった本5冊
だいぶバタバタした3ヶ月でしたが、ちょこちょこ時間をつくって少しずつ読書しています。
手に取る、実際に買う、読んでみて「おぉ」と感じる本の種類がそれぞれどう変わってきたのか、改めて振り返ってみると面白いと感じてます。
この3ヶ月は、当たりが多かった気がしています。2015年最後の3ヶ月もしっかり時間を確保して、ゆっくりお勉強&リラックスできればいいなぁと願いを込めつつ、今期面白かった本を5冊ご紹介します。
●ルシファーエフェクト byフィリップ・ジンバルドー
「悪の陳腐さ(the banality of evil)」
ナチス犯罪に対する裁判レポート中で、執筆者ハンナ・アーレントが記した言葉です。
ユダヤ人を含めた数百万人の人間を強制収容所に送り込み、ホロコーストの中心的な役割を果たしたアドルフ・アイヒマン、彼は非道な行為を行う"特別な"悪をまとった人間だったのか。実際の裁判を観た彼女は、アイヒマンは決して特殊な個人ではなく、どこにでもいる"有能な官僚"であると結論づけます。そんな彼にさえ悪は憑依しうるのだと、悪というものはそれほど特別なものではなく誰にでも/どこにでも起こりうるのだと表現したのが、冒頭の言葉。
"悪の陳腐さ"というアーレントの言葉が共感を呼び続けているのは、世界のあちこちで大量虐殺が起こり、拷問やテロリズムが依然として地球上にあふれているからだ。私達はこうした心理から距離を置き、悪人の愚行や暴君の無分別な暴力を個人の気質の問題とみなしたがるが、アーレントの分析は、人間がいかに変わりやすいかを示し、個人の気質に帰結する姿勢を否定している。社会的な勢力は、人間のこの変わりやすさにつけ込むことで、普通の人々をぞっとするような行為にかりたてていくのだ。(pp.467)
本書の中で、ジンバルドーは、自身が行ったスタンフォード監獄実験を通じてそれを立証します。看守/囚人というランダムに割り当てられた役割を通じて、20歳前後の若者(及び参加した著者やまわりの大人たち)の行動/精神状態がいかに変化していくのか。本書の冒頭は、その詳細なレポートから始まります。日曜日、彼らが突然集められ、金曜日、予定よりも1週間早く実験を中止するまで。個人としては善良で何も問題がないように見える人間が、刑務所という仮想空間に置かれるだけで、豹変する。
組織や風土が個人に与える影響がどれだけ大きいのか、示唆深い文章です。
800ページにも渡る大部で読み応えたっぷりです、ぜひ手に取ってみてください。
- 作者: フィリップ・ジンバルドー,Philip Zimbardo,鬼澤忍,中山宥
- 出版社/メーカー: 海と月社
- 発売日: 2015/08/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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●すばらしい新世界 byオルダス・ハクスリー
2015年4月、中国の研究チームがヒトの受精卵に世界初の遺伝子操作を行ったことが論文を通じて発表されました。髪や眼の色、得意なスポーツ、知性などを親が望むようにコントロールした上で生まれてくる「デザイナーベビー」が生まれてくる日が近づいてきているのかもしれません。
本書で描かれるのは、それよりももっと進んだ社会。西暦2540年、人は受精卵の段階からビンの中で培養され、生まれる前から階級が完全に固定され仕事から居住区まで総てが固定化されている。睡眠時教育で価値観が醸成され、このような状況に疑問を持つことはない。加えて、副作用のない麻薬が開発され、ほんの少しの辛さもそれで紛らわすことができる。まさに「すばらしい新世界」です。
ハクスリーはこの"ユートピア"を支持しません。それは、培養にミスがあったために、上記のような価値観に対して疑いをもつ主人公の存在と、以下の記述に凝縮されます。
確かに現在は厭わしく、現実はおぞましいーーけれども、嫌悪を催すほど切実なものであるからこそ、この現在の現実はすばらしく、意義深く、この上もなく大切なのだ。(Kindle版 No.3,101-3,103)
悩むこともなく、快楽に身を委ねる生活は幸福なのか。私達にとっての理想社会とはどのようなものなのか。
この本が書かれたのは1932年。80年以上も前です。"人間中心"が大きなテーマとなり科学技術がどんどん前進していく現代にも生きる、深い洞察があるように思います。
●僕らの哀しき超兵器 --軍事と科学の夢のあと by 植木不等式
面白さ全開。
世の科学者とは、なんて想像力豊なんだろう。
氷で出来た空母、発火物を背負い木造建築物に忍びこむコウモリ、おがくずに混ぜた細菌兵器、、、
どれも時代の要請や技術力の不足から頓挫していった「哀しき」アイディアたちだけど、今なら!と思うものもちらほら。
個人的に一番の衝撃だったのは、1970年代のチリで、工場・生産設備をすべてつなげて管理する構想があったこと。Industry4.0の先駆けが、社会主義的な計画経済運営の妖精から生まれてくるのはある意味自然なことなのかもしれないですが。
科学は夢を語る。語られた夢に、人々は夢を託す。夢の駄賃に税金を払う。科学はそれを食べて育つ。食べて私たちにまた夢を見せてくれる。夢の下地がたとえ兵器であろうと、何だろうと。
科学は獏だ。夢を糧にする。そして私たちもまた。
人間は獏である。(pp.43)
植木等をおもいっきり意識した著者名も、個人的にはツボでした。
ぼくらの哀しき超兵器――軍事と科学の夢のあと (岩波現代全書)
- 作者: 植木不等式
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/08/20
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●二つの祖国 by山崎豊子
7月あたり山崎豊子祭りをしていました。その中でも一番刺さったのがこれです。
太平洋戦争に突入しようとする時代の米・カリフォルニアに生きる日系二世が主人公です。アメリカでは日本人として、日本ではアメリカ人として、どこにいってもアウトサイダーとして扱われるなかで生じるアイデンティティの揺らぎを、とても丁寧に描写しています。
後半、東京裁判の描写がなされていますが、この本を通じて初めて知ったこともたくさんありました。インドのパール判事が全体の判決に与しなかったことは有名ですが、判決に際して1,235ページもの意見書を提出し、かつその根拠が「事後法であるため」とうところにあったことは本書を通じて学びました。また、清瀬弁護人のこの発言も。
「我々がここに求めんとする心理は、一方の当事者が全く正しく、他方は絶対不正であるということではありませぬ.......われわれは困難ではありますが、近代戦争を生起せしめた一層深き原因を公正に探求せねばなりませぬ、近代戦争の悲劇の原因は、人種的偏見によるのであるか、資源の不平等によるものであるか、関係政府の単なる誤解に生ずるのか、裕福なる人民、又は不幸なる民族の強欲乃至貪婪にあるのか、これこそ人道のために究明されなければなりませぬーー」(kindle合本版 No.17,257-17,263)
山崎豊子作品は、何度も何度も読み返したくなるものばかりですね。すごい。
●へぐりさんちは猫の家 by廣瀬慶二
ほっこり。
とにかく癒やされました。動物と一緒に生活したいです。
積ん読が溜まってきています。これからも、わくわくしながら読み進めたいと思います。
まとめ#5 2015年4~6月】読んでよかった本5冊
定期的に読みたくなります。
赤めだか
文章として素晴らしいなぁと思いながら一気に読みました。
もう一度読む山川世界現代史
中南米の革命のところがとても興味深かったです。
天才たちの日課
天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々
- 作者: メイソン・カリー,金原瑞人,石田文子
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2014/12/15
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クリエイティブではないけど、みんなこだわりある生活だったようです。
デザインの輪郭
半年前なら読まなかったジャンルの本です。
まとめ#4 2015年1~3月】読んでよかった本5冊
今年は四半期ごとに更新できればと思います、頑張ります。
転職のタイミングだったこともあり、お仕事っぽいものが多めです。
どなたかの読書生活を少しでも豊かにできることを祈りつつ。
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・いい会社をつくりましょう
とてもとてもとても良い本でした。今期一番です。
寒天製品の国内シェア80%、海外シェア15%以上(2009年時点)を誇る伊那食品工業、その社長さんが書いています。20代から50年以上経営に携わり、この会社を「日本でいちばん大切にしたい会社」(坂本光司 著)の一つに選ばるような優良企業に育て上げられました。
本のタイトルはこの会社の社是。
「いい会社」とは、単に経営上の数字が良いというだけではなく、会社を取り巻く総ての人々が、日常会話の中で「いい会社だね」といってくださるような会社のことです。
「いい会社」は自分たちを含め、総ての人々をハッピーにします。そこに、「いい会社」をつくる真の意味があるのです。
急成長を目指さない。自然がそうであるように、木が毎年年輪を重ね少しづつ成長していくように、地域に広く深く根を張り、「公器」としての役割を長期にわたって果たしていく。
目先のブーム・トレンドは追わない、中長期でどう社会が進歩していくかを追っていくんだ。というところも、なるほどー、という思いでした。
言葉として響いたのは、特にこの2つ。
ロマンだからと、景気がいい時は思い切り急拡大しておいて、ダメになったら放り投げる。多くの人を犠牲にする。そういう考え方の人は、経営者になってはいけないのかもしれません。
人生というのは「いい思い出」と「これからの夢」で成り立っていると考えています。「いま」というのは存在しません。
とにかく良い本でした。ぜひご一読。
・ゆっくり、いそげ〜カフェからはじめる人を手段化しない経済〜
著者の影山さんは、コンサル、VCを経て、いまは西国分寺でクルミドコーヒーというお店をやられています。大学院時代にたくさん通わせていただきました。
タイトルだけ読むと、最近流行りの「市場経済反対!」みたいなものに見えなくないけどそんなことはなく、バランス感のあるフェアで説得力のある内容でした。
本自体も素晴らしいです。でも、ぜひ直接お店にいってください。
この本を通じて伝えたいことが、自分の肌で感じられる場所になっています。
ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~
- 作者: 影山知明
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2015/03/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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・The Lean Enterprise: How Corporations Can Innovate Like Startups
古い業界、大企業にこそイノベーションを!
これから、こんな仕事ができればと思います。
A corporate innovation manager's job isn't to pick winners; it's to create opportunities for winners to rise above the chaos.
The Lean Enterprise: How Corporations Can Innovate Like Startups
- 作者: Trevor Owens,Obie Fernandez
- 出版社/メーカー: Wiley
- 発売日: 2014/03/31
- メディア: ハードカバー
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・古典落語
この2月に初めて寄席に行きまして、それに合わせて。
自分が素敵だなぁと思う人がもれなく落語好きなのですが、実際に自分で見てみて、なんとなくその理由がわかった気がします。
扇子と手ぬぐいだけで一つの世界観・ストーリーを伝えられる噺家さん。尊敬します。
・しんがり 山一證券 最後の12人
昨年の第36回講談社ノンフィクション賞受賞作。
世間を揺るがせた山一證券の破綻。涙を流しながら「社員は悪くありませんから!」という会見のシーンは、今でも時々流れますよね。(この会見を行った野澤元社長、屋代高校の卒業生なんですね、初めて知りました)
最後の最後まで清算業務に携わった方々から感じる侠気。自分がここまで出来るか、出来る人になれるか、そんなことを考えながら読みました。力強い本です。
私の好きな言葉は「勿過去悔 莫将来按 無万事怯」である。
過ぎ去ったことをくよくよ後悔するな。これからのことをあれこれ心配するな。すべてのことを恐れるな、という意味であろう。
人生万事塞翁が馬だ。まだ、我が人生の結論は出ていない。
人間はその場に合わせて咲く能力がある。突然の失職も大したことはなかった。人生はなんとかなる。
なんとかなる!
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4月以降も、気の向くままに読書していければと思います:)
まとめ#3 2014年 今年の10冊
今年読んで良かった10冊の本をご紹介します。
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- 信州教育に未来は有るか
著者の山口先生は、長野県の元教育長&母校校長で、かつ両親の仲人でもあります。話し好きで、人格的に素晴らしい方。
生徒、親、教員、そのほか学校職員、周辺住民、それぞれの立場から学校教育を見つめなおします。とても素敵な本でした。
私は、「大人はすべて教育者を目指すべし」と思っています。もちろん、職業としての教育者ではなく教育を広く「大人と子供の関係」としてとらえる視点からです。私が言う「教育者」とは、子供らに接する大人の姿勢をいいます。気付いた時、一つでも、できることから、でいいのです。(表紙帯より)
浄土思想の核心と、その代表的な3人の思想家についてその違いをわかりやすく解説してくれます。
著者は、浄土思想が仏教を、修行を通じた「悟り型宗教」から祈りを通じた「救い型宗教」に転換したとしています。「あれもやれ!これもやれ!」といっていた過去の仏教と決別し、「ただ祈れ!」とした法然は、スコープを切るのがうまい良い上司だなと感じました。
- 素数の音楽
素数ってすごい。美しい。ガウス以来続く、素数の謎をひも解こうとするを描いた本です。数学者も人間なんだなぁと身近に感じさせてくれました。
素数のおかげで数学の従来無関係とされていた分野を隔てていた扉が開かれた。数論、幾何学、解析学、確率論、量子物理学、リーマン予想を解くためにこれらのすべてが結集した。~。数学は、パターンの学問ではなく、関係の学問になったのだ。
- 五郎治殿御始末
映画化された「柘榴坂の仇討」が含まれた短編集。
私は、江戸期には有能な天文方としてつかえながら、明治期の暦作成には関わることができず悶々とする男を描いた「西を向く侍」が心に残っています。題は、暦が31日単位でない月の覚え方(2,4,6,9,11。に、し、む、く、さむらい(士))を示しつつ、西洋のものを無配慮に受け入れようとする日本人に対する皮肉を含む、ウィットの効いたものだなぁと。
再掲。東京で働いているだけではわからないことが、あたりまえだけどたくさんあるんだと実感させてくれます。
- 年収は「住むところ」で決まる
上半期の再掲。やっぱり素晴らしい。
年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学
- 作者: エンリコ・モレッティ,安田洋祐(解説),池村千秋
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2014/04/23
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- 僕は数式で宇宙の美しさを伝えたい
自閉症の子供を持った母によるノンフィクション。
日常のできないことを克服することを目指す教育ではなく、本人が喜ぶこと・好きなことを中心に教えていくことですべてがうまく回りだす。
映画化もするらしいけど、ぜひ本として読んでいただきたいです。
好きなことを思う存分できる時間があれば、好きでないことにもいい集中力を持って向き合える
- 教養としての経済学
買いましょう!(ステマ)
- 坂の上の雲 & シャンタラム
毎年読み返すこの本たち。刺激的です。
- 作者: グレゴリー・デイヴィッドロバーツ,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/10/28
- メディア: 文庫
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来年も、仕事と関係のない本を読む時間をうまいこと確保して行きたいと思います。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
まとめ#2 今年上半期、私が読んだ15冊
6月も終わりに近づいてきたので、今年の上半期で読んだ本の一部をご紹介します。
仕事関連の本は抜きで、趣味のものだけです。
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・年収は「住むところ」で決まる(エンリコ・モレッティ)
年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学
- 作者: エンリコ・モレッティ,安田洋祐(解説),池村千秋
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2014/04/23
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個人的な上半期ベスト。
「学歴で年収は決まらない」って研究が出されたりもしていて、年収を上げるためには、学歴や資格と取るのではなくて、さっさと景気の良い街に移り住むっていうのも選択肢の一つですね。(学歴の高い人のほうがモビリティが高いという話があったりしますが)
原題のほうが素敵だと思います。
しかし、地方はどんどん衰退してしまうんでしょうか。産業を。長野に産業を。
・グリード(真山仁)上・下(+ハゲタカ、ハゲタカII、レッドゾーンも合わせて読みました)
鷲津さんが主人公の「ハゲタカ」シリーズ第4段。
今回の舞台はアメリカ。陰謀策術たっぷり。
何よりリンさんが素敵。こんな女性、どこにいらっしゃるんや・・・
・プライド(真山仁)
同じく真山仁の短編集。
農業や政治、医療に至るまで、それぞれの分野で希望を持って働く人と、そこに立ちはだかる障壁の存在(そしてなぜその障壁がかくも高いのか) について魅力的に描き切っています。
私は冒頭の農水省で官僚として戦う人のお話が好きです。
・コラプティオ(真山仁)
真山仁が好きすぎて。
リーダーシップって何なんでしょうね。政治とメディアと、自分の知らない世界がまだまだたくさんあるんだなぁ。
・虚像の砦(真山仁)
まだまだ真山仁。
「便利になるということは、不便な時に持っていた美徳を捨てることだ」(by主人公の父)
かっこええです。
・ベイジン(真山仁)上・下
もっと真山仁。
原発押せ押せだった2008年に出された本書。五輪で開催に沸く中国で、世界最大の原発が建設される。その中で戦う日本の技術者、国の圧力、迫りくるメルトダウンの危機。
今だからこそ読むべき本。
・巨大外資(高杉良)上・下
正月に父親から渡されました。
組織内の争い、どろどろしすぎですね・・・
外資はどこもこうなんでしょうか・・・怖い
・坂の上の雲(司馬遼太郎)1~8巻
不朽の名作。
今までは弟・真之の生き様が素敵だと思っていましたが、今回は好古祭りでした。
あと、日本陸軍・ロシア帝政の組織の硬直性を見ながらいろいろ考えたり。自分の考え方の定点観測。
・青天の霹靂(劇団ひとり)
映画がとてもよかったので。(長野県上田市で撮影されてます)
自分の惨めさを受け入れるんや。
これを読んだ後に東大の先生の研究者になるまでの道程に関する文章を読んで、一層心打たれた次第です。
・舞姫(森鴎外)
中学以来。
ダメな男ですね主人公。。。
・法然親鸞一遍(釈徹宗)
法然が仏教を「悟り型宗教」から「救い型宗教」へと再構築した、っていう指摘に、ほぉぉぉ、となりました。
他力本願万歳。
だれか、救ってください(ぺこり
・私がマッキンゼーを辞めた理由(石井てる美)
私がマッキンゼーを辞めた理由 ―自分の人生を切り拓く決断力― (角川書店単行本)
- 作者: 石井てる美
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2013/10/21
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以下引用。
"自分がそれまで「東大の学生です」「マッキンゼーに勤めています」という肩書や所属でアイデンティティーを保てていたことに、恥ずかしながら人生でこのとき初めて気づきました。そういう肩書、つまりはほとんどが自分の力ではなく運や環境によってたまたまもたらされたにすぎない肩書、を持つことで「自分はちょっと特別だ」「他の人とは違う」みたいな勘違いを恥ずかしながらしていたことも、認めざるをえません"
・シグナル&ノイズ(ネイト・シルバー)
年末から 流行っていた本。
「ビッグデータ!とりあえず分析!」
いやいやそうじゃなくて、まずは有益なシグナルと異常なノイズを識別しようぜ、っていうことですよね。素敵。
・Give & Take (アダム・グラント)
GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)
- 作者: アダムグラント,Adam Grant,楠木建
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2014/01/10
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これも流行り本。
研究結果にサポートされた主張にはなるほどとなりました。
自分が自分が、っていう人は嫌な奴ですもんね。
・しなやかな日本列島のつくりかた(藻谷浩介)
スイスで観光業をやられている方のお話が面白かった。
「ゆるキャラを作っている自治体はだめです」と言い切られていて、「ねずこん・・・(長野県坂城町のゆるキャラ)」となった次第です。
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もし上にある本を読んだ方がいらっしゃればぜひご感想をお知らせくださいませ。
下期も楽しく読書していきます。
ではでは(ぺこり
まとめ#1 2013年の10冊
少し遅れてしまいましたが、
昨年度読んだ本の中で印象に強く残った本を10冊まとめました。
細かい感想は書きませんので、もしタイトル見てピンときたらぜひぽちっとしてください(手抜き)
・感性の限界(高橋昌一郎)
感性の限界――不合理性・不自由性・不条理性 (講談社現代新書)
- 作者: 高橋昌一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/04/18
- メディア: 新書
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・日本プロ野球改造論(並木祐太)
・言える化(遠藤功)
・英仏百年戦争(佐藤賢一)
・ダメ社員でもいいじゃない(澤田昨日)
・農業超大国アメリカの戦略(石井勇人)
・マグマ(真山仁)
- 作者: 真山仁
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/08/25
- メディア: 文庫
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・週末バンコクでちょっと脱力(下川裕治)
・黙示(真山仁)
・Carp Story(前原淳)